衆院予算委員会で24日、2022年度総予算の基本的質疑が行われ、立憲民主党・無所属の2番手として予算委筆頭理事の大串博志議員が質問に立ち、(1)統計不正(2)新型コロナウイルス感染症――等について取り上げました。

 冒頭、政府が国会に提出した予算案の総務省の各目明細書に誤りがあったことから、この問題を取り上げました。鈴木財務大臣は、この明細書の国会への提出義務は無いと答弁。大串議員は、1960(昭和35)年の答弁を引用し提出の必要性がある書類だと指摘。統一した見解を求めました。

■統計不正

 国土交通省が、国の基幹統計「建設工事受注動態統計」を書き換えていた問題で、岸田総理が昨年の12月の臨時国会で、2020年1月から「修正、改善を行った」と発言していたものの、同20年1月以降も二重計上になりかねない調書が届けられており、どの程度統計に影響を及ぼしていたかこれから検証しなければならないと14日に出された報告書に書かれているとして、岸田総理の認識をただしました。

 岸田総理は、臨時国会の時点の調査で明らかになっていた事実関係について答弁したものであり、「その後、今回の報告書において、さらなる複数の不適切な処理がなされていた。また、問題発覚後に国土交通省内部で不適切な事後対応に問題があった」と答弁しました。

 大串議員は、「『12月の答弁は正しくなかった。それも含めきちんとこれから政府全体でただしていく。その先頭に立つ覚悟だ』と言わないと、統計が政府全体で立ち直れないのではないか」と指摘しました。

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■新型コロナウイルス感染症

【在宅療養の状況】

 岸田総理が、4日の年頭会見で、医療のひっ迫を避け、宿泊、自宅療養を活用するための安心できる体制を整えるため、在宅で療養される方々に、(1)陽性判明の当日ないし翌日に連絡を取り、健康観察や訪問診療を始める体制をとる(2)療養開始の翌日までにパルスオキシメーターをお届けする(3)診断の当日ないし翌日に経口薬を投与できる体制を確立する――と述べたことについて、大串議員は現在の状況をただしました。

 後藤厚労大臣は、「即日ないし翌日にしっかりと健康観察、そしてまた診療が始まる体制を今作って、それはできている」「現在は、保健所の健康観察を通らなくても陽性を発見した医療機関で早速医療を始めるというルートも開いた」「経口薬は、160万人分を確保して、現在20万人分が利用可能」「11万人分の薬剤を
地域の拠点に配置している」と答弁しました。

 大串議員が、具体的にいつ、どの通達、もしくは自治体からの返信で体制ができたのかを確認したかをただしたのに対して後藤大臣は、「きちんと点検するように各自治体に連絡をしたということ」と答弁しました。

 大串議員は、昨年11月10日の会見でも岸田総理が「全ての自宅、宿泊療養者に、遅くとも陽性判明の翌日までには連絡を取り、健康観察や診療を実施できる体制を確保いたします」と述べていることを指摘し、「11月の段階から(岸田総理が)言われているにもかかわらず、今それが各自治体でできているかどうか確認すらされてない」と述べ、問題視しました。

【米軍の入国検疫・水際体制】

 日本に入国する際の検疫上の制限が、米軍・軍属にも適用されているかを大串議員がただすと、林外務大臣は「類似の申し入れを踏まえて、われわれの措置と整合的なものに今おっしゃったところはなっている」と答弁しました。

 空港の水際検査、空港検疫では、全ての入国者に対し、原則としてPCR検査と比較する調査研究でも高い一致率を確認することができた唾液を用いた「抗原定量検査」を実施していることを大串議員は確認した上で、あらためて米軍に対し抗原定量検査もしくはPCR検査を実施することが決定しているかを質問。林大臣は「出国前72時間以内の検査においては、PCR検査または抗原検査が実施されると承知している」「(抗原検査は)抗原定量検査を実施するよう米側に説明・申し入れを行っているところ」と答弁しました。

 質疑からは「いまだに申し入れ」を行っている状況であることが浮き彫りになり、大串議員は「確認されていない、改善されていない」点を厳しく指摘しました。

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