衆院予算委員会で7日、令和2022年度予算案の集中審議(「新型コロナウイルス感染症対策等内外の諸課題」)が行われ、立憲民主党の3番手として質問に立った後藤祐一議員は、(1)新型コロナウイルス感染症対策(2)北方領土交渉(3)ガソリン税・価格高騰対策のトリガー条項建(4)設統計不正問題――等について取り上げました。

■新型コロナ対策

 後藤議員はまず、岸田総理が「(医療機関などへの流通で)目詰まりが生じている」(1月25日の同委員会で)と認めた抗原検査キットの不足について、「薬局で大量に販売しているが、これはいくらで売ってもいい。しかし医者は診療改定が行われ、12月31日から抗原定性検査においては6千円から3千円に切り下げられている。3千円しか収入がないなかで、医者は抗原検査キットを3千円以下で仕入れるしかない。オミクロン株が感染拡大するタイミングで診療報酬を引き下げたのは大問題ではないか」と指摘。「製造は一生懸命やってもらう必要があるが、需要をコントロールしないと医者に検査キットがいかない」と述べ、2020年3月にマスク及びアルコール消毒製品の転売(購入価格を超える価格での転売)を禁止した「国民生活安定緊急措置法」に基づく制限措置を検査キットに適用すべきだと主張しました。これに対し岸田総理は、措置法の適用に必要な「価格の著しい上昇や買い占め、売り惜しみの恐れのある事態」という要件に該当する状況にはないとの認識を示し、「卸や流通メーカーに対し必要なところに届ける体制、優先順位を考えてもらい取り組みをしてもらっている。必要なところには必要なキットを届ける体制をつくっている」と強弁。後藤議員は「目詰まりが発生して直ってないから言っている。手段があるのだから使ったらいい」と訴えました。

■ガソリン税トリガー条項

 ガソリン税・価格高騰で、1リットルあたりの上限5円を出しても当初の基準だったレギュラーガソリン1リットルあたり170円を維持するのが維持するのが難しくなっている現状を受け、後藤議員は、「補助の上限額を引き上げるべきではないか」と主張。「4月以降油の値段が上がっているとき、トリガー条項を含めて検討することでいいか」と尋ねると、岸田総理は「スタートさせた激変緩和措置の効果をしっかり見ていきたい。4月以降については、今の段階でトリガー条項について触ることは考えていない。何が効果的なのかを政府全体として考えた上で具体的な対応を考えていきたい」などと答えました。

 後藤議員は、4月以降ガソリンの価格が170円を超えていた場合、それに対応する予算案になっていないとして、「令和4年の予算審議をしている今、足元のガソリン価格は170円を超えている。予算を用意しておかないとまずい。補助金を出すのなら歳出項目に乗せておく。あるいは揮発油税を下げるのであれば揮発油税、ガソリン税の税収を少なく見積もっておく。どちらか予算案を修正しないとできない」「今の時点で予見できるのだから、令和4年度関連予算として予算案を修正してガソリン税減収を乗せて、関連法案としてわれわれが提出しているトリガー法案を修正協議して3月いっぱいで法律を通すべきではないか。4月になってから考えるのでは遅いのではないか」と提起。しかしながら岸田総理はじめ鈴木財務大臣、萩生田経済産業大臣は「仮定の話には答えられない」と繰り返し、これに応じませんでした。

  後藤議員はまた、防衛省の「油購入費」975億円の積算根拠がガソリン1リットル140円であることを岸防衛大臣に確認した上で、「170円前提で予算を組み直した方がいいのではないか」と主張。ガソリン1リットル140円で組まれている予算案を170円で算出し直すとどの程度予算額が膨らむのか、同委員会に提出してほしいと求めました。

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■建設統計不正、GDPへの影響

 建設統計問題をめぐっては、後藤議員が「2019年度以降の建設投資額は、二重計上の結果変わりうるという理解でいいか」と確認すると、斉藤国土交通大臣は、「建設総合統計は、過去の確定した実績に対して受注の伸び率で計算をしている。2019年度以降についてはまだ実績ベースが確定してないので変わりうる」と答弁。これを受け、後藤議員は「この数字を使っているGDPの絶対額は、2019年度以降変わりうるということか」と尋ねたところ、山際経済再生担当大臣は「2019年度のGDPについては、今回の事案が国土交通省の建設総合統計に影響する場合には、間接的にGDP統計にも影響が及ぶ可能性がある」と認めました。後藤議員は「国際的な日本の統計への信頼の失墜につながることをどう考えるか」と迫りましたが、岸田総理は国交省の検討会議での議論の結果を踏まえて適切に対応していきたい」と答えるにとどまりました。

■北方領土問題

 「北方領土の日」の同日、岸田総理は都内で開かれた「北方領土返還要求全国大会」で「2018年のシンガポールでの首脳会談のやりとりを含めたこれまでの諸合意を踏まえ、18年以降の首脳間でのやりとりを引き継いで粘り強く交渉を進める」と発言。後藤議員はこれに言及し、シンガポール合意は安倍元総理がそれまでの北方四島の返還ではなく2島返還を軸とした交渉へと転換したものであるとして、「安倍総理の呪縛から逃れましょう。この延長線でやることがこの国にとっていいことになるのか。きわめて疑問だ」と述べました。

 また、今般のウクライナ情勢の緊迫を受け、「欧米がロシアに対して厳しい経済制裁をするとき、日本はどう対応するのか」と質問。岸田総理は「わが国の国益をしっかり考えた上でG7諸国との連携を考え、対応を考えていきたい」と答える岸田総理に対し、「ここのスタンスは問われる。特にLNG(液化天然ガス)をヨーロッパに対して融通することはロシアとの関係でもさほど問題ないと思われ、比較的積極的に取り組んでいい話ではないか。ウクライナの主権の一体性を尊重しながら進めてほしい」と求めました。

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