枝野幸男代表「政権政策2021」発表記者会見

2021年10月13日(水)15時30分~16時28分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/x58yKWU1vxU


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○立憲民主党「政権政策2021」を発表

【大串役員室長】
 定刻となりましたので始めさせていただきたいと思います。お集まりいただきましてありがとうございます。立憲民主党の次期総選挙に向けた政権政策を発表させていただきたいと思います。
 まず冒頭述べさせていただきますが、記者の皆さんとは間をとって置かせていただいておりますので、代表はマスクをとって話させていただきます。この点に関しては距離ありということでご了解いただけたらと思います。
 それでは立憲民主党「政権政策2021」の発表でございます。枝野代表のほうからお願いします。

【枝野代表】
 お集まりいただいてありがとうございます。
 昨年の9月15日に結党いたしまして、いつ総選挙があってもおかしくない状況でございましたので、もちろんそれまでの共同会派における蓄積などもありましたので、泉政調会長のもとで、まずベースとなる政策を積み重ねる、積み上げるということを進めました。概ね、大部分は、この春ぐらいにはそうした積み上げというのはまとめてもらっていたかなと思っておりますが、そうした中から政治状況・社会状況を踏まえて政権政策としてどういう形で打ち出すかということで準備を進めてまいりました。
 まず表紙をごらんいただければ、既に発表させていただいております、この総選挙に向けて発表したポスターと基本的に同じデザイン、そして「変えよう。」というスローガンを示させていただいております。ポスターの発表の後、自民党総裁選挙等もあり、総理もかわりました。相手の総大将がかわった状況でありました。いろいろな対応を考えなければいけないかなと思わなかったわけではありませんが、結局、自民党では変わらない、変われないということが明確になっております。当初の方針どおり「変えよう。」というスローガンのもとで、この政権政策についても準備をさせていただきました。
 既に幾つかのところで申し上げておりますが、「変えよう。」というのがポイントで、「変えます」とか「変えたい」ではないというのが一つのメッセージです。変えるのは私たちではありません。このパンフレットをお読みいただく、政権政策をお読みいただく有権者の皆さんが変える力を持っている。そうした皆さんに「変えよう。」と呼びかけをさせていただくということが、まず全体としての我々の思いでございます。どこに変えるのかといえば、「支え合う日本」へ、そして「まっとうな政治」へ変えようという呼びかけが全体を通しての呼びかけの中身でございます。
 パンフレットの1、2ページ目には、記者の皆さんには配付させていただいておりますが、私からのメッセージ。そして現状の日本の置かれている状況についての客観的なグラフ等も載せさせていただきました。一つには、この新型コロナウイルス感染症に対応できていないという状況、これを表紙だけ変えては変わらないという私からのメッセージ。そして、日本の経済。アベノミクスが成功していない、富の偏在をもたらし、貧困、格差、そして女性の社会参加が進んでいない、こうしたさまざまな現状の問題点を示させていただいた上で、全体で七つのテーマに分けさせていただきましたが、政権政策としてまとめさせていただきました。
 詳細はお読みいただくほうがいいのかなと思っておりますので一個一個細かくは触れてまいりませんが、ご紹介してまいりますと、1番目にはやはり「新型コロナから命と暮らしを守り抜く」。これは足元の新規感染者の数が減っているとはいえ、医療体制の強化と集中的な感染防止、そして強力で広範な生活と事業の支援をしていかなければならない。これについて、何かこれから岸田総理は案をまとめるよう指示しているということでありますが、具体的な我々の政見を示させていただいているつもりでございます。また、危機管理ということ、あるいは国民の皆さんに大きな被害・影響を与えた災害という意味では、この項目の中で東日本大震災と原発事故からの復興についても示させていただいております。
 二つ目は、アベノミクスの失敗、これを転換しなければならないということで、「『1億総中流社会』の復活」ということを掲げさせていただいております。まさにこの3日間の代表質問で違いが明確にできたと思っておりますが、我々は「分配なくして成長なし」。(岸田首相の言う)「成長と分配の好循環」というのは、安倍・菅政権、アベノミクスと全く変わっておりません。そもそもが、成長していない原因が富の偏在、適正な再分配が行われていないことにあると。この明確な認識の違いと対応策の違いは代表質問を通じてはっきりしたと思っております。具体的には、この間、代表質問等でも示させていただきました、具体的な適正な公平な分配。それに加えて、この間弱ってしまってきている中長期的な研究・開発力(の強化)など。そして、単に国民の皆さんに分配をするのではない、再分配が必要であると。この間アベノミクスの恩恵を受けてこられた、いわゆる既得権をお持ちの皆さんには応分の負担をお願いするということについても具体的に示させていただいております。
