枝野幸男代表は11日、東京・板橋区を訪れ、立憲いたばし時局講演会「立憲民主党が目指すコロナ後の社会像」に参加し、講演をおこないました。会合には、東京11区総支部長である阿久津幸彦衆院議員のほか「立憲いたばし」議員団の宮瀬英治都議、中妻穣太、小幡健太郎、渡邊義輝各板橋区議が参加しました。
枝野代表の講演に先立ち、あいさつをした阿久津議員は、誰一人取り残さない寄り添う政治をしたいと述べ、このことは枝野代表が「お互いさまに支え合う政治」を目指していること、師と仰ぐ菅直人最高顧問が総理大臣時代に「最小不幸社会」を掲げていたことに通じると紹介し、社会的弱者を1人でも救う政治をしたいと表明しました。
阿久津議員は自身の専門が災害対策だとし、東日本大震災の時は政務官の任に就いて、仙台で半年間被災地を回り落選後もNGOで被災者支援を続ける仕事をしてきた実績をアピール。「災害は、全ての方々に平等に襲いかかると思っている」と説く阿久津議員は、特に障がい者の災害における死亡率は健常者の2倍もあり「20%の方々しか自身の判断で避難することができない」と問題視。「避難行動要支援名簿登載者」を充実させて、昼も夜も夏も冬も何度も時間や季節を変えて災害訓練をすることを都議や区議と連携して確立すると意気込みを示しました。また、新型コロナウイルス感染症の拡大も災害の1つと述べる阿久津議員は、2度目の持続化給付金支給や全国一律10万円の特別定額給付金支給の必要性を主張。全国で2000名以上から相談を直に受けて中小企業庁とも話を詰めてきたという阿久津議員は、持続化給付金の支給について「2度目は使い勝手を良くするのが私の仕事。実施するなら大幅に条件緩和をする」と力を込めました。米国の大学院を修了し、外務委員会の筆頭理事を務める阿久津議員は、民主党政権時代は外交で失敗したのではないかと反省を示し、NATO諸国や米国と価値観をしっかり揃えることが重要だと主張。他にも民主党政権時の子ども手当を「復活できたら良い」と力を込めました。
枝野代表は講演で、「買う側にお金がなければモノが売れない」と強調。年収100万円の人はローンも組めず、300万円のモノを買うことができないので年収100万円の人を年収300万、400万円にしてローンを組めるようにすることが経済政策だと主張しました。そのために老後、子育て、失業の不安を小さくし、さらに保育士や介護士など重労働なのに低賃金で働いている人たちに対して、「賃金を上げる。そうすれば人が集まる。所得が安定すれば消費が伸びる。これが何よりの景気対策だ」と力強く訴えました。また、枝野代表は、「野党は批判ばかりで対案がないと言われるが、対案はさんざんコロナ対策で具体的提案をしてきた」と述べ、総裁選挙ではなくコロナ対策を自民党にさせたいと訴え、「残念ながらそれに応じる気配がないのであれば、総選挙で変えるしかない」と主張。水際対策の徹底やPCR検査の拡大で無症状者が感染を拡大させることを防ぐべきだと1年以上訴えてきたと説明し、「こういう準備提案がすでに整っている私たちに政治をやらせていただいて、何とかコロナ危機を乗り越えようじゃありませんか」と呼びかけました。
講演終了後に、質疑応答をおこないました。政府・与党が主張し始めた「こども庁」の設置についてどう思うか枝野代表が答えました。枝野代表は、「こども庁はやめた方がいい。つくるなら『子ども省』じゃなければいけないんです」と主張。「今のように保育所は厚生労働省、幼稚園は文部科学省で管轄する権限を残したまま横にこども庁を作ったって駄目です。両方ともその権限を剥がして、少なくとも小学校入学前は全部この省でやりますとしないと効果がありません」と役所を設置するだけで、権限が他の省にあっては意味がないことを説明しました。