「『今回発表したものしかやらないのか』みたいな誤解も招いているのですが、決してそんなことはありません。今回は、発足後の最初の閣議で、すぐに出来ることだけをピックアップしました。実は政権を取ってもすぐに一気にバラ色になるわけでありません。予算や法案を成立するには一定の時間がかかります。他方で閣議決定をすれば、それだけで物事が進むことが実はたくさんあります。その中から特に国民の皆さんの関心が高く、自民党政権ではとてもできないこと、そして重要なテーマを選びました」(「閣議決定7項目」について、枝野幸男代表)。
立憲民主党は8日夜、りっけんチャンネル「 #政権取ってこれをやる―今なぜ国会が開かれないのか―」を配信しました(司会:田名部匡代参院議員)。前半の第1部では、枝野幸男代表が登場し、前日に第1弾を発表した「政権発足後、初閣議で直ちに決定する事項」の7項目や、国会、総選挙等のテーマについて語りました。同番組は、YouTube、およびTwitterを通じライブ配信され、視聴者から寄せられた質問に対し、枝野代表が回答していくという形式で進行しました(※「りっけんチャンネル」は、毎週水・金・土曜日の週3回、配信をしています)。
■政権発足後、初閣議で直ちに決定する事項、7項目について
政権に就いた際に速やかに行う閣議決定7項目について、枝野代表は「政治はどうせ変わらないと諦めている方もたくさんいるのですが、政権が変わらなければ、表紙をいくら変えても変わらないことの方が大半です。でも政権が変われば間違いなく、いくつものことが変わっていきます。そのことをきちんと国民の皆さんにお伝えをする責任が、われわれにはあるだろうと思っています」と述べた後、以下のように説明しました。
――今回、7つの項目が選ばれたことについて
『今回発表したものしかやらないのか』みたいな誤解も招いているのですが、決してそんなことはありません。今回は、発足後の最初の閣議で、すぐに出来ることだけをピックアップしました。実は政権を取ってもすぐに一気にバラ色になるわけでありません。たとえば予算は、国会で審議しなければならないし、予算書はかなり緻密に作られていますので、それを編成するだけでも数週間かかります。法律もミスのない法律の条文を作って国会に提出し、国会の賛同を得なければ法律になりません。それには一定の時間がかかります。他方で、実は閣議決定をすれば、それだけで物事が進むことがたくさんあります。その中から特に国民の皆さんの関心が高く、自民党政権ではとてもできないこと、そして重要なテーマを選びました。
――補正予算等の編成について
われわれは、今とにかく『補正予算を組め』と政府に要求しています。例えば医療支援も足りないし、事業者支援も、生活困窮者の支援も足りないと。もうお金が足りない、どんどん出さなければいけない状況だと。私たちは今、予備費でもいいから、とにかく何でもいいから、お金を積まなければダメではないかと言っているのです。しかしどうも(衆院)選挙前にはやらないということですので、予算編成をしろという決定を最初の閣議でしたいと思います。その具体的な中身は、今の政調会長、そして経済調査会長のところで最終的な詰めの作業をしている段階です。
そして実は来年度予算、来年4月からの予算は、もう編成作業がだいぶ進んでいます。各役所から概算要求といって『こういう予算をつけて』と財務省に対する要求が出ているのですが、これも相当見直さなければいけない。これもすぐに指示をして決定したい。
――新型コロナウイルス感染症対策の司令塔について
今はとにかく各役所、大臣ごとにバラバラではないでしょうか。私自身の東日本大震災の経験と教訓からも、やはり官邸の官房長官の下で各役所の情報を集約して、そこで各役所のやってることを調整しましょうと。まさに閣議で決めればそういうチームを組めるわけですから。これも直ちにやりたい。
――その他の項目について
まさにこの間、隠ぺい・改ざんが積み重ねられてきた。そのことで国民の税金が食い物にされた、あるいは人の命が失われている。そして学問の自由が脅かされている。学術会議の準備も、総理が決めて閣議で確認すれば、すぐに任命できます。それから資料の公開も閣議で決めれば各役所は抵抗するでしょうけれども、もう閣議で決めたんだからやるんだということを主張できますし、公開だけではなくて、真相究明の調査をしなければなりません。このチームを直ちに立ち上げるということです。
■大胆な給付金の支給について
――大胆な給付金の計画はありますか
大胆な給付金は、補正予算でできます。法律なしでもできるので、この補正予算では、『すぐに』そして『大胆に』やらなければならない生活支援と事業者支援を実行に移します。事業者支援は、去年一度は使った持続化給付金という枠組みを使えば、手続きが簡単になると思います。これをもっとメリハリつけてやっていく。こういう補正予算のかなり大きな方針のところまで、詰めています。見落としてるところがないかどうか今、精査をしています。これもどこかのタイミングで発表をする予定です。
■政策の財源について
