衆院本会議で1日、立憲民主党・無所属の伴野豊議員が会派を代表し登壇し、鈴木財務大臣による「所得税法等の一部を改正する法律案」の趣旨説明に対する代表質問が行われました。

 伴野議員は冒頭、現下の新型コロナウイルスの感染拡大により、り患された皆さまに心からお見舞いを申し上げるとともに、エッセンシャルワーカーの皆さまへの感謝と敬意を表明しました。

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■「賃上げ税制」の効果を疑問視

 その上で、岸田総理に対し、「賃上げ税制の強化」について質問。企業の賃上げを促進する税制自体は、第二次安倍政権以降、導入・実施されてきたが、実質賃金も上がっておらず、むしろ下がってきたのが現状だと伴野議員は指摘。「これまで十分な効果を上げることができなかった仕組みで、なぜ賃上げを実現できると言えるのでしょうか」と疑問を投げかけ、「具体的な根拠に基づいた説得力のある説明」が必要と伴野議員がただしたのに対し、岸田総理は「あらゆる施策を総動員し、企業が賃上げをしようと思える雰囲気を醸成していきます」とあいまいな答弁に終始しました。また、「経団連とも問題意識を共有していただいており、実効性があるものと期待しております」と述べ、賃上げ税制の効果に対する明確な答弁はありませんでした。一方、伴野議員は、「賞与など一時的に増減し得るものではなく、基本給の増加を要件とすべきだと」だと提案しました。

 さらに伴野議員は、今般の賃上げ税制が「従業員への還元や取引先への配慮を行うことを宣言していること」を適用要件としているが、その実効性を疑問視。「仮に取引先企業などからの告発により宣言内容を遵守していないことが明らかになった場合、賃上げ税制の適用はどうなるのか」とただしたところ、岸田総理は「制度設計の中で検討を進めてまいります」として、具体的な答弁はありませんでした。

■「金融所得課税」の強化を

 伴野議員が立憲民主党は、「金融所得課税について、将来的な総合課税化を見据え、当面は分離課税のまま超過累進税率を導入すること、同時に資産形成を支援するためNISAを拡充すること等、具体的な提案」を行っているとし、導入を迫ったところ、岸田総理は「総合的に検討を行う」として、再度「検討」と同じ答弁を繰り返しました。

■インボイス制度は延期すべき

 来年2023年10月からの導入が迫るインボイス制度について伴野議員は、「新型コロナウイルス感染症の発生と拡大の影響を受けて、多くの事業者が厳しい状況に置かれており、「少なくとも、コロナ禍が収束し、経済状況が回復するまでの間については、インボイス制度の導入を延期すべき」と提案したところ、岸田総理は「円滑な移行」を進めるとし、コロナ禍による情勢変化を認識していない姿勢が浮き彫りとなりました。


■トリガー条項の発動を

 先週、レギュラーガソリン小売価格の全国平均が約13年ぶりに1リットルあたり170円を超える状況となったことを踏まえ、伴野議員は「コロナ禍で家計が痛んでいる中、この値上がりは衝撃的な打撃」になると指摘。立憲民主党が昨年12月、ガソリン価格を値下げするための法案(トリガー条項発動法案)を提出していることを踏まえ、「トリガー条項の発動を」と迫ったところ、岸田総理はトリガー条項について「その凍結解除が適当でないと考えております」とした上で、業界ごとへの支援などを挙げ「さまざまな支援を重層的に支援している」と述べるにとどめました。また、1月26日の予算委員会で「経済産業省においても考えてもらいたい」と答弁したことについては、「何が効果的なのかについて、絶えず検討していくという政府の考えを表明したもの」だとして、まさに「検討」ばかりを繰り返す岸田総理の姿勢が明らかとなりました。

■欧米諸国のように大企業・富裕層への課税で財源確保を

 伴野議員は、新型コロナウイルス感染症の拡大とその影響を受けて、欧米諸国は財政出動の財源確保策として、大企業や富裕層に対する増税等を検討・実施する動きがあることを紹介。その上で、岸田総理の「財源確保策」をただしたところ、「新型コロナを乗り越えた上で、『新しい資本主義』のもと、『成長と分配の好循環』を生み出し」、その中で、「税収の確保を図ってまいります」と述べ、コロナ禍における財源確保策に具体策はなく、コロナ後に「先送り」する姿勢が露呈しました。

 最後に伴野議員は、「われわれは『分配』政策の本家」であるとして、「あるべき税制のあり方について提案を続けてまいります」との決意を述べ、質問を終えました。

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