立憲民主党つながる本部は31日、今年4月から成人年齢が引き下げられたことを踏まえて「『成人年齢引き下げ』から考える今後の課題」と題するヒアリングを開催しました。成年年齢引き下げについては、若者の社会参画を促すと期待する声のある一方、若年者をターゲットとした消費者被害の拡大や高校など学校現場での混乱が懸念されています。そこで都道府県連つながる本部長とオンラインでつなぎ、関係団体から話を聞くとともに意見交換を行いました。

 冒頭のあいさつで田名部匡代本部長代行は、成人年齢引き下げに伴う問題について社会全体で十分認知されるよう努めなければならないし、必要であれば今後も党内で制度の見直しも含めて取り組みを進めたい、と話しました。

 日本弁護士連合会の平澤慎一 消費者問題対策委員会幹事からは、民法の成年年齢引下げが議論され始めた10年以上前の法制審議会で引き下げに関する前提条件として、関連する法整備とその効果の具体化及び国民の理解醸成の三つのハードルが示されたが、そのうち若年成人が喪失する未成年者取消権に対応する法整備や国民の理解醸成は現在も実現していないと述べました。

 日本教職員組合の中谷正史 高校・大学部長からは、これまでもゲーム課金などは問題になっていたが、プリペイドカードでの決済など手持ちの現金にある程度限られていたが、親権者の同意なくクレジットカードの作成やローン契約ができると多額の請求を受ける可能性があることや、退学届など本人にとって重要な手続きが親権者の同意なく行える状況については不安があるなどの認識が共有されました。

 全国消費者団体連絡会の浦郷由季 事務局長(共同代表)は、2016年と2021年に実施した成年年齢引き下げに関するアンケート結果から、5年前に比べて認知度は上がっているものの、19歳以下の回答では30%強の若者が消費者被害防止の要である未成年者取消権について知らないと回答していること、これからの若年者への教育・啓発が必要であるとの発言がありました。

 各団体の説明の後、柚木道義 副本部長が立憲民主党が提出した包括的つけ込み型勧誘取消権の創設やクーリング・オフの期間延長などを柱とした「消費者の権利実現法案」について解説しました。

 参加議員からは、「消費者問題の専門家などに学校で講演してもらうことについてどう考えるか」「4月の施行以降すでに相談やトラブルは発生しているか」「収入がなくてもクレジットカードを作ることはできるのか」などの質問がありました。これらに対して各団体からは、「学校に専門家を招いて講演をしてもらうのは教員の願いでもあるが、多忙な業務の合間にコーディネートするのは難しい」「まだ具体的な事例は聞いていない」「業界団体が学生にはカードを作らない、お金を貸さないよう自主規制をしているが、18、19歳でもカードを作るのが違法ではなくなれば狙ってくる業者も出てくるだろう」との説明がありました。

 また、意見交換の中では、例えば高校生など若年者が相談する先が必ずしも学校などに限られるわけではなく、家族や友人への相談にとどまってしまうことから、泣き寝入りにならないようにどのように消費生活センターなどの相談窓口につないでいくか、など課題の共有がされました。

 司会は、宮沢由佳 副本部長が務め、田名部本部長代行、柚木副本部長のほか、金子恵美、重徳和彦、吉田統彦、湯原俊二、早稲田ゆき、堤かなめ、岡本あき子、道下大樹各衆院議員、岸真紀子参院議員も出席しました。