「大丈夫か、ニッポン」。17日午後、午前に続き、衆院予算委員会で2021年度予算案の集中審議がおこなわれました。質問に立った田嶋要議員は、「こんなに株価が過熱して大丈夫かと。そこはかとない不安が広がっている」と述べ、現在の株価上昇が日本銀行によるETF(上場投資信託)大量購入によって支えられていることについて、国民の間で次第に不安感が広がりつつあると指摘しました。
冒頭、田嶋議員は、日経平均が3万円に達し、連日紙面を賑わせていることに言及した上で、菅総理の景気認識をただしました。菅総理は「(産業分野によって)格差が出てきている」と答弁。「今の株価が実体経済を反映していると思うか、それとも乖離が広がっていると思うか」と、株価と実体経済に対する総理の認識をただしました。これに対し菅総理は一部経済指標のリバウンドを指摘した上で「株価の特定の水準についてのコメントは控えたいが、低いよりは高い方がいいに決まっている」と答弁しました。田嶋議員は「確かに下がるよりは上がっている方がいいのは同感だ。ただしそれは買いたい人が買って、株式市場が上がっている場合のこと。政府が日銀を通じて大量のおカネを株式市場につぎ込んでいることは周知の事実だ」と反論しました。日本銀行がこれまでにETFにつぎ込んだ金額が約35兆円にも上ると指摘した上で「優れたベンチャーに期待し、健全に育っているマーケットならともかく、現状はまさに官製相場。恐ろしい状況に近づいている」と株式市場の現状について警鐘を鳴らしました。
さらに田嶋議員は「10万円を全国民に配るのにかかる予算が約13兆円。その3倍近くのおカネをマーケットにつぎ込んでいる」と述べた上で、「本来だったら自分の判断でやるべき自由主義のマーケットに一番『公助』が入ってる。では、これが誰を幸せにしてるのか、誰の得になってるのか」と、現在の金融政策の矛盾を指摘。また現行税制では、所得に対する税率が28.2%で頭打ちとなり、株式で利益を得ている人に対する税率が下がってきているという問題点も取り上げ、「お金を市場に入れているだけではなくて、制度として格差を助長してしまっている」と主張しました。その上で「今コロナで苦しんでいるご商売の方々、お店を閉じなければいけない、そういう苦しい状況にある方々、学校に行きたくても学校が開いてない方々、子どもの学校が突然閉まってしまって、右往左往するお母さんお父さん方はどう思うか。これは要するに国を挙げて強い人たちを応援する仕組みになってしまっている。本当に今コロナで苦しんでいる方々には、全然支援が十分届いてないのに、片方でこういう国になっている。こういうことでいいのですか、総理」と菅総理に迫りました。
最後に田嶋議員は、10年前に比べ国民の「幸福度」とそれに関連した指標が軒並み下がっていることについて触れました。そして「今、コロナ禍で苦しんでいる方々が多い。コロナが明けたら薔薇色の日本なんてやってこないと思わざるを得ない。やはり株価ではなく、こうした指標、こちらこそが日本の今を映している成績表だ。これが8年間、10年間の『失われた日本』の姿。そうした状況の改善していくのが、最大の仕事ではないか」と、菅総理に問いかけました。「幸福度44位から62位ですよ。喫緊の課題です。ぜひみんなで力を合わせて、先進国から落ちて行かない『安心の日本』を一緒に作っていきましょう」と呼び掛け、この日の質問を終えました。