政府が急きょ方針転換し7日と13日に緊急事態宣言を発出したことを受け、立憲民主党の枝野幸男代表と逢坂誠二新型コロナウイルス対策本部長は15日午後、時短要請を受けた飲食店への影響を把握するために東京都中野区などで飲食店を営む経営者からオンラインでヒアリングしました。
ランチが売上げの母体というイタリアンの店主は、「ランチ会食の(西村大臣)発言があってから、本当に人通りも少なくなり、ディナーに関してはお酒の提供が7時までで8時閉店なので、ほぼほぼディナーは営業していない状況」とこぼしました。これでは「飲食店に対して休業要請している」と同様だと言い、「それにもかかわらず時短営業というのはもどかしい」と矛盾を感じていることを吐露しました。
自然派ワインを売りにしているバルの店主は、「緊急事態宣言が発出された今月は、ディナータイムの集客がほぼ見込めないので、良くても去年に比べて30%、悪ければ20%、10%」と訴えました。その上、窓もドアを開けっぱなしで、電気代がかなりかさむのと、アルコール消毒費もかかり、「利益は残りづらい」と言います。
時短要請に応じた中小の事業者に対する1店舗1日6万円の補償に関しては、昨年11月に1店舗閉じたという居酒屋店主は、「私たちは大きな店舗ではないので、とてもありがたいが、大箱のお店や酒販店、蔵元や生産者に対しての補償にはかなりムラがあり、何とかしてほしい」という声が多く上がっていると明かしました。
中野区が地元の西澤圭太都議は、ダンススクールの経営者から「夜8時以降のレッスンを止めて、ものすごく収入が減っている。うちには協力金はないの」と言われたり、別の経営者から「隣のお店は実は8時以降も営業しているのに、お金をもらおうとしているのはずるい」といった批判があると報告、地域の中で生じている不公平感に懸念を示しました。
その不公平感を取り除く方法について杉山司中野区議は、「それぞれのお店に対して、収入とか納税額とか、面倒くさいけれど収支に対しての支援を1店舗ずつ、それぞれの売上額等に合わせて支援をしていく。それがないとやはり不満も出るし平等感もない。実は金額の差をつけることが平等だと思っている。それを真っ先に考えないと」と提案しました。
こうした現場からの声、特に時短要請と言いつつ実質的な休業要請になっていることについて枝野代表は、「変えさせようと思っている。普通7時営業開始だったらゼロと一緒。昼間のランチもやるなと言い出した以上は、もう休業と一緒だという前提で補償などを考えなければいけない状況だと思う。それこそ(国会の)代表質問などでしっかりと迫っていきたい」と表明しました。
COVID-19対策には与野党の全議員が協力してほしいとの要望に対して逢坂本部長は、「政府・与野党連絡協議会をもう20回以上やっていて、家賃補助、地方創生臨時交付金、あるいは学生への支援とか、実はその政府・与野党連絡協議会の場でアウトラインが決まり、具体的な制度設計になっている。そういう意味で(野党も)ずいぶん協力もしている」と超党派で対策に取組んでいる実情を報告しました。
ヒアリングでは、持続化給付金、家賃支援給付金、雇用調整助成金などの申請の簡素化、消費税の減免、納付が猶予されていた社会保険料の支払い要請が届き、2年分の納付を求められているとの報告がありました。これらの声に対して枝野代表は、「当事者の方から直接(声を)伺うと、私たちがいろいろなことを提言していくにあたって自信をもって訴えられる。大変意義深い時間だった」と謝意を述べるとともに、今後の国会論戦で「今日の話を活かしていきたい」と力を込めました。