党「拉致問題対策本部」(本部長:森ゆうこ参院議員)は26日、泉健太代表のもとで初となる会議を国会内で開催。拉致問題関係団体、内閣府拉致問題対策本部からヒアリングをしました(写真は、特定失踪者問題調査会、特定失踪者家族の会から要望書を受け取る森本部長と泉代表)。
冒頭、森ゆうこ本部長は、民主党時代から同本部の役員である松原仁、渡辺周両議員らをはじめとして、今開催されている「政府主催 国際シンポジウム」の根拠となる北朝鮮人権法の制定や、政府の啓発活動において拉致問題を位置づけることなどに取り組んできたと振り返り、「金正日総書記が拉致を認めてから20年になる。一刻の猶予もない、何とかしたいという気持ちは被害者家族の皆さま、支援する団体の皆さまと一緒。少しでも前に進めるために力を合わせて頑張っていきたい」とあいさつ。
泉代表は、19日の代表質問で拉致問題を取り上げたことにも触れた上で、政府のこの間の「条件を付けずに」との姿勢について、「やる気を感じられない。まったく新しい取り組みを感じさせない文書がひたすら続く。条件を付けずに何をしていくのかが問われている。あらゆる努力をして国民への啓発とともに解決に向けた努力をお願いしたい」と発言。自身も近く新潟県を訪れ、意見交換をしていきたいと表明し、「対策本部一丸となって取り組んでいきたい」と力を込めました。
ヒアリングは、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会の松木信宏さん(松木薫さんご兄弟)、北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会の西岡力会長、特定失踪者問題調査会の荒木和博代表、特定失踪者家族会の竹下珠路事務局長(古川了子さんご姉妹)から行いました。
松木さんは、北朝鮮のさまざまな発言には根拠がなく、2002年の小泉総理訪朝以後、被害者の死亡を立証するものは何一つ示されていない状況が続いていると指摘。蓮池薫さんが帰国後も外でのお酒を控えているエピソードを紹介し、「北朝鮮から帰ってきたことだけでも御の字だと思うかもしれないが、ふつうの人間としての生活ができるようになっていないといけないのではないか。帰ってきていない被害者のこともお願いしたいが、帰っている人間も自分を律している面があることをご承知おきいただき、ご配慮いただけたら」と話しました。
西岡会長は、昨年12月に亡くなった家族会2代目代表の飯塚繁雄さんが、緊急入院する直前の集会での約6分間のあいさつで3回「あきらめない」と発言したと振り返り、「私たちも決してあきらめることはできない」と強調。北朝鮮の今の情勢については、2017年の国連安全保障理事会による制裁措置の効果が表れてきているとの見方を示し、「全被害者の一括帰国抜きに制裁を緩めたり、支援をすることはできないという、いまの政府の姿勢を続けてほしい」と述べました。
荒木幹事長は、「われわれは特定失踪者だけでなく拉致問題全体のことを要請しているが、政府からは誠意のある回答がまったく返ってきていない」と訴え、「このままでは政権が始まる度に最重要課題で始まり、断腸の思いで終わることの繰り返しになるとしか思えない。要請文書の1項目だけでもいいので前に進めていただきたい」と求めました。
竹下事務局長は、失踪者の当時の年齢は10-30歳代が80%を超え、未来ある働き盛りで、これからの日本を作ったであろう方々が狙われていたと指摘。今その方々の75%以上が60歳代以上になっているとして、「拉致家族も年を取るが、被害者たちも年を取っている。この現実を心にとめていただき、本当に時間がない。命ある間に取り返さなければいけないという思いをいたしていただきたい」と述べました。
内閣府拉致問題対策本部からは、拉致問題の理解促進・情報発信に係る最近の取り組みについて説明を聞きました。
ヒアリング後には、政府の方針や取り組み状況等について質疑応答を行いました。
最後には、同本部幹事長で衆院拉致問題対策特別委員会の理事でもある笠浩史衆院議員があいさつし、「国会では実質審議が長らく行われていない。皆さんと連携しながら国会でも盛り上げていきたい。全力で取り組んでいくことを約束する」と締めくくりました。