長妻昭政務調査会長は9月6日、国会内で全国知事会より、「参議院選挙における合区の解消に関する決議」(下記PDF参照)について要請を受け、意見交換を行いました。

 決議の内容は、合区の弊害を指摘したうえで、参議院選挙において、国政に地方の意見をしっかりと反映させ、各地方の実情に合った施策の実現を図るため、十分な国民的議論のもとでの憲法改正等の抜本的な対応による「合区の確実な解消」を強く求めるとともに、目前に迫った令和7年(2025)年の参議院選挙に向けては、時間的な制約もあることから、法改正による対応も含めて検討することを強く求めるものです。要請には、全国知事会総合戦略特別委員会委員長の伊原木隆太岡山県知事、全国知事会多田健一郎事務局次長、関係県から平井伸治鳥取県知事、大谷幸生島根県東京事務所長、志田敏郎徳島県副知事、前田和彦高知県東京事務所長らが出席しました。

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 決議文を手交後、まず伊原木委員長が「47人の知事のほとんどが、合区は関係4県だけの問題ではなく明日はわが身であり、関係4県に大変な思いをさせていると考えている。都道府県単位の代表が選出され得る特定枠も弥縫策としてはよくできた知恵の結晶と思いつつ、根本的な合区の解消が依然として必要である。次の調整が必要になったとき、あちらを立てればこちらが立たないこともあり、きれいな形はほぼ考えられない。合区は長続きする仕組みではない。1県から1人は代表が出せるようにお願いしたい」と訴えました。

 同席した関係4県からは、「先進国で広域団体をまたがる合区をやっている国はない。都道府県単位は民主主義のアイデンティティである。合区で投票率の低下や白票の増加が問題になり、令和5年の最高裁判所判決でも合区の問題を認めている。国会の中でできるだけ早くご議論をいただきたい」(鳥取県)、「候補者がいなかったので投票率が24%と半分になった。投票に行っても入れる人がいない。政治への関心は薄れていく要因。参議院の地域代表の意義からも、各県が代表を出せる制度を一日も早く実現してほしい」(徳島県)、「投票率は60%超と6回連続全国一位だったが、令和元年選挙は6位に落ちた。あわせて東西300キロを超え、離島も抱えており、県内をくまなく回るのが困難。候補者5名のうち隠岐に渡れたのは1名のみ。有権者と直接触れ合う機会が減ったのが、投票率低下の大きな要因だ。人口減少や地方創生などの課題に、地方の声を正しく届けるために、合区制度の解消を直求める」(島根県)、「平成28年の参議院選挙では投票率が45%と過去最低で全国最下位となった。合区の弊害であり、昨年の補欠選挙ではさらに最低を更新した。世論調査で8割を超える県民が合区解消を望んでいる。地域の声が国政に反映できない。早急に具体的な議論に移っていただきたい」(高知県)といった切実な声が出されました。

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 長妻政調会長は「選挙政策集では『参議院では、合区を解消し、各都道府県選挙区で議員が選挙されるよう、選挙制度の抜本的な見直しを行います』と約束している。参議院改革協議会は裏金事件のために議論が停滞しているが、その下の選挙制度に関する専門委員会は議論を積み重ねており、なんとか成就したい。参議院の位置づけを法律で強化した上で法律措置でできることを検討したい。今後は飛び地で一つの選挙区になることに驚いた。どう考えても常識外れで国民の理解は得られない。合区の不合理は解消すべきであり、わが党としても粘り強く取り組んでいく」と応じました。

 意見交換では、長妻会長から「(合区の解消は)憲法改正しないと実現できないのか、改正しなくてもいろいろやれるのか」との質問が出されました。伊原木委員長は「一票の価値の平等と都道府県単位の矛盾は、議員定数を増やせばいいという意見もあるが、定数を減らしてきた流れから、オプションから外している」との議論を紹介しました。平井鳥取県知事は、憲法上は、地方自治の章に都道府県という文言を書いたり、都道府県単位という地勢要因を考慮要素に書いたりすることも考えられるものの、「令和5年の最高裁判決は合区の弊害も述べており、憲法論でなくても立法作業でできるとの判断が背景にあるのではないか」「最高裁も変わってきており、立法措置でできる範囲が増えている。スピード重視で解決を図っていただきたい」「(憲法47条は)『選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める』としており、立法府の裁量で収まれば出口はある」などと述べました。

 最後に長妻会長が「憲法を改正しなくてもできるという有識者の話も聞いている。11月の総選挙後、大きく状況が変わる可能性もある。党として一貫して取り組んでいく」と決意を述べて、意見交換を終えました。

参議院選挙における合区の解消に関する決議(2024年8月2日).pdf