 三つ目の項目が、自然エネルギー立国であります。「原発に依存しないカーボンニュートラル」を大きく掲げさせていただいたところでございます。自然エネルギー立国は、実は昨年9月、結党直後の本会議で私自身も高く掲げさせていただいたところであります。既に原子力エネルギーからの脱却を目指すということは大きな大きな方針として多くの皆さんにご理解をいただいていると思っておりますが、自然エネルギーをしっかりとふやしていく。そのことは単にエネルギー政策にとどまらず地域の活性化にもつながっていく。そして、第1次産業の多面的な機能と自然エネルギーの活用ということをしっかりとリンク連動させることによって、現実的で実効性ある地域社会がつくっていけるということを、この自然エネルギー立国の項目のところでパッケージとして示させていただいているところでございます。
 四つ目は、「暮らしの安心への投資――『人と暮らし』に重点投資」であります。大きな意味では2項目目の「『1億総中流社会』の復活」、経済を立て直すための大きな柱でもございます。老後や子育て、雇用などの不安が、財布のひもを固く閉ざして、このことが消費の低迷、経済の低迷をつくっている大きな要因でもございますが、ここについては多岐にわたる側面から暮らしの安心をつくっていかなければならないということで、別項目立てをさせていただいたところでございます。特に、学びやすい環境(の実現)、それからいわゆるエッセンシャルワークに対する処遇改善、これも具体的に示させていただいているところでございます。
 5番目、「多様性を認め合える『当たり前の社会』――人権政策の抜本強化」。これはきのう自民党さんも何か40ページにも及ぶということで、何でも並べられたのかなと、何が重点なのかよくわかりませんが、残念ながらそこから選択的夫婦別姓が抜け落ちているということからも明確になっているとおり、我々と自民党との明確な対立軸の一つであると思っております。選択的夫婦別姓、そしてLGBT平等法、さらには同性婚を認める法制度など、誰一人取り残さない社会に向けた人権政策の抜本強化を進めてまいります。
 六つ目の柱が、「平和を守るための現実的外交」であります。これについては日米同盟が基軸であるという基本線は、ここは自民党と我々に大きな違いはありません。そして、経済安全保障や食の安全保障を確保しなければならない。あえて申し上げれば、地球規模の課題への積極的な取り組み、核廃絶の問題などについて、我々こそが具体的なこれからのビジョンを示していると自負をしています。また、健全な同盟関係を維持発展させていくためには、対等で建設的な日米関係をつくっていかなければならない。地位協定の問題、それから沖縄の基地の問題についても具体的に示させていただいているところでございます。
 最後7番目に、「まっとうな政治」ということで、透明で信頼できる政府を掲げさせていただいています。繰り返すまでのことはないかと思います。隠す、ごまかす、説明しない、公文書すら改ざんする、そのことについて総理がかわっても残念ながら何も変わっていない。これまでの隠蔽・改ざん体質に全く反省が見られない。政治への信頼を取り戻さない限り、さまざまな具体的な政策も国民の理解を得て進めていくことはできません。全ての出発点として、「まっとうな政治」を取り戻すため、この9年近い安倍・菅そして岸田政権のもとで壊されてきた民主主義を我々は具体的に立て直してまいるということを示させていただいております。
 以上の七つのテーマに分けた我々の政権政策を具体的に示させていただいた上で、この間、批判ばかりという間違った報道やご指摘が一部から出てきておりますので、そうではないという我々の具体的な国会内外での活動についても、このパンフレットの中で示させていただいているところでございます。
 概ね各論については、既に10回に分けて「#政権取ってこれをやる」ということでお示しさせていただいたものは、きょう示させていただいた政権政策の中からきょうのテーマの区切り方とは違う視点から整理をして発表させていただいたものでありますので、概ねかぶっているかと思っておりますが、これが全体像として国民の皆さんにお約束をして、ぜひ政権をかえようと呼びかけてまいりたいと思っております。
 なお、我が党もいわゆる重点政権政策とは別に、網羅的に「これについてはどうなんだろう」という有権者の皆さんの疑問にお答えできるような政策集は政調会長のもとで整理をしていただいておりますので、あわせて公開をすることになると思っております。
 私からは以上です。

