泉健太代表は8日、衆院本会議で岸田文雄内閣総理大臣の所信表明演説に対して代表質問を行った後、国会内で記者団の取材に応じました。
泉代表は冒頭、代表質問について「私から17の政策提案をし、前段では立憲民主党の立ち位置を示させていただいた。全国民の皆さまに立憲民主党の本来持っている政策重視、政策立案型の姿を改めて知っていただくことができたのではないか」と述べました。岸田総理の答弁については「所信表明の発言の域を超えなかった。非常に残念だった」と話し、例として若者世代、子育て世代の所得を大幅に増やすための具体策を聞いても所信表明演説の時に述べたことを繰り返すだけだったことを挙げました。また、子どもへの給付をクーポン券で配布する問題、事業復活給付金を店舗ごとに給付すべきなどと指摘しても、残念ながら前進があまり見られなかったと振り返りました。
一方で政策提案について、「環境に関する投資についてはほぼ一致を見て、進めていくこと(答弁)は引き出せたと思う。福島県の再生可能エネルギー2040年の前倒しを指摘し、これも前倒しすると明言していただいた」と話しました。
文書交通費の法改正については、「さすがに自民党の決断次第という展開になっている」「ちゃんと協議をしてまとめることが何より必要ではないか」と述べました。
記者との主な質疑の要旨は次のとおりです。
Q)子どもへの10万円給付の仕方について、岸田総理は自治体の事情によってクーポンでなくてもよいと言及したが納得したか
納得していません。自治体の事情によってと言えば聞こえが良いが、やむを得ない場合や、そういう場合はその理由を文書を作って内閣府に出すなど、いろいろな要件を課しているはずです。事実上、限定的にしか一括給付ができないようにしているのが実態だと思いますので、自治体の現場の皆さんの声、状況をぜひ皆さんも知っていただかなければならないと思います。
Q)官房長官は今日、現金だとしても5万円ずつ分けて支給すると言及したが
何の意味があるんですかね。現金をわざわざ分けて支給するその心は何でしょうね。政府の側も本来の趣旨、目的があいまいだというところからスタートして(欲しい)。政府も混乱しているのではないか。
Q)今日の代表質問の中で、自民党の政策と立憲民主党の政策の違いを示せたものはどのような点か
コロナ対策については、最悪を想定すると言いながら入国規制については甘いと思います。感染はいまだに飛沫と接触に限定していると思いますし、自宅療養が大量に増えてしまう可能性があり、最悪を想定しきれていない、対応しきれていない。
新自由主義について批判をしたのかと思っていたので、市場に依存しすぎたものは何か、派遣労働の緩和がそれにあたるのではないかと言った(質問した)にもかかわらず、そこはまったくゼロ回答。ですから新自由主義を批判したように見えて、実際はこれまでの安倍路線を踏襲している、新自由主義を踏襲しているとしか(見えない)。言葉からは出てこないところが岸田総理の限界かなと感じました。
Q)自民党と立憲民主党との違いは今後どのようにして国民に示して、広げていくか
今回も大きな場になったと思います。私が今回の演説で訴えた若者、子育て関連の施策も一つひとつの政策を国民の皆さまに、われわれの動画や、さまざまな発信の中で広げていきたい。あるいは、車座集会を党でやっていきたいと思っています。そういう中で一つひとつ政策を丁寧に発信していきたい。
Q)事前に予定がなかった、立憲民主党の理念などについて加えられた狙いは
一度作ってみて、各項目について、これで行こうと思いながら、さらにもう少し実際に読んでみた時に、もう少し(時間が)詰められそうだと思いましたので、それであれば国会の取り決め上、質問を追加するのは一定の時間の制限があるので、立憲民主党が掲げている方向性、この国の在り方、そういったものをぜひ国民の皆さんに知っていただきたいという思いで追加をさせていただきました。
Q)普天間飛行場の辺野古移設について、岸田総理の所信演説の内容と立憲民主党の主張は明確な違いがあったと思うが、そこに言及しなかったのは
今回、西村幹事長と分けさせていただいたので、その分担によってということです。
Q)冒頭発言で岸田総理の答弁が所信表明の域が出ないと話されたが、特にどの点についてそう思ったか
