野田佳彦議員(党最高顧問)は6月1日、衆院予算委員会集中審議の質疑に立ち、冒頭「ウクライナとの連帯の気持ちを胸に、対ロシア外交の検証を」と述べ、第2次安倍政権で外務大臣だった岸田総理に質問しました。

(1)2016年「新しいアプローチ」で領土問題は進展したか

 2016年、安倍総理(当時)はロシアのプーチン大統領との会談で8項目の経済協力を提案、「新しいアプローチ」で領土問題の解決と平和条約の締結を図ろうとし、さらに北方4島における共同経済活動を行うための協議を開始しました。野田議員は、そもそも77年前に火事場泥棒のように不法占拠され、「新しいアプローチ」では食い逃げをされたと述べ、「軽率な、安易なアプローチだった」と厳しく断じ、「厳しく反省をすべき」だと述べ、総理の見解をただしました。

 岸田総理は、「結果につながらなかった。これはその通りでありますが、国際情勢の変化の中で最大限、国益を考えて努力を続けてきた。このことは決して不当ではなかった」と述べました。

(2)2018年のシンガポール合意は日本外交の負の遺産になるのではないか

 これまでの交渉の積み重ねから、4島の帰属問題を解決し平和条約を締結することを確認していましたが、2018年のシンガポール合意で安倍総理(当時)は、2島の先行返還を軸に交渉を進めることに方向転換。野田議員は、「(シンガポール合意は)結果が出なかったどころか、負の遺産として残ってしまうのではないか」と指摘し見解をただしました。

 岸田総理は、「シンガポール合意後も日本政府として、4島の帰属を明らかにて平和条約交渉を進めるという基本的な方針は何度となく確認している」「シンガポール合意をもって、大きく日露交渉の基本方針が変わったとの認識はしていない」との見解を示しました。

(3)「戦後外交の総決算」の総決算こそ「新時代リアリズム外交」のスタート

 岸田総理が「新時代リアリズム外交」を掲げていることから、安倍元総理が掲げていた「戦後外交の総決算」を引き合いに、「『戦後外交の総決算』の総決算が、『新時代リアリズム外交』のスタートではないか」と指摘。「検証なくして外交戦略はない」と述べ、しっかり取り組むよう要請しました。

 さらに、出来るだけ早く戦闘を止め停戦交渉を行うべきか、ロシアがその侵略に高い代償を支払うまで戦い続けるべきか、どちらに軸足を置いているかただしました。

 岸田総理は、強い制裁とウクライナ支援を国際社会が協力して行うことが重要と述べ、ウクライナ国民の思いを尊重しながら平和的に解決するためにどうしたらいいのか具体的な対応を考えていきたいと述べました。

 野田議員は、ウクライナ国民がウクライナの将来を決めるのは鉄則だとした上で、ロシアが集団的自衛権を行使したという論理をこれからも持ち続けるならば、ウクライナの戦いの中で猛省を促す結果を求めていくことは大事だと述べました。

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