【大串役員室長】
 ありがとうございました。


■質疑

○立憲民主党「政権政策2021」について

【大串役員室長】
 それでは質問を、まず、この「政権政策2021」に係るところから受けさせていただきたいと思います。必要に応じ泉政調会長にもお答えいただきます。社名とお名前をお述べの上お願いします。

【NHK・佐久間記者】
 総論として伺いたい。岸田さんが率いる自民党との最大の違いはどこだとお考えになるか。
 それと、「『1億総中流社会』の復活」ということだが、これは日本全体が貧しくなってきたというご認識だと思うが、それをこの政策でどのような社会にしたいと思っているのか伺いたい。

【枝野代表】
 どこが違うのかということについては、有権者の皆さんのご関心ごとに、どこを捉えていただくのかということがあろうかと思います。一つには、多様性、選択的夫婦別姓などの問題、ここの違いに注目していただける方も相当の数いらっしゃると思っております。隠蔽、改ざん、こうした真っ当でない政治を改めるというところ、これも自民党と決定的な違いがありますので、ここにご関心をいただいている方も少なからずいると思っております。ただ、全体として多くの皆さんに注目をいただけるのは、いわゆるアベノミクスによる富の偏在、格差の拡大・固定化、実際に実体経済はよくなっていない、こうした経済と暮らしの状況をどう立て直すのか。まさに岸田さんがおっしゃっている、そして安倍さん以来ずっとおっしゃっている「成長と分配の好循環」が起きていないから問題であるのに、それを繰り返している全く変われない自民党なのか、この成長していない原因にしっかりと切り込んで適正な富の再分配を行う立憲民主党なのか。ここがある意味で多くの皆さんに注目していただける大きな違いだと思っております。
 後者については、あえて申し上げると、私は日本全体が貧しくなったとは思っておりません。アベノミクス、それから小泉政権以降のいわゆる新自由主義の結果として、豊かさが一部に偏ってしまっている。株価だけが上がった、そして一部の大企業、超大企業における内部留保だけがどんどん多くなっていった。結果的に、強い者、豊かな者をより強く豊かにした結果、「1億総中流」と言われていた多くの国民の皆さんの生活が苦しくなった。あえて言えば貧しくなったということであります。適正な分配をすれば「1億総中流社会」を復活させることは決して難しいことではないと確信しています。

【NHK・佐久間記者】
 もう1問だが、今回の政権公約は給付や減税が目立つ内容となっている。短期的にはコロナの緊急対応というものもあるかと思うが、長期的に給付や減税をどうしていくのか、日本の財政との折り合いをどうつけていくのか、そこについて伺いたい。

【枝野代表】
 まず、今は100年に一度の危機、しかも経済に大きな打撃を与えている危機であるという状況を踏まえれば、私も財政規律は大事に考えていますが、それよりも目の前の命と暮らしと経済を守らなければならないと思っております。おそらくここから、次の総選挙が最大4年後だったとしても、その間はそういう状況の中でいかに暮らしと経済を立て直し命を守るかということで、誰がやっても進めざるを得ないと思っています。  一方で、私どもはきちっと責任を持って、分配を言うのであれば、比較的豊かな恵まれた状況にあるアベノミクスの恩恵を受けてきた皆さんに対して応分の負担をお願いする。それは所得税の最高税率を上げ、金融所得課税を引き上げ、それから法人税に累進課税を導入するという、負担をふやすことをお願いすることを明確に示しています。残念ながら責任政党とおっしゃっている今の与党のほうがそうしたことに全く触れていない。このことを残念に思っています。

【東京新聞・市川記者】
 今述べられた経済政策について2問伺いたい。分配について述べられていた中所得層への実質的な所得税の免除、5%の消費税の減税など、いずれも時限的な措置になっているが、これはいつから始められ、どの期間を想定されているのか。また、それに伴う減収はどのぐらいと見積もっていらっしゃるか。
 二つ目に、富裕層などからの財源確保策について伺いたい。法人税の累進課税や金融所得税の国際標準までの引き上げ、または社会保険料の月額上限の見直しなどを述べられているが、ここから生み出される財源は総額もしくは個別でどのぐらいと見積もっているか伺いたい。

【枝野代表】
 まず前者について申し上げたいと思いますが、緊急対策としてまず第1弾としてやらなければならないのは、これまでも申し上げてきた低所得者に対する一律10万円を基本とする給付と、それから持続化給付金をさらにめり張りをつけて再給付する。これは政権をとった特別国会で可能であればすぐにも補正予算で行いたいと思っています。
 それから、所得税の減免と、それにセットにして所得税の減免が利かない皆さんに対する12万円の給付。これは1年限定で、来年度予算に間に合えば来年度予算で行いたいと思っておりますが、これは政権をとった段階で予算編成の組み替えがどの程度できるのかということの上で最終的に判断せざるを得ない。現状残念ながら財務省はそこまでは正確なことは教えてくれませんので、政権をとった上で最終的に判断したいですが、今のところ来年度の当初予算からできればということを想定して準備を進めているところであります。
 この給付と、来年度1年間で行う給付と減税で、合わせて10兆弱ぐらいの予算規模になると思いますが、これはこの間のコロナの対策でさまざま、実は結果的に感染を広げることにつながってしまった「Go To」キャンペーンなどのことを考えれば、緊急対策としては十分国民のご理解をいただける、そして国債を財源にすることに正当性があることだと思っております。
 消費税については、本当に実際に当たり前に近い日常を取り戻して、飲食や観光、文化・イベントなどが安定的な回復期に入るタイミングでやらないと、巣ごもり需要で潤っていた方のところに恩恵が行ってしまったのでは意味がありません。したがって、そのタイミングを見極めてやりたいと思っていますので、今後の感染状況あるいは感染に対する対応状況です。どれぐらいの期間が必要なのかというのは、短期的には今のような業種も、当たり前の日常が取り戻せればおそらく数カ月は放っておいても需要が戻るのだと思います、みんな我慢していましたから。それを安定的に、少なくとも2年近く大きな打撃を受けていたということを一定埋めるのに必要な期間がどれぐらいかというのは、その段階で判断しなければならないことだと思っております。
 それから、今申し上げたことと、所得税や法人税で比較的豊かな皆さんに応分の負担をお願いするというのは、別次元の、財源のきちっとした確保であります。これは段階的に進めざるを得ません。例えば金融所得課税も、国際水準は30%だと思っていますが、いきなりそこまで一気に上げることはなかなか簡単ではないし、それは経済に与える影響もいっときに大き過ぎるのではないかと。最終的には総合課税化したいと思っていますし、それから大企業に対する累進も段階的にやっていかなければならないと思っていますので、それは経済状況と社会状況の許す範囲の中で順次進めていくので、一概に幾らということは申し上げるものではないと思っています。

