衆院厚生労働委員会で25日、閉会中審査がおこなわれ、「立憲民主・無所属」会派から稲富修二議員が質疑に立ちました。

 新学期開始にあたって、(1)現下の感染拡大の中で、学校再開は妥当な判断か(2)学校再開にあたり分科会の意見は聴取されたか(3)国内の子どもへの感染について(4)児童生徒向けの抗原検査キットで検査体制は十分といえるか(5)小児病床は十分と考えているか――などについて、政府分科会の尾身会長や田村厚生労働大臣にただしました。

 尾身会長は学校再開にあたり、政府から分科会の意見は聴取されなかったと明かし、可能であれば、夏休みの延長が望ましいという考えを示しました。また、子どもたちへの感染を防止するために、学校における教職員へのワクチン接種や、無症状者を含めた定期的な検査体制などの対策が急務であるとの認識を示しました。

(1)現下の感染拡大の中で、 学校再開は妥当な判断か

 稲富議員は地元福岡県で小学生の保護者たちから、子どもたちへの感染リスクについて不安の声が寄せられていると問題提起し、「昨年の一斉休校をどう評価しているのか」尾身会長の認識を確認しました。尾身会長は「昨年のあの時点で一斉休校をやる必要はなかったと思うが、政府が何とか感染を防止しようという決意は伝わったのではないか」と懐疑的な考えを示しました。

 その上で、稲富議員は「オンライン授業の活用も考えられるが、現時点では学校再開は可能とお考えか」と質問しました。尾身会長は「可能であれば、地方自治体で夏休みの延長を検討するべき。学校における教職員へのワクチン接種、抗原検査やPCR検査を定期的にやっていくことが重要だ」と感染防止策を説明しました。

(2)学校再開にあたり分科会の意見は聴取されたか

 稲富議員は8月20日の萩生田文部科学大臣の閣議後記者会見における「国からの休校要請はしない」という発言を引用し、「この休校要請はしないという政府方針の決定に当たり、分科会の意見は聴取されたのか」尾身会長に質問しました。尾身会長は「政府からの分科会への要請はなかった」と答弁しました。

(3)国内の子どもへの感染について

 稲富議員は厚生労働省に「新型コロナウイルス感染症による20歳未満の重症者、死亡者は何名か」確認しました。厚生労働省は8月24日現在、20歳未満の重症者は1名、死亡者は0名だが、新規陽性者における20歳未満の重症者割合は上昇傾向にあるという調査結果を示しました。また、田村厚生労働大臣は重症者の中でワクチン接種済の高齢者の割合が減っていると強調し、デルタ株による感染状況を注視していく考えを示しました。

(4)児童生徒向けの抗原検査キットで検査体制は十分といえるか

 稲富議員は「発熱した児童生徒向けに抗原検査キットを学校に配布するとの方針も示されているが、無症状の子どももいる。家庭内感染が増えている現状を考えれば、発熱しなくても定期的なPCR検査が必要ではないか」と尾身会長に意見を求めました。尾身会長は昨年クラスターが多発した高齢者施設の感染防止対策として、職員への定期的なPCR検査が効果があったとし、可能であれば、無症状者を含めたPCR検査を週1回定期的におこなうことが重要だと説明しました。

(5)小児病床は十分と考えているか

 米国では、小児科病床がひっ迫しているとの報道があると危機感を示し、「小児病床は十分に確保されているといえるか」尾身会長に確認しました。尾身会長はデルタ株による小児の重症化の可能性に言及し、国内の基幹病院において、小児病床の確保が必要だという考えを示しました。

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