先程お話をした若者、子育て世帯の所得を大幅に引き上げるというところ。ここは全く、結局、所信表明のままの答弁でした。
Q)中国の人権に関する国会決議案を今回で採択すべきという考えか。先国会に党として決めた決議案の了承をリセットするのか
リセットはしません。今回マグニツキー法のことを代表質問で触れさせていただきましたけれども、先の国会の終盤で超党派で中国に対する人権の決議をやるべきだという声が上がり、立憲民主党内でも私は政調会長として党内手続きをさせていただき、了承を得て、あとは与党の中での判断というところになったのですが、残念ながら決議に至らずと。これは当然まだ生きていると思っていますし、今後当然、われわれは訴えていきたいと思っています。
Q)先程維新の会の遠藤国対委員長が、文通費について立憲案で1つにまとめていいと記者団に言ったことへの受け止めと、整った場合、立憲として与党との交渉で、どう対応するのか
維新の会がもし立憲案に乗りたいということであれば、われわれも法案を作られていただいた意味があったと思います。代表質問の中でも触れましたが、われわれとしては各党会派のものに比べると一番先進的で網羅的な案を法案として提出させていただいた自負があります。そういった意味で維新がわが党案に乗りたいということについては1つの意思表示だったかな思います。国民民主党も維新と同様に法案を提出されていたことだと思いますので、まずは国民民主さんと維新さんが双方そういうことをおっしゃっていられるのか、これはまず確認をしなければいけないと思います。もし、両党が乗るということであれば、その中で自民党と協議をすることになるのかも知れないわけですが、立憲民主党が代表して協議をするのか、それとも3者で協議にいくのか、ここはまだ両方の考え方があるのかなと思っています。乗るというのは、立憲民主党案についても、当然、各政党で共同で扱いを決めていかなければいけないことになりますから、自民党さんからどのようなアプローチがあるのか、それに対して3党なら3党でどのような判断をしていくのか、こういうことが今後問われるのかなと思います。まだ先行きは見えないと思います。
Q)維新と国民は臨時国会冒頭に出そうと言うことだったが、それが立憲の案に乗るということになると、立憲は政策立案型の政党として存在感を示せたことになるか
そうですね。われわれは熟議をして、ちゃんと党内手続きをとって出そうと。党内手続きを飛ばして他党の案に乗ることはできないということだったが、それでも、その翌日にしっかりと法案を提出するに至れたのは、仲間たちの政策立案力の高さだと思って、誇らしいと思っています。それに各党が賛意を示して、乗りたいと言って下さっていることは大変有難い。政策立案政党であるということを自負しているところです。
Q)10万円の給付のクーポンについて、岸田総理の答弁に納得していないということだったが、どのようにすればよいのか
各自治体現場の声をよく聞いて、本当に政府が言うように自治体の自主性に委ねられるような、一括給付することができるということなのか、例外的ではなく、自治体が自主的に決めることができるものなのか、ここは精査をしていきたいと思っています。よくよく現場の声を聞いて、実態を確かめて政府に対してさらに問いただしをしていきたいと思います。それの法案についても、われわれ今、検討しています。
Q)代表質問で何度も「提案」という言葉を繰り返していたが、批判だけでなく提案するということを表すためか
はい。われわれは、これまでも提案を続けてきた立憲民主党ですけれども、それでもそうではないと見られてしまったところがあります。やはり提案であれば、提案という言葉を使って説明をすること、質問することがより分かりやすいということで使わせていただきました。
Q)この国会で(10万円給付について)新たな法案を出す予定はあるか
いま法案を出すことを検討しています。
Q)法案を出す、出さないの判断基準はどこにあるか
判断基準というのは特にないです。今出すべく準備をしていて、当然会期内に出せれば、出すということです。例えば大幅に政府が考え方を変えれば、法案をださなくとも全てが解決すれば出すに至らない可能性はあると思います。