【共同通信・小野塚記者】
 今の税制の関係と、辺野古の関係で伺いたい。まず1点目は優遇税制の是正の関係だが、今お話はいろいろあったが、代表質問で金融所得課税については令和5年度までに原則25%に引き上げというお話があった。ほかの例えば法人税の増税などについても想定しているパーセント数や規模感、今お話あったが実施時期に関しても、もし現状で言えることがあれば教えていただきたい。

【枝野代表】
 法人税の累進化などについては、本当に段階的に進めていきますので、短期的な話を申し上げると逆に「その程度か」と誤解をされてもいけませんし、かといって中期的な目標を申し上げると「それ一気にやるのか」と誤解されてはいけないと思っています。
 法人税について言えば、事業規模別に実際の負担率が結果的に累進が利くようなレベルにまで持っていかなければならない。現状は、この記者の皆さんに配っているパンフレットの6ページにあるかと思いますが、法人税の負担率、(資本金)100億円超の規模のところは1000万円以下の規模の企業と同レベルの負担しかしていなくて、1億から10億の規模のところに比べて負担率が低い。これを少なくとも真っ当な順番になっていくレベルが目標ですが、一気にできるかどうかというのは、実際にこれは政権をとって税務当局としっかりと具体策、それから必要な政策減税は残さなければいけない部分もあるのは間違いありませんので、それは具体的に進めていきたい。ただ、目標は今申し上げたようなところであるということです。

【共同通信・小野塚記者】
 辺野古新基地の関係だが、この公約を見ると「辺野古新基地建設を中止し」とあるが、この場合の建設中止というのは、辺野古への基地移転を今後も完全にとめる、辺野古にはつくらないという意味でいいのか。それとも、今の工事計画はとめるが、後段にある米側との交渉次第では将来的に辺野古移転を再開する可能性があるということか。

【枝野代表】
 再開しなくていいような米国との粘り強い交渉を開始するということです。

【「フランス10」・及川記者】
 まず感想を申し上げると、経済政策を2番目に持ってきたし、江田憲司さんと落合貴之さんが使ったグラフや政策がそのまま生かされて大変好ましいと思っています。
 コロナ対策で、きょう岸田さんが、いわゆる世界で言われているワクチンパスポートの導入を示唆された。フランスでは衛生パスポート、イギリスではグリーンパスポートと名前が違うが、いわゆるワクチンパスポートに対する立憲の立場はいかがか。

【枝野代表】
 ワクチンを打ちたくても健康上の理由で打てない方も現実にいらっしゃるということを前提にしなければいけないと思っています。PCR検査は陰性が出ればたしか72時間は人にうつす可能性はないだろうと言われているなど、検査も感染を広げないということについての効果があります。一方で、ワクチンを打っていても感染をしていて人にうつしてしまうということもあるわけですので、ワクチンだけに特化をしてワクチンが打ちたくても打てない方が一種差別的に扱われるということは避けなければならない。
 一方で、経済活動・社会活動を円滑化するためには、やはりむしろ検査を拡充すること、気軽に安く受けられるようにすること、そのこととワクチンとをセットにすることで、ワクチンを打てない方であっても大きな不利益にならないような仕組みを一日も早く組み立てたいと思っています。

【「フランス10」・及川記者】
 ジェンダーギャップと報道の自由度ランキングについてよく突っ込みがあり、国境なき記者団は私も本部を訪れたことがありスタッフが足りないが、傾向としてはこれで正しいと思うが、ジェンダーギャップの場合、結構男性が早く死ぬ国のほうが数値がランキングが上がってしまうという、やや恣意性があるのではないかという指摘があるが、それについてどう思うか。

【枝野代表】
 いろいろな評価は専門的に見れば細かいところであるかもしれませんが、これは世界的にオーソドックスに使われている指標であるということで、ここに示させていただいています。

【フリーランス・宮崎記者】
 細かい確認だが、代表は一律10万円の再給付について言及されたが、こちらの政策パンフレットのほうには入っているか。

【枝野代表】
 まず一つは、全国民を対象にして、これはパンフレットの4ページの上のところにありますが、低所得者には12万円の現金給付、所得税を払っていただいている方には所得税の減免という形で、同等以上の恩恵、給付に相当するものがあるということが、これは足元の緊急ではなくて、このコロナによって痛んでいる消費と家計を助けるということでやってまいります。
 それから、足元の、低所得者に対する10万円。これはこの間も何度も国会でも提起し法案も3月に出している、それをベースにしているものについては、本来は予備費を使ってでも総選挙前にやれということの提案でありますので、ここには入っておりませんが、それが実現されていなければ、政権をとった段階で、従来から議員立法まで提案しているということでありますので直ちに実行いたします。

