「もし、この国会がこの後閉じてしまうとなると、次の国会は、もう衆院議員の任期満了に近いところでの臨時国会ということになる。とにかくこの国会が(お互いの考えを主張できる)党首討論の最後のチャンス」(渡辺周幹事長代行)。

 26日、渡辺周幹事長代行が国会内で定例会見を開催しました。会見で渡辺幹事長代行は、(1)党首討論の開催(2)国会議員の新型コロナワクチン優先接種の議論(3)国会会期の延長や内閣不信任案の提出――といったテーマについて取り上げました。

1.2年ぶりの党首討論の開催について

 約2年ぶりに党首討論を開催することで与野党が大筋合意したことについて渡辺幹事長代行は、「実現すれば、菅政権下では初の開催ということになる」と述べるとともに、菅総理のG7会合出席のスケジュールもあり、開催の日取りは6月の第2週くらいになる状況だと指摘しました。どのようなテーマが取り上げられことになると思うか記者から問われると「今年の夏の東京五輪・パラリンピックの開催の是非というのが当然、1番大きなテーマとなると思う。またワクチン接種を進め、経済や生活の立て直しを目指す中での『補正予算の編成』、『コロナ後の社会像』についての提案、そういったテーマが取り上げられることになるのではないか」と述べました。

 また「安倍前総理の時代は、総理が持論をしゃべったおかげでとにかく時間を費やしたが、菅総理はそんなに饒舌(じょうぜつ)な方ではないと思う。やはりそこは一問一答で、枝野代表が的確に国民が聞いてほしいこと、国民が代弁して言ってほしいこと、これをとにかく端的に伝え、それに対し菅総理からは誠実にお答えをいただきたい」とも述べました。

 渡辺幹事長代行は「これまでわが党はさまざまな提案を実現してきたが、菅政権になってから政府与野党連絡協議会も開かれなくなっている。こうした機会を利用して、ワクチン接種率の向上策など具体的な政策提案を行っていただきたい」「とにかくこの国会が最後のチャンス。もしこの国会がこの後閉じてしまうとなると、次の国会は、もう衆院議員の任期満了に近いところでの臨時国会ということになる。これはもう総選挙に直結することが想定される。するとこの通常国会の終盤が、お互いの考えをしっかりと主張できる最後のチャンスとなるのではないか」と述べました。

2.国会議員のワクチン優先接種の議論について

 危機管理の観点から与党執行部内で「国会議員はワクチンの優先接種を受けるべきだ」との議論が出ていることについて見解を求められると、「地方で見聞きした現状では、まずワクチンの予約が取れない。電話回線がパンクしていたり、あるいはネットで予約するのは高齢者にはやはり厳しく、相当な不公平感がある。今の段階で国会議員が先に打つということ、これははっきり言って理解を得られない」との見解を述べました。

 ただ現在の衆院議員の任期が10月中には満了することや、実際に総選挙で戦われることになると、さまざまな不都合も出てくることになるのではないかとも指摘。「国政選挙を戦う人間がワクチンをしていないということで、果たして選挙運動が成り立つのかという疑問もある。例えば高齢で、すでにワクチンを打った候補者と40代で打っていない方がいた場合、ワクチンを打った方と打っていない候補者では、やはり活動に差が出るのではないか。有権者の側も、ワクチンを打った候補者の話は喜んで聞きに行くけれども、ワクチンを打っていない候補者に対しては、近寄って話を聞こうとしないなど、何か差異が生まれることもあるのかもしれないとも思う」と語りました。

 国民のワクチン接種率が一定水準に達した暁には、国会や役所で働く者の一員として集団接種されることは「ありうる」としながらも、「立憲民主党の中では、『国会議員がまず打つ』などということは全く念頭にないことだけは、はっきり申し上げておきたい」と述べました。

3.会期延長、内閣不信任案の提出について

 野党から会期の大幅な延長を求める声が上がっていることについては「当然、求めていくべきだ」と答えました。その理由として渡辺幹事長代行は、いったん国会が閉じてしまうと「与党のやりたい放題になってしまう」と述べ、国会の大きな役割の一つである行政監視機能を果たすことが難しくなる点を挙げました。

 内閣不信任案の提出については「野党が持っている最後の武器」と述べた上で、「最後は枝野代表や国対が最終的な政治判断をすべきだ」と述べました。ただその結果、解散総選挙となる可能性については「解散は総理の専権事項」と言及したうえで、「すでにワクチン予約や接種業務に忙殺される中で、自治体の職員が果たして選挙業務にマンパワーを割けるのだろうか」「国民が望んでいることではない」と疑問を呈しました。

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