衆院予算委員会では2日、新型コロナウィルス感染症対策等についての集中審議が開かれ、長妻昭議員が立憲民主党・無所属の1番手として質問に立ち、(1)緊急事態宣言の検討状況(2)オミクロン株へ対応した対策(3)PCR検査体制の遅れ(4)米軍基地で検疫の穴が空いてしまったこと――などについて岸田総理ら関係大臣にただしました。
長妻議員は、岸田内閣での新型コロナウイルス対策について、「総理は緊急事態宣言について検討していないと繰り返し言及している。しかし、従来であれば出している局面だと思うが、なぜ今回は検討すらしないのか」と質問しました。
岸田総理は答弁で、「まん延防止等重点措置の効果等を確認したうえで、今後の事態の推移を見極めながら考えていく」と述べ、現時点で検討はしていないと答えました。
長妻議員は、「今の重症者だけに着目すると見誤る。2週間後を予測して動かないと手遅れになる」と懸念を示しました。
オミクロン株への対応について長妻議員は、「基本的対処方針についての分科会が昨年11月から開かれていない。総理の一言で開催できる」と述べ、オミクロン株への対応を早急に開始すべきと提案しました。
岸田総理は、これまでも見直しを行っているなどとして、分科会の開催に向けての明言を避けていたが、長妻議員の重ねての質問に、山際コロナ担当大臣は、「オミクロン株に対するコロナ分科会を速やかに開く方向で調整している。論点整理をして近く開くことになる」と答えました。
長妻議員の重ねての要求を受けて政府は、オミクロン株対策を検討するために、コロナ分科会を開催することとなりました。
PCR検査の遅れについて、「あまりに遅すぎる。1日に80万件の検査体制を実現すると総理は言うが、いつまでに達成するのか。昨年末までの間に体制強化をやっておくべきだった」と質しました。
後藤厚労大臣は、「80万件の検査体制がいつまでにできるか断言することは差し控える」と答え、対応が後手に回っていることが明らかになりました。
米軍基地由来の新型コロナウィルスのまん延について長妻議員は、「米軍基地由来のオミクロン株と、東京、大阪、沖縄のオミクロン株のゲノムを照合してもらいたい。米軍由来のオミクロン株が全国のどこまで広がっているかが分かる。これは今後の教訓にもなる。これは総理がやると指示しなくては間違いなくうやむやになる」と述べ、オミクロン株のゲノムの照合と、その解析結果を公表するよう求めました。
岸田総理は、ゲノム情報のみをもって、由来を推定することは科学的に難しいという厚労大臣の答弁をなぞったうえで、「何ができるのかを考えていく」と、後ろ向きの答弁にとどまりました。