【フリーランス・宮崎記者】
 代表の大枠でおっしゃっていることは非常によくわかったが、枝野内閣の初日に補正予算で一律10万円、1人10万円ということは、パンフレットには入っていない。政調会長、いかがでしょうか。

【泉政調会長】
 一律10万円というのは、生活困窮者です。

【フリーランス・宮崎記者】
 去年やった10万円を2度目ということで。

【泉政調会長】
 いや、我々は生活困窮者向けの10万円で、2700万人を想定してというものは、我々として言っています。ただ、全国民というのは我々ではないです。

【フリーランス・宮崎記者】
 住民税非課税世帯への年額12万円ということは政策パンフレットにあるが、10万円と12万円があると。

【泉政調会長】
 コロナ対策ということでこれまでずっと言ってきたのは、生活困窮者に対して1人10万円、これは我々としては2700万世帯ぐらいを対象にということをコロナ対策として言ってきた。それは代表おっしゃったように緊急にすぐやるべきだと言い続けてきたものです。
 そして、こちらの政権政策のほうに書いてあるのは、もう少し後の大きな話としての経済対策として載せさせていただいているという整理です。

【フリーランス・宮崎記者】
 もう一点、外交・安全保障に関して。きのう出た自民党の公約との比較で恐縮だが、領域警備のために海上保安庁の体制を強化したいということは自民党ときょうの立憲と全く一致しているが、自民党のほうは、きのうの高市政調会長の発表だと、令和4年度から防衛力を大幅に強化し新たな国際安全保障戦略と大綱と中期防を速やかに策定、ゲームチェンジャー技術などの研究・開発の加速化ということで、政権政党ながら、防衛大綱は10年に1回、中期防は5年に1回というのがこれまでの相場だったが、もうすぐに変えて、令和4年度から防衛費を大幅に増額したいということが入った。それに全く一致する点はもちろん立憲のほうにはそもそもないわけだが、これに対するお考えはいかがか。

【枝野代表】
 まず、そもそもたしか30年くらい続いていた防衛力基本構想を変えたのは実は(民主党政権の)北澤防衛大臣なのですね。今、名前だけ自民党政権になったら変えましたが、その防衛力基本構想に基づいた流れの中にありますので、基本的にはそれを踏襲するつもりであります。
 防衛費については、金額をふやせばいいというものではなく、この間も、イージス・アショアなどはべらぼうな金がかかって絶対に必要だと言っていたのに、ある日突然、誰かの一言で「やめた」になってしまうというぐらい、いい加減に金を積んでいる。アメリカから買っている装備も型落ちのもので、世界の軍事の最先端からいえば「なに型落ちのものを売りつけられているんだ」というような話もあります。我々は額ではなくて、実際に最も効果的に我が国を守るためにはどうしたらいいのかという、これはもう実務的にやっていく話だと思っていますし、まさに実務的に防衛力基本構想を変えたのは、30年ぶりぐらいに変えたのは、我々の仲間である北澤防衛大臣だったということを強調しておきたいと思っています。

【毎日新聞・宮原記者】
 今回「政権政策2021」ということで七つの柱を挙げているが、この七つの柱をピックアップした意図というか、この七つを選んだ理由を伺いたい。今回こちらのパンフレットを見ると、例えば総裁選でも議論があった年金や憲法についてのことは書かれていない。政策集のほうには入っているのかもしれないが、このパンフレットからそういった二つについて落ちた理由等あれば伺いたい。

【枝野代表】
 七つを選んだというよりも、独立でこういう整理をしなければならないよねと。例えば7番(まっとうな政治)などは、ちょっとこれはほかのものと組み合わせてとか、そういう整理ができないですよねとか、6番(平和を守るための現実的外交)もそうですね、1番(新型コロナから命と暮らしを守り抜く)もそうだと思います。そうしたことの中でどういう整理をしたらいいのかということで結果的にこうなったということなので、何か選んだということではありません。我々としてこの選挙で国民の皆さんの関心も高く強くお訴えしたいことを、むしろそれが各論がピックアップされた中で、それをどう整理するかということで、結果的にこの七つということになったというのがこの間のプロセスであります。
 年金については、政策集のほうには書かせていただいておりますが、足元まずは医療とか介護の現物給付、サービスそのものと、それを年金などが少ない方でもしっかりとサービスを受けられる、こういう構造がまず短期的に実現しなければならない。それから、年金は我々はやはり過去の経験を踏まえて、抜本改革をしている余裕はもはやない、そういった意味では遅れてしまっているという前提に立っていますので、政策集のほうに譲りました。
 憲法については、このコロナ禍でそんなところに膨大な政治的エネルギーを使っている余裕は今ない。まず足元の命と暮らしと経済を守ることだと思っておりますので、載せておりません。

【フリーランス・横田記者】
 地域分散・分権型経済の中に含まれる気がしてお聞きするが、リニア中央新幹線についてのお考えを伺いたいのがまず一点。参院静岡補選の争点にもなっているので、推進なのか見直しなのかについて伺いたいのと、あわせて大深度法の見直しも盛り込む予定なのかについて伺いたい。

