立憲民主党 政務調査会長  泉 健太
      厚生労働部会長  長妻 昭
      社会保障調査会長 西村 智奈美


 本日、政府提出の健康保険法等の一部改正案が衆院厚労委員会で可決されました。
 政府案は、一定年収以上の後期高齢者の医療費窓口負担割合を2割に引き上げるものです。立憲民主党も、後期高齢者を支える現役世代の負担軽減が重要であるという認識は共有しています。
 だからこそ立憲民主党は、後期高齢者の保険料の応能負担の強化と一部国費充当によって現役世代の負担を軽減する対案を提出しました。具体的には、保険料賦課限度額を引き上げて後期高齢者のなかでも高所得の方に負担をお願いし、加えて一部国費を充当することによって政府案と同程度の現役世代の負担約720億円を軽減する内容です。

 一方で、高齢者の窓口負担割合の引き上げは、すでにコロナ禍で顕著な受診抑制に拍車をかけ、症状の重篤化を招くおそれがあります。コロナ禍の中で、窓口負担割合を引き上げるべきではありません。
 また、政府はこの引き上げで2022年度で1880億円の給付費減を見込んでいますが、このうち900億円は長瀬効果(※)によるものとしており、政府自ら一定の受診抑制が生じることを事実上認めています。しかも、この900億円分の受診抑制の中に、本来必要な医療が含まれているのではないかという私たちの指摘に、政府からは納得のいく説明がありませんでした。よって、立憲民主党は政府案に反対です。
※例えば、患者負担が増加する制度改革が実施されると、患者の受診行動が変化し、受診日数が減少する。

 政府案が、患者の方に追加負担をお願いする案であるのに対し、立憲案の保険料賦課限度額の引き上げは、病気の有無にかかわらず負担を分かち合う案です。また、政府案の対象が後期高齢者の約20%(約370万人)であるのに対し、立憲案の対象は後期高齢者の約1.3%(約24万人)と限定的です。立憲案が優れているのは明らかです。

 与党は政府案に重大な問題があるにもかかわらず、十分な審議を行わないまま採決を強行しました。これは窓口負担割合引き上げの問題点を隠蔽する行為であり、強く抗議します。立憲民主党は、参議院では徹底した審議を行うよう求めたうえで、保険料の応能負担強化による現役世代の負担軽減の優位性を訴えるとともに、コロナ禍における窓口負担割合引き上げの問題点を追及していきます。

以上

一定年収以上の後期高齢者の『医療費窓口負担引上げ』に関する法案の衆院厚労委員会可決について(談話).pdf
後期高齢者医療の負担のあり方について.pdf