西村智奈美幹事長は8日、衆院本会議で岸田文雄総理大臣の所信表明演説に対して代表質問を行った後、国会内で記者団の取材に応じました。

 西村幹事長は冒頭、岸田総理の答弁について「所信表明の内容(の域を)出るものはなく、これから検討するといった答弁が多かった。質問項目を完全にスルーされてしまったところもあり、答弁については甚だ残念だった」「委員会で議論の深堀りをお願いしたい」と話しました。

 記者との主な質疑の要旨は次のとおりです。

Q)寒くなる中、都内でもホームレスが増えている。党として支援活動にコミットする考えはあるか

 私たちは代表選挙の中でそれぞれ主張してまいりましたが、地域での活動をもっともっとやって行って、住民の皆さんと一緒に問題解決をすることの必要性は改めて共有をした所です。これから寒くなりますし、昨年、あるいは一昨年のことを思い出してみても、命にかかわる重要な問題だと思いますので、あわせて検討したいと考えております。

Q)ウィシュマさんのビデオの公開について質問されたが、総理の答弁についての受け止めは

 まずは(手紙への)お返事を書くかどうかについて答弁がなかったのは大変残念でした。今日はウィシュマさんのご遺族の方が傍聴に来られておりましたので、ぜひ良い答弁を引き出したいと思っておりましたが、本当に残念に思います。法務省、あるいは入官庁に任せていて、そこから上がってくる報告を聞くだけでは、本当の意味での真相究明につながらないのは、これまでの経過を見ていても明らかだと思います。ですので、総理自らが主導しての真相究明をお願いし、質問したのですが、それについての回答がなかったので本当に残念に思っています。私は委員会で質問に立つことはそんなに多くないと思いますが、一緒に取り組んで下さる仲間の議員とともに、ただしていきたいと思っています。

Q)新潟県内の政治とカネの問題について質問されたが、総理の答弁について感じることはあったか

 今記憶の中に残っていないくらいなので、たぶん何も答弁していないのではないかと思います。自民党総裁として、――一昨年の広島の河井夫妻の問題があった上での今回の件ですので――党内できちんと調査をして、その報告をすべきと考えて質問をしたのですが、これについて答弁がなかったのは、まさに政治とカネを巡る問題は、広島の一件があった以降も放置されていると受け止めています。大変残念です。

Q)新潟の件は、広島の件とは違うので、結びつけるべきではない

 一部マスコミがどう仰っているか私は実は存じ上げません。私の気持ちとして、あれだけの大きな事件があったにもかかわらず、政治とカネを巡る問題が、またこうやって浮上していることについて、党内での政治浄化が不十分ではないのかという思いで質問させていただきました。衆院議員の方が何か訴えをしているという所までは聞いてはおりますけれども、そこから先の事実認定については、まだこれからだと思っております。そんな中でもやはり自民党総裁としてこの件を重く受け止めてもらいたいという趣旨の質問でございます。

Q)泉代表の質問はどちらかというと提案を前面に押し出した形だったと思うが、幹事長は追及する姿勢が見えたと思うが、意識したことがあるのか

 特に意識はございません。私の質問も追及型に、一見見えるかもしれませんけれども、質問するということは提案することと裏表の関係なので、そこはやっていただきたいという意味──たとえば格差や貧困を拡大してきたことについて、具体的にやっていただきたいという趣旨──での質問なので、けっして提案をしていないということではないんです。

Q)今朝、馬淵国対委員長が野党国対委員長会談を今後は開かない方針を記者団に明かしたが、幹事長としてこの方針はどう受け止めるか

 国対の現場でいろいろとご苦労されているところだと思っています。これまでの慣例で言えば、野党国対あるいは現場での野党同士の理事の意見交換があったわけですが、今なかなか、そういったことになりにくという状況があっての判断だということで、できれば野党全体として、しっかりと質問時間等を確保するために連携はしてもらいたいとは思っていますが、現時点ではいか仕方ないと思っています。

Q)どういった意味で仕方がないのか

 そこは馬淵国対委員長から正確に聞いた方がよろしいかと思いますが、呼びかけに、かつてのように連携が図れないことが見えている中で、なかなか十分な形がつくれないことでの判断だったのではないかと思っております。できれば野国はやった方が良いと私も思っています。

Q)新潟の裏金問題について、岸田総理は沖縄に言い間違えたのを聞いて「その程度の意識なのか」と思ったが、幹事長はどう感じたか

 その程度かと思いました。この問題、本当はもっと深刻に考えるべきことだと思うのですが、そういったところにまで自民党総裁として、きちんと気が回っていないということについて、これでは政治とカネを巡る問題はなかなか明らかにならないだろうとは思っております。

Q)総理は「聞く力」を仰っていたが、今日の答弁の姿勢はどうだったか

 質問については、聞いていただけたのか疑問が残る答弁でした。明確にお答え下さいということで、私としては分かりやすい質問をしたつもりですが、それに対して答弁を敢えてしなかったり、はぐらかしたりということがあり、非常に残念に思いました。これでは聞く力とは言えないのではないかと思います。

Q)具体的にどのあたりがそれにあたるか

 いろいろあるのですが、たとえばケアワーカーの賃上げ。あくまで今回の引上げは第一歩で、さらなる引き上げを目指すのかということも、目指す・目指さないで答えていただければよかったのですが、これから検討するという答弁だったことは本当にすり替えだと思っています。

Q)医療体制の整備についても改めて質問されていたが、十分だと思うか

 医療体制についてもお答えいただけなかったと思います。看護師さんの体制についても3千人という答弁でしたが、これで本当に十分なのか。3万7千床に対して3千人ですから、これまでのコロナの治療の様子を伺っている限りでは、それでは不十分ではないかと思います。

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