【泉政調会長】
 リニア中央新幹線については、政策集のほうでこういう形で書かせていただいております。リニア中央新幹線については、環境への影響や工事方法の安全性などを十分に調査した上で、東京・大阪間の早期全線開通を目指します、という形を書かせていただいております。
 一方で、当然静岡県知事のお考えというのは、一つの地方の知事の権限に基づいての意思表示ということですから、それはそれとして地方主権の観点から尊重する姿勢であるということであります。

【フリーランス・横田記者】
 大深度法の見直しは入っていないか。

【泉政調会長】
 現時点では大深度法の見直しについては入っておりません。

【フリーランス・横田記者】
 以前の民主党政権時代の脱ダム政策。自民党はダムありきの河川防災計画を今後も進めてくると思うが、それに対して立憲民主党としては、ダムだけに頼らない、流域治水とか堤防強化とか、そういう政策を打ち出すお考えか。

【枝野代表】
 2009年政権では間違ったメッセージを与えてしまったと思っています。ダムだけでは洪水は防げないとは思っていますが、ダムが有効な場合もある。そこについては流域の状況などを総合的に個別の河川ごとにやっていくという考え方です。

【日本経済新聞・中村記者】
 「分配なくして成長なし」と謳っていらっしゃる代表には大変恐縮だが、いわゆる従来型の成長戦略、こういう規制緩和をしますとか、こういう産業政策をやりますとか、こういった記述が今回の公約は、「分配なくして成長なし」に沿って政策を配架した分、そのあたりの政策の記述は薄く見える。マクロ・ミクロの成長戦略の必要性についてどのように認識されているか。そもそも分配政策の優先であるとか、そういうところがあるのか。あるいは、政策集も含めてどのような政策を打っていくのか、考え方を伺いたい。

【枝野代表】
 いわゆるかぎ括弧つきの「成長戦略」を否定するものではありません。政策集などには各論的に含まれていると思っていますが、そもそもそれを何年やってきて成長していないんですかというのが、現時点で政治が問われている、あるいはアベノミクスが問われていることだと。成長戦略と称しながら成長させなかったことをもっとやるというのは、明らかに間違いであると思っています。むしろ、いわゆる成長戦略と称するものが目先すぐに金もうけになるところばかりにエネルギーを注ぎ込み過ぎた、結果的に日本の研究・開発力の裾野を弱めてしまった、そのことがいわゆる潜在成長力の低下というところにもつながっていると思っています。そうした意味では私どもは、6ページの「『1億総中流社会』の復活」の5番のところで書いておりますが、「中長期的な視点に立った研究・開発力の強化」、これこそが現実的な成長戦略だと思っています。

【IWJ・渡会記者】
 衆院選後に新しい政権がすぐ向き合うのは新型コロナウイルスの第6波だ。そのときに与野党での違いはどこになるのか。自公政権の政策では、新型コロナウイルスの検査の拡充は、抗原検査なのかPCR検査なのかわからない。抗原検査は東京五輪でも使われたが、無症状感染者の検出では精度が落ちると言われており、無症状感染者の検出にはPCR検査のほうが適しているようだ。日本の感染症対策をリードしてきた国立感染研や厚生労働省の医系技官らは1年半徹底的にPCR検査を抑制してきた。自民党が理事長を務める地方医療機能推進機構傘下の国公立病院では、第5波までの間、コロナ患者の受け入れに消極的なままだった。また、第5波の際に日本医師会や東京都医師会が記者会見まで開いて訴えた臨時病院、いわゆる野戦病院の設置にも自民党政権は実現に動かなかった。検査の拡充が行われなかったことは言うまでもない。これらはいずれも厚労省の医系技官や国立感染研の縄張り意識が強く反映されたものであると上昌広医師は指摘している。こうした硬直した医療体制に、野党が政権をとった場合は切り込めるのか、代表のお考えをお聞きしたい。

【枝野代表】
 自民党とのコロナ対策の違いは、2年間言い続けていたのにやらなかったことを選挙が近くなってきたら何か抱きついてきていますので、一日一日を争う話で抱きついていただけるなら歓迎なので全部抱きついていただければ一番いいと思っています、選挙までに。違いがなくなるのが一番いいと思いますが、現状では、まさにご指摘のあったPCR検査。抗原検査の一定の有効性は否定しませんが、やはりPCR検査を飛躍的にふやさなければ、微症状、あるいは症状の自覚のない感染者からの感染をとめることはできないと思っていますので、PCR検査を抜本的に拡大いたします。
 自民党と現状明確に違うのは、水際対策の強化。これは明確に違っています。私の政権では、総理直属で官房長官をトップに、そのもとに厚生労働大臣を中心に総務大臣などで、明確な司令塔のもとでやりますので、しっかりと総理の意思が貫徹されるコロナ対策を行います。

【中国新聞・桑原記者】
 大きく2点伺いたい。一つは、六つ目の柱の外交の中にある、核兵器禁止条約について「締約国会合へのオブザーバー参加を目指します」と書いてあるが、日本政府の署名・批准というのは盛り込んでいない。この点の理由を確認させていただきたい。

