参院内閣委員会で15日夜、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案(重要土地利用規制法案)の審議がおこなわれ、会派を代表して木戸口英二議員が反対討論をおこないました。

 木戸口議員は、わが国の安全保障等に寄与することを目的として、防衛関係施設等の周辺や国境離島等の区域内にある土地・建物の不適切な利用を防止するための法制度を設ける必要性は理解するとしたうえで、審議を重ねるごとに、問題が明らかになっていったと振り返りました。

 まず、注視区域及び特別注視区域の指定対象となり得る重要施設及び国境離島等の範囲が広く、あいまいであることを問題視しました。特に、「生活関連施設」の範囲はどこまで広がるか定かではなく、「現時点で政令指定が想定されるのは原子力発電所と自衛隊が共用する民間空港とされたが、鉄道施設など現時点で想定していないとされるものも、あいまいな条文からは排除されていない」と指摘しました。一方、市ヶ谷の防衛省本省周辺などの市街地の特別注視区域への指定は、経済的社会的観点に留意して見送ることで与党内で合意しているという報道があること、在日米軍施設をどこまで指定するかも、今後の米国側との協議次第であることを挙げ、対象区域の指定の仕方が不明瞭であることを批判しました。

 また、2年以下の懲役と200万円以下の罰金という罰則規定のある命令の対象となり得る、重要施設や国境離島の「機能を阻害する行為」が法案に例示されていないことを問題視し、「恣意的な運用のおそれが排除できず、罪刑法定主義の点で大きな欠陥」と批判し、「あまりに白紙委任的で、とても賛成できない」と表明しました。

 法案第6条の注視区域内にある土地等の利用の状況についての調査の規定では、調査対象者も手法も調査事項も限定されていないことも問題視しました。公簿収集や報告徴収以外にも、重要施設を所管又は運営する関係省庁、事業者や地域住民から機能阻害行為に関する情報を提供してもらう仕組みが検討されており、「法の目的の範囲内で必要最小限度の措置をおこなうとの規定も、歯止めになる保証はない」と主張し、そのような情報を内閣府に新設する部局で一元的に収集・管理することも含め、プライバシー侵害の懸念が拭えないと批判しました。

 木戸口議員は、これらのような理由から法案を成立させることには反対であると述べ、討論を終わりました。

 討論の後、採決がおこなわれ、与党等の賛成多数で法案は可決されました。

重要土地利用規制法案反対討論(予定稿).pdf

20210615_213752_01_rsz.JPG
採決の様子