立憲民主党などは2018年6月に「性暴力被害者支援法案」(※1)を衆院に提出しました。その成立をめざし、政府与党に働きかけをしています。

 性暴力は、被害者の人権を傷つけ、深刻な被害を及ぼすものです。立憲民主党は性暴力を禁止し、性暴力を性犯罪として適正に処罰するために刑事法の改正が必要と考えます。また、性暴力の被害者が適切な支援を受け、心身の健康の回復のために継続的な支援を受けることができるようにするために、性暴力被害者支援法を制定する必要があると考えます。

 性的嫌がらせなどの被害体験をTwitterやInstagramなどのSNSで、告白や共有する「 #Me Too 」運動が世界的な広がりを見せています。日本でも、性被害当事者が自然的に集まりフラワーデモが毎月開催されるようになりました。

 2011年には欧州評議会で「女性に対する暴力及びドメスティック・バイオレンスの防止に関する欧州評議会条約」(イスタンブール条約)が採択されました。このイスタンブール条約は、世界のさまざまな国や地域に共通する女性に対する暴力という課題に世界全体で取り組む基盤を提供すると評価されています。

 また、女性差別撤廃委員会は、(2016年第7回及び第8回合同定期報告に関する最終見解等)「(e)女性や女児(特に移民女性)に対するあらゆる形態の暴力の被害者に通報を奨励するとともに、暴力の被害者である女性がシェルターを利用でき、また十分な設備も備わっていることを確保すること」を「…前回の勧告…を想起し、締約国に要請する」とされています。

 2009年に出された国連の「女性に対する暴力に関する立法ハンドブック」では,女性20万人につき1カ所のレイプ・クライシスセンターを設立すべきとしています。この計算でいくと、日本に300カ所以上必要になりますが、現状、ほど遠い数字です。

 日本が、性暴力被害者支援の体制を整える必要があるのは、議論の余地がありません。

資料① 【概要】性暴力被害者支援法案 .jpg

性暴力被害者支援法案とは

(1)性暴力被害者がその被害の性質上支援を求めることが困難であるという性暴力による被害の特性に鑑み、「性暴力被害者支援法」(「性暴力被害者の支援に関する法律」)を制定します。

◇背景説明、根拠、立法事実:背景にある実態は、無理やりに性交等をされた被害経験について
・「無理やりに性交等をされた被害を相談した」は女性37.6%、男性は29.4%
・「加害者との関係」は「交際相手・元交際相手」が28.9%、「配偶者」16.2%、「元配偶者」10.6%、「まったく知らない人」は12.0%
・「加害者との上下関係」は加害者の立場が「上位だった」が55.3%

(2)各都道府県の性暴力被害者のためのワンストップ支援センターは、被害発生直後の緊急対応(72時間以内の緊急避妊、証拠保全、医療ケア、心理的ケア、被害届等)が可能となる病院拠点型を目指します。

◇背景説明、根拠、立法事実:「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」には各地の状況に合わせさまざまな形態があります。立憲民主党は、各地の実情を踏まえた上で、急性期の医療的ケア、精神的ケアを重視し、病院拠点型の普及を目指しています。

(3)ワンストップ支援センターの安定的な運営、支援員の確保、育成等が行えるよう、財政支援を行います。

◇背景説明、根拠、立法事実:政府はワンストップ支援センターに予算をつけています。しかし、予算は毎年度決めるものですから、根拠となる法律を制定し、長期的な安定的運営を可能にすべきです。支援員や性暴力を専門とする医師の育成等には時間がかかります。長期的な展望にたって、人材育成をしていくためにも根拠法が必要です。

(4)警察への届け出の有無に関係なく、急性期、中長期に適した十分な被害者支援を行うことができるようにします。

◇背景説明、根拠、立法事実:被害を相談することすら大変な状況なのに、警察に訴えることは、さらにハードルが高いです。警察への届け出の有無に関係なく、当事者に必要な支援を受けることができるようにします。

(5)性犯罪捜査での関係機関の連携等による被害者支援を制度化し、子どもと女性の人権と一生涯にわたる健康を真に守ります。

◇背景説明、根拠、立法事実:ワンストップ支援センター、病院、警察、弁護士、検察等性犯罪捜査にはいくつもの機関がかかわります。被害者の立場にたって、関係機関が連携し、被害者の人権と命と健康、人生を守る制度を作ります。

(6)被害の未然防止、被害者救済には加害者への対応が必須です。加害者のカウンセリング・治療、調査分析、加害者更生に取り組む団体への支援、人材育成などについて法整備を検討します。

・SNSの活用をはじめ、誰もが相談しやすい窓口の整備を早急に進めます。
・いわゆる「デートレイプドラッグ」を悪用した性犯罪被害を防止するとともに、被害者支援に取り組みます。
「デートDVとは」https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/date_dv/index.html
「レイプドラッグとは」https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/dfsa/index.html
・アフターピル(緊急避妊薬)を処方箋なしで薬局で購入できるようにします。
・セーフアボーションのため、経口妊娠中絶薬が速やかに承認されるようにします。

【相談窓口】
・性暴力に関するSNS相談「Cure time(キュアタイム)
#8891 犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター一覧

【参考資料】
資料1 法案資料一式
【概要】性暴力被害者支援法案.pdf
【条文】性暴力被害者支援法案.pdf
【新旧対照表】性暴力被害者支援法案.pdf
【要綱】性暴力被害者支援法案.pdf

資料2 法案提出時期のリスト
資料②「性暴力被害者支援法案」の審議経過.pdf

【参考データ】女性に対する暴力の現状と課題(内閣府男女共同参画局)
P27「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの全国の相談件数の推移(令和2年度)」
P28 「性犯罪・性暴力被害の相談者の年齢」
P29「無理やりに性交等をされた被害経験について」
P35「性犯罪・性暴力被害相談体制の拡充」