【枝野代表】
 これはなかなか簡単ではないというのは間違いありません。ですので、まずはオブザーバー参加ということについて、これはもう政権の意思として進めていきます。それについて、いわゆる核保有国、アメリカなどの理解を得て、これはもう政府の意思として、日本国の意思として進めていく。その上で、そこでの活動などを踏まえた中で、核保有国について参加も促しながら理解を得ていく。これが現実的なプロセスだと思っています。

【中国新聞・桑原記者】
 七つ目の、政治改革の推進に関連して、歳費にまつわる法改正について触れているが、これは選挙後の国会で早期成立を目指すということでよいか確認したいのと、きのうの自民の公約では政治の信頼回復に類するものが重点公約からは外れていたが、その点を代表はどのようにお考えか。

【枝野代表】
 まさにここが自民党との一つの明確な違いだと思っています。
 歳費の問題などは、これは数の力で押し切っていい性質のものではないと思っておりますので、政権政策として野党自民党などの理解を得ながら実現していきたいと思っています。

【朝日新聞・吉川記者】
 「各議会でのパリテ(男女同数)を目指します」と書いてあるが、立憲民主党がきのう発表された公認候補者214人中、女性は37名で17.3%にとどまった。こういった現状をどのように考えているのかというのが一点と、公約そのものと違って恐縮だが、この公約を掲げる衆院選が迫っているが、今回の解散を○○解散と名づけるとしたら代表としてお考えはあるか。

【枝野代表】
 まず1点目は、残念ながら、努力をしてきたつもりでありますが、なかなか衆議院の候補者の中に女性の候補者の比率が低いというのは申しわけなく残念に思っています。一方で、国会ということの意味では、当時の立憲民主党ですが、2年前の参議院選挙ではほぼ半々の候補者を擁立することができました。やはりできるところから現実に女性の候補者をふやし、なおかつそれを当選にまで持っていくことが大事だと思っています。気が早い話ですが、来年参議院選挙があります。ここにおいてはやはり半分を女性候補にするということを目標に、なおかつその多くを当選させるということを目標にやっていくということで、まず国会の場合は参議院から現実的にふやしていくというのが現実的な話だろうと思っています。
 後者については、あまりそういうところで気の利いたことを言えるタイプではありませんので、むしろ国対委員長などに聞いていただいたほうが気の利いたことをおっしゃるのではないかと思いますのでそちらに譲りたいかなと思いますが、あえて言えば「逃げ恥解散」ですかね。

【西日本新聞・神屋記者】
 先ほどの核禁条約に関してだが、「締約国会合へのオブザーバー参加を目指します」となっている。目指すということは、何らかの障壁があると思うが、一番の障壁をどのように考えていらっしゃるかというのが一点。
 もう一つは、近隣外交について。米中対立が激しく、そして中台が緊張している。その中で中国とどのように向き合おうとしていらっしゃるかと、韓国との関係が停滞してほとんど外交が進んでいないと思うが、その点をどのように打開しようとお考えかお聞きしたい。

【枝野代表】
 まず1点目は、完全に時間の問題です。政権選択選挙が10月31日です。それでもし勝たせていただいても、特別国会で政権をつくり、そこから段取りをして、第1回締結国会議に本当に間に合うのかどうかというのは、物理的な日程的に間に合うのかどうかというのはもう実はぎりぎりではないかと思っておりますので、そうしたことも踏まえて、一番の障壁はその日程です。
 二つ目でございますが、中国の人権問題であるとか、膨張主義的、特に海洋においてのさまざまな活動については毅然とした態度で臨むべきであり、それに対しては今のバイデン政権の対中政策の基本姿勢は私も強く支持するものであります。間違っても台湾などにおける力による現状変更を許さない、こうした毅然たる姿勢で中国には臨むべきだと思っております。これは代表質問でも申し上げました。
 韓国との関係については、我々としてはきちっと歴史の事実というものを謙虚に踏まえながら、一方で韓国側にも国際法に基づいた対応を強く求めていくという立場です。

【琉球新報・安里記者】
 3点ほど伺いたい。先ほどの辺野古新基地建設についての質問の中で、辺野古移設工事を再開しなくていいような交渉ということをおっしゃっていたが、このお話だと工事再開の可能性も排除していないように聞こえるが、交渉の結果、現行計画になるというようなことはあるか。
 もう一点、きのうの自民党の公約との比較になるが、今年度で期限を迎える沖縄振興特別措置法についてパンフレットに明記していないが、明記がない理由と、沖縄振興の考え方についてお聞きしたい。
 最後、那覇港湾施設の浦添移設についてのお考えだが、ことし2月の時点で県連の意向を尊重するとされていたが、現在どういう方針をお持ちか。