財政の健全化は、もちろんを忘れてはいけない大事なテーマです。しかし、まずこのコロナという100年に1度、あるいはもっと稀かもしれないという危機の中では、財源を気にしてやるべきことをやらないと、国民の命が失われたり、つぶれなくてもいい事業がつぶれてしまい、取り返しのつかないことになります。結果的につぶれなくていいところがつぶれてしまったら、長期的には『税収』という意味でも大きなマイナスになる。財源の問題は一時的に棚上げをしてでも、コロナから命を守る、そしてこのコロナ危機から暮らしや事業を守る。今は財政の健全性というのは、少し留保して、しっかりと必要な財源は、国債を発行してでも手当てしていく。このことは腹を括ってやらなければいけないことだと考えています。
■拉致問題と基地問題について
拉致問題については、党としてまとめる予定の政権政策の中に織り込むことをすでに決めています。それから基地問題についても、これはわが党単独ではありませんが、市民連合の皆さんのご要請、政策要望を受けて『これをわれわれは実行します』ということをお約束した、いわば一種の共通政策。その中の大きな柱の1つとしても示しております。また党独自の政策の中でも大事な柱として打ち出してまいります。基地問題については、すでに従来から申し上げてきているので、改めて政権政策としてもしっかりと皆さんにお約束したいと思います。
■安全保障政策の考え方について
党の綱領や基本政策でもお示ししている通り、健全な日米同盟を基軸にして、そしてわが国の安全を守っていく。こういう基本的な考え方に立っています。そうした意味では、大きな軸が今の政権と変わる訳ではありません。ただ私もかつて経済産業大臣として経済通商分野を担当しました。やはり日本はアメリカに言うべきことを言ってきていない。例えば地域協定とか、沖縄の基地問題などです。もちろん米国には米国の言い分もあるので簡単ではありません。でも地位協定が『不公平でしょ』ということは、繰り返し日本は主張していかなければならない。しかしこれは、今までの政府にはできていないと思っています。全体的な傾向として国際社会では、お互い言いたいことを言う。相手を忖度して何か言わなくたって分かるだろというのは通用しないですから。もっとちゃんとわが国の立場、主張をしっかりと示していくことで、例えば地位協定も、短期ではたぶん難しいかもしれませんが、公平なものに変えていくことができるし、沖縄の基地についても、何も辺野古に新基地を作らなくても、日米同盟がしっかりと機能していく形というものは必ず作っていける。そういう部分で変えていきたいと思っています。
■他党との連携について
今日、野党4党との間で、市民連合さんの提案を踏まえ、かなり詳細かつ具体的に、しかもこれまで自民党ではできなかったことについてお示し、お約束をさせていただきました。その場でも申し上げたのは、これは市民連合の皆さんからの申し入れにお約束をしたのではなくて、国民の皆さんに対するお約束だということです。そのつもりで、しっかりと実現に向けて頑張っていくということを私は申し上げました。
――国民民主党との連携について
最低賃金の問題や、非正規雇用が増えている問題などをはじめとして、政策についてしっかりと一致をしています。違いは違いとしてそれぞれある訳です。けれども、共通している部分だけでも、今の政治と皆さんの暮らしは、大きく良くなるということです。既に政策も中身としては、ほぼ固めることができたと思っています。
■公務員人件費の削減について
私たちは公務員の人件費を、特に地方公務員の普通の立場の方の人件費を削減するという時代状況ではないと考えています。特に地方では、人口に占める地方公務員の方の割合が大きいし、その方々が一定の収入を得て、故郷に残れて、地域で消費をしないと地域経済が成り立ちません。今は正規雇用の地方公務員の方でも、決して(給与水準が)高くはないし、非正規の地方公務員は、ものすごく多い。地域によって半分くらいを占めており、一種のブラック企業です。むしろこういう人たちを正規化して、賃金の、特に真ん中から低い人たちの水準を押し上げる。これは私たちの明確な方針で、これは公務員の方のためだけではありません。公務員の質を高めると同時に、地域での消費を増やしていくことに結果的に繋がっていくと思ってますので、ご心配なく。公務員の給料を下げるという考え方は取っておりません。
■国会を開かない今の状況について
今、国家的な危機の中で国会で議論することから逃げる、そして必要な予算が足りないのに、それを決めることすら逃げるというのは、ちょっと許されないことと思っています
筋論でもあるし、同時に今、本当に必要な議論、必要な予算、場合によっては法律だって――辞めると言った総理の下ですが――与野党一致すればできる。法律をつくるのは、最終的には内閣ではなく国会ですから。それはもうどんどんやっていくべきだと私たちもあきらめずに訴え続けたいと思います」。
■間近に迫る総選挙について
とにかく私たちは全力をあげて、国民の『命と暮らし』を守るために戦ってまいります。でも選挙は私たちだけでは戦えません。私たちの考え方にご理解をいただいた皆さんと一緒に『変えよう。』と呼びかけています。『変えます。』ではありません。私たちだけでは変えられません。一緒に今の『命と暮らし』を守るために変えましょう。私たちも全力をあげます。