衆参両院の正副議長の主催する「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応に関する全体会議」が4月17日午後、衆議院議長公邸で行われ、13の政党・会派の代表者らが出席しました。
立憲民主党からは、野田佳彦・党安定的な皇位継承に関する検討本部常任顧問(党代表)、馬淵澄夫・同本部長、野田国義・同副本部長、田名部匡代・同本部長代行が出席しました。
立法府の全体会議は、今年に入り4回目になります。前回3月の全体会議では「皇統に属する男系男子を養子に迎えることについて」をテーマに、前々回2月は「女性皇族の婚姻後の配偶者及び子の身分について」に関して各党が自由討議を行いました。
今回は、玄葉光一郎衆院副議長が全体会議の冒頭、前回と前々回で行った2つの論点に関して、これまでの議論の繰り返しを避けたいとして、「十分に議論がなされていない課題を提示したい」と述べました。これを受け、橘幸信衆院法制局長が「各党・各会派の意見の要点」について説明を行い、4つの残された課題が示され、これらに関して各党の見解が求められました。
最初の課題は、「女性皇族の婚姻後の皇族の身分保持」をめぐり「現在の内親王・女王殿下の処遇について」、(1)対象を女王まで含めるのか(2)身分保持は選択制とするのか――との内容でした。
立憲民主党の馬淵本部長は、「対象となる女性皇族の範囲は、安定的な皇位継承の目的からすれば、内親王のみならず女王も加えるべきだ」と指摘しました。また(2)については、女性皇族が現行の皇室典範のもとで過ごしてきたことに配慮する必要があり、「この全体会議で今後、選択制も含め議論すべきだ」と表明しました。
次の課題は、「皇統に属する男系男子を養子に迎えることについて」に関して、(1)対象を旧11宮家に限定するのか(2)旧11宮家のうち、時期や親等など区切るのか――との論点でした。
馬淵本部長は、対象範囲の線引きは困難であり、「政府の有識者会議報告書のとおり旧11宮家に限るべきである」と述べました。一方で、養子案を法制化する際、「恒久的な法律とする場合は事実上の世襲の貴族を創ることになる」と指摘し、「対象者は年を追うごとに広がり続け、ほかの国民に溶け込んでいく。時期と親等は限定すべきだ」と強調しました。
この点に関連し、他の会派から、立憲民主党は養子案を認めたのか、との質問があり、馬淵本部長は、養子案は憲法14条1項の平等原則に違反する疑義があり、前回3月にも指摘した通りだ、と回答しました。
最後に、養子案をめぐり、馬淵本部長は、「養子の養親となるのは誰になるのか、意思確認はどのように行うのか、まったく解決策が示されていない」と懸念を示しました。あわせて、前回会議で、現在認められていない養子縁組の意思確認はできないという主張がなされたことに関連し、立法事実を確認せずにどう制度設計を行うのか、と改めて批判しました。
全体会議の終わりに、額賀福志郎衆院議長が今後の進め方について提起しました。
額賀議長は、昨年は2回の全体会議に加え、個別聴取を行い、また今年は全体会議を4回開催するなかで、「お互いの意見について理解も進み、多くの会派が合意できる点もあった」と指摘しました。本件は先送りの許されない喫緊の課題であるとして、特例法附帯決議から8年、有識者会議報告書から3年が経過しており「すみやかに結論を出すのも国会の責任だ」と述べ、衆参正副議長4者でとりまとめ案の作成に入り、次回の全体会議で議論してほしい、との意向を示しました。
終了後、野田常任顧問と馬淵本部長が国会内で、記者団に対し全体会議の内容などについて説明しました。