衆院予算委員会は2日、2022年度総予算の集中審議(新型コロナウイルス感染症対策・国民生活等内外の諸課題)を行い、立憲民主党・無所属の2番手として階猛議員が質問に立ちました。階議員は、(1)1票の格差(2)人への投資の予算(3)地域金融機関の利益が減っている一因(4)デジタル田園都市構想(5)10兆円の大学ファンドは地方の活性化に貢献するか(6)公文書改ざん事件――等について、質問しました。

 昨日1日の高松高裁で、昨年衆院選の1票の格差が2.08倍であり違憲状態と判決されたことを階議員は取り上げ、「1票の格差が拡大する背景にある地方の人口流出と都市部への人口集中、その結果生じる国全体の人口減少という日本が抱える構造問題を解決することに国会は精力を尽くすべきだ」と強く訴えました。

 そうした見地からデジタル田園都市構想を掲げた岸田総理に地方の活性化策について質問をすると宣言した階議員は、まず施政方針演説で岸田総理が「人への投資」を倍増すると述べていることに触れ、今現在どのくらい「人への投資」として支出されているのかを質問しました。岸田総理は、「数量的にこれをいくらなのか申し上げることは不可能」と回答。階議員は、「人への投資が今いくらなのか。そしていつまでに倍増するのか。これを早急に資料を提出してほしい」と再三にわたり迫り、岸田総理は「さまざまな数値についてはしっかり整理して報告する」と答えました。

 地方経済の発展のために地域金融機関の役割は極めて重要だと説明する階議員は、日本銀行が異次元の金融緩和を始めた2013年以降、貸出残高は増えていても融資等で得られる利益が徐々に減少していることを指摘。「その一因が、日銀が短期金利をマイナスにして、10年利回りをゼロ前後のイールドカーブコントロールを続けていることだ」と述べ、日本銀行の黒田総裁にそのことを認めるか迫りました。黒田総裁は「低金利環境は地域金融機関の経営にさまざまな経路で影響を及ぼしているが、積極的な金融緩和のもとで金融機関の収益にプラスの影響も及ぼしている」と述べ、日銀の政策が一因となっているかは「認めない」と答弁しました。これを受けて階議員は「驚きました」と述べ、「2年で物価安定目標2パーセントを達成すると言って、9年間もだらだら金融緩和、マイナス金利、長期金利ゼロパーセントを行ってきました。この結果、地方の金融機関は経営統合リストラに追い込まれていますよ。その責任を認めない。あなたは本当に中央銀行の総裁としてふさわしいのか」と責任を追及しました。

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 階議員は岸田総理が掲げるデジタル田園都市構想について、米をつくっても赤字で米作りをあきらめざる得ない農家がたくさんいると指摘しました。そのうえで、「このままでは田園なきデジタル、ただのデジタル化措置。そういうふうになりかねない。本当にデジタル田園都市を作りたいならば田園を守るための方策を総理が積極的におこなうべき。田園を守るために何をするか」と質問しました。岸田総理は、農業を支え地方への人の流れをデジタルを通じて作っていくのが重要だ等と説明。階議員は「ぜひ、地方でお米を作っている農家の皆さんは大変な状況ですから、総理のリーダーシップでこうした農家を助けてあげてほしい」と求めました。

 また階議員は、10兆円規模の大学ファンドについて質問。10兆円から年間3000億円の運用益を得てこれを6校に配分すると「500億円もの巨額資金が毎年流れる」と説明。これだけの資金を消化できるのは東京などの大都市にある規模の大きな大学に限られてしまい、「ますます東京に地方の若い優秀な人材が集まってくる。これは地方活性化と逆行する」と懸念しました。岸田総理は、「大学ファンドをはじめ、さまざまな具体的な仕掛けをどう使うか。そして、それが地方における大学を中核とする産官学連携の研究開発拠点につながる。こうした取り組みをしっかり進めていければと期待しています」と答弁しました。階議員は、「地方大学の支援の話は私も聞いていますが、全然支援の規模が違う。それでは格差が広がる一方で、地方の活性化にはつながらない。ただでさえ、東京一極集中が進んでいる中、その流れを変えるには大規模な研究開発拠点設けるべきと考えるので検討をお願いしたい」と求めました。