【枝野代表】
 10年前のアプローチがなぜうまくいかなかったか。それは期限を切ったり、結論ありきをこちらから示したからです。交渉を成功させようと思ったときに、結論ありきで交渉に入ったらうまくいくはずがありません。もし沖縄の民意に沿った結論を出そうと思ったら、今のお尋ねには私はお答えしないほうがいいと思っています。我々としては、工事を再開しなくていいように交渉を進めるということにとどめておかないと、交渉になりません。交渉にならないということは、皆さんの期待に応えられるような結果を出せません。それが12年前の教訓だと思っております。
 それから、たぶんこれ(沖縄振興)は政策集に入っているはずですが、10年前のときの沖縄担当大臣は私でございます。当たり前過ぎて書いていないと、当然のことだと思っています。

【琉球新報・安里記者】
 那覇軍港の浦添移設の件についてだが、その是非について。2月の時点ではっきりお示しがなかったので、現時点のお考えをお聞かせいただきたい。

【泉政調会長】
 今回の政策集でそれを具体的に地名を掲げて書いているところが今ちょっとありませんので、それは改めて後ほど回答させていただきたいと思います。

○衆院総選挙に向けて

【大串役員室長】
 それでは、そろそろ時間も来ていますので、これ以外のところでもしご質問があれば受け付けたいと思います。

【「フランス10」・及川記者】
 東京8区の山本太郎さんが譲った件だが、きのう吉田晴美さんが18時半から20時まで街宣をやるということだったが、ご本人は用意された原稿を手短に読んでそのまま記者に応えることなく去っていかれた。吉田さんはどういう判断だったのか、ご本人が説明されない以上、党代表としてご説明いただきたいと思う。

【枝野代表】
 きのう幹事長がご説明したとおりでありますし、本人としてはなかなかご自身で物を申しにくいことだと思います。結果的に吉田さんが東京8区で戦うことができたことを私も喜んでおりますし、この間、この期間、大変本人に精神的な荷重をかけてしまいましたので、ぜひそこにはご理解とご配慮をいただきたいと思っています。この間の分も党本部としてもしっかりと取り返せるように、党としてのバックアップもしっかりと進めてまいりたいと思っております。

【時事通信・眞田記者】
 政権公約の関係でもあるが、あした解散するということになると思うが、今回つくった政権公約も踏まえて、総選挙にどうやって臨まれていくのか改めてご決意をいただきたいのと、この総選挙の中でどういったことを対立軸に有権者の方にどういったメッセージを届けたいのか、訴えていきたいのか、その辺のご決意を改めてお聞きしたい。

【枝野代表】
 小選挙区制度を軸とする衆議院の選挙制度をとっている限りは、総選挙のたびに国民の皆さんに政権の選択肢をきちっと示すことが最大野党の役割だと私は思っています。残念ながら、最近そうした状況がつくれていなかった。国会で100議席以上の衆議院の現有、総定数の半分を超える候補者、そして十分に練られた政権政策ということで、政権の選択肢ですということを胸が張れる、そういう構造を仲間の議員の皆さんの協力のもとつくられたことは大変よかったと思っています。選択肢はお示しさせていただいたので、これを選んでいただけるように、ここから全力を挙げて戦ってまいりたいと思っています。
 対立軸は、従来、一つにはコロナ対策。水際対策に失敗し、検査も広げず、補償を行わなかった結果、医療も受けられず若年で亡くなる方、お願いばかりされて廃業を余儀なくされた方、あすの食べ物に困る方、医療現場の疲弊、こうしたものをつくってきた。こうした政治を続けるのかどうかということが一つ。
 二つ目は、もう先ほどかなり丁寧に話しましたので繰り返しませんが、失敗したアベノミクスの「成長と分配の好循環」を続けるのか、それともやはり適正な分配がなく富が偏在しているから成長しないということで大きく舵を切るのか。
 三つ目には、隠蔽、改ざん、真っ当でない政治を真っ当にするのか。
 これが大きな三つの争点だと思っておりましたが、これに加えて、この数日で二つ加わったかなと。一つは、選択的夫婦別姓。その「べ」の字もない自民党の公約が示されましたので、やはりこの多様性を認めるのかどうか。自分と違う選択をする人の自由を認めるのかどうかという、まさにリベラルであるのかどうかということが一つの大きな対立軸であると思っています。
 二つ目は、総裁選挙でおっしゃっていたことが政権をとって何一つ実行に移されていないどころか後退している、ぶれ続ける岸田総理を選ぶのか、4年前も含めて一貫している枝野を選ぶのか。これが五つ目の争点だと思っています。

【朝日新聞・吉川記者】
 先ほど「逃げ恥解散」という言葉もあったが、今回予算委員会が開かれずに解散ということになるが、いろいろな疑問に答えていない説明責任という点も含めて、岸田総理に対する評価をお願いしたい。

【枝野代表】
 実質審議をやればぼろが出るからやらないで逃げ切りたいという、そういうお気持ちだったのだろうなと思いますが、そもそもそういう思惑自体が既に国民の皆さんに見透かされているのではないだろうか、その思惑どおりの結果にはならないのではないかと思っています。やはり正々堂々と戦われるべきだったのではないですかと強く申し上げたいと思います。

【大串役員室長】
 長時間にわたり本当にありがとうございました。これからも私たちしっかり頑張ってまいりたいと思いますので、皆様方のご支援、どうぞよろしくお願いします。