小川淳也政調会長は14日、末松義規財務金融部会長と国会内で記者会見を開き、立憲民主党がまとめた令和3年度補正予算案に対する組み替え動議の概要を発表しました。立憲民主党は、15日にも衆院に動議を提出する予定です。
 小川政調会長は、補正予算について規模は大きいが立憲民主党が6月に提案した経済対策の半分しか反映されておらず、もう半分を付け加える必要があると語り、歳出全体で11兆8000億円を積み増しする内容だと説明しました。

 財源については、(1)マイナポイント普及事業(2兆円)の削除や(2)10万円給付のクーポン利用(3)辺野古基地建設費用――等を削除して4兆円を捻出。差額は7兆円の赤字国債を積み増すと話しました。
 組み替え案で追加する主な施策として、(1)医療支援、医療従事者への慰労金、検査の拡充など、命を守る歳出に3兆円(2)非課税世代に対する10万円給付(世帯当たりではなく1人当たりとして積み増す)、学生の授業料免除や生活支援など暮らしを守る歳出に約3兆5000億円(3)持続化給付金の再実施、雇用調整助成金の延長、文化芸術支援等、緊急限定的な政府備蓄米の買い入れ枠の拡充など事業を守る歳出に6兆8000億円──を挙げました。

 組み替え案の概要は次のとおりです。


令和3年度補正予算案に対する組み替え動議について(概要)

立憲民主党

【必要性】

〇 これから第6波の感染拡大も心配される現段階において、しっかりとしたコロナ対策や経済対策を打ち立てること自体は必要なことであり異存はない。しかしながら、経済対策は規模が大きければ良いというものではなく、その中身が重要である。今回、政府が提出した補正予算案には、われわれが提案してきた項目や趣旨が盛り込まれたところもあるが、その内容が不十分であったり、効果が疑問視されるような点が散見される。
〇 そこで、心配される感染第6波を抑え込み、国民の命と暮らしと事業を守り抜くために、補正予算の内容をより良いものとすべく、下記の通り、組み替え動議を提案する。

【方針】

1.歳出の増(合計 11兆8000億円)

(1)いのちを守る・・・ 3兆円
・病床・療養施設の確保のため、国がより積極的に関与(臨時の医療施設の建設等)
・収入の減った全ての医療機関・介護施設への経済的支援(クラスターが発生したことによる減収への支援含む
・診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の上乗せ特例の再実施
・医療従事者等への「慰労金」、特定医療従事者(重症等患者対応)への「特別就労支援金」支給
・検査の拡充(エッセンシャルワーカー無償検査、自費検査補助、教職員・児童の検査)
・安価で迅速大量に検査できる機器の普及
・ゲノム解析を積極的に行い感染ルートの把握を徹底
・入国管理の徹底

(2)暮らしを守る・・・ 3兆5000億円
・住民税非課税世帯等に対する一人あたり10万円の給付金支給
・ひとり親など職業訓練についての給付金の増額
・雇用保険等の特例措置の実施(失業手当の給付日数の延長等)
・学生支援の抜本拡充(授業料半額免除、生活支援、奨学金の返還免除)

(3)事業を守る・・・ 6兆8000億円
・持続化給付金の対象拡大・再実施
・雇用調整助成金特例の延長(特例措置の縮減撤回、大企業助成率の引き上げ、等を含む)
・地域公共交通機関への支援(地域公共交通持続化給付金)
・観光産業持続化給付金
・文化・芸術支援の拡充
・茶業支援

・緊急限定的な政府備蓄米の買い入れ枠の拡充

(1)~(3)合計 ・・・13兆3000億円

○ これらについて、令和3年度新型コロナウイルス感染症対策予備費の残額1兆8343億円のうち、1兆5000億円を充てる。
○ なお不足する「歳出の増」11兆8000億円は下記「歳出の減」及び「歳入の増」で対応する。

2.歳出の減(合計 3兆9830億円)

(1)不要な予算
・子育て世帯に対する給付のうちクーポン給付にかかる事務費・・・ 967億円
・マイナポイント第2弾・・・ 1兆8134億円
・辺野古基地建設費用・・・ 801億円

(2)補正予算としてではなく、来年度予算で措置すべきもの
・大学ファンド・・・ 6111億円
・本年度内に執行が困難な公共事業関係費(5か年加速化対策)・・・ 9530億円(注)
・防衛装備品の支払い前倒しのための経費・・・ 4287億円

(注)災害復旧費を除く公共事業関係費1兆2539億円について、過去の補正予算における執行状況を参考にして約76%は年度内に執行することは困難と推定し、9530億円は来年度当初予算にて計上すべきである。

3.歳入の増

・特例公債の追加・・・ 7兆8170億円

[参考]
令和3年度補正予算(政府案)歳出・歳入額・・・ 35兆9895億円
上記組替後の歳出・歳入額・・・ 43兆8065億円

令和3年度補正予算案に対する組み替え動議について(概要).pdf

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