立憲民主党は7月26日、新型コロナウイルス対策本部(本部長:長妻昭衆院議員)を国会内で開き、ワクチン3、4回目接種の効果等について宮坂昌之大阪大学名誉教授より、第7波における在宅医療現場の現状についてひなた在宅クリニック山王の田代和馬院長よりそれぞれ話を聞きました。
冒頭のあいさつで 泉健太代表は、「第7波」が拡大する中、ワクチンの4回目接種の対象を保育従事者などにも拡大するよう検討してほしいと要請。現場の実態として、現在の感染法上の分類「2類相当」での運用で保健所の負担がパンクしていること、医療につながらない方が増えていることを問題視し、「政府で2類の見直しも検討されているが、2類のなかで何ができるかを真剣に考えないといけない。重症化の防止、医療へのアクセス確保、保健所の負担軽減のために何ができるかを考えるよう求めていきたい」と述べました。
長妻本部長は、感染力が高いと言われる「ケンタウロス」と呼ばれるオミクロン株の新たな変異株「BA.2.75」が25日に国内初確認されたことにも触れ、「後手後手とならない対策が必要だ」と指摘。ワクチン3回目接種をめぐり、一部報道により「秋にはオミクロン使用のワクチンが開発され打てるようになる」というメッセージが国民に届いているとして、本当に秋に開発されるのかを含めて早急にメッセージを整理して発信してほしいと求めました。
ワクチン3、4回目接種の効果等について宮坂教授は、公益財団法人・東京都医学総合研究所(東京都医学研:小原道法博士データ)の資料に基づき、「新型コロナワクチンの3回目接種による中和抗体上昇効果は、すべての年代で見られ、7カ月以上持続する。4回目接種をすると、高齢者においても中和抗体価が大きく上昇し、3回目接種を上回る効果が期待される」「(オミクロン株の新系統)BA.5は非常に免疫回避性が強いので、抗体ができにくく、抗体が効きにくい。2回接種では防げず、3回、4回接種でかろうじて防御できるか、ぐらいの状況。まずは、若い世代での3回接種を進めることが大事。4回接種も大事。高齢者のみならず、医療従事者、希望者にも行うべき」と説明。イスラエルをはじめヨーロッパ諸国では、国民の7、8割がすでに感染し、ワクチンを打ち、ハイブリット免疫を持っているとして、国民の1、2割しか感染していない日本とは違うとして、「世代を問わず希望者には打たせる方がいい」と強調しました。
第7波における在宅医療現場について田代先生は、自身のクリニックでは日々の定期訪問の間に可能な限りコロナの対応をし、COVID-19症例の往診件数は1日2、3件程度だと述べ、「合併症の増悪であっても受診、搬送調整がつかない事例が頻発。急性期医療機関による後ろ盾がない患者が地域にあふれている」と深刻な状況を報告。「検査に伴う発生届の提出の負担が大きい。目的化した発生届が患者トリアージの足かせになっている」として、必要に応じて現場の医師が入院調整依頼書を発行できるようなシステムへの変更を求めました。最近は陰性証明のための検査を求める声も多く、負担増だとも指摘。不顕性感染のスクリーニングに感度の低い抗原検査がどの程度役に立つのかと提起しました。
また、政府が「行動制限は考えていない」と繰り返し発言する一方、感染者が拡大し乗務員を確保できずバスが運休になっていることなどを例に、「必然的に行動制限が始まっていることを虚しさをもって見ている」と話しました。
会議では、参加議員から「濃厚接触者の扱いの変更をどう思うか」「ワクチン接種により重症化予防、中和抗体をどう維持できるか」等質問が上がりました。