政府の全世代型社会保障構築会議の報告書について(談話)
立憲民主党 政務調査会長
長妻 昭
政府は12月16日、全世代型社会保障構築会議で報告書を取りまとめた。立憲民主党の政策を真似た項目が並んでいるが、先送りや検討どまり、踏み込み不足等の問題が目立つ。
立憲民主党は、子ども・子育て関連予算の倍増、高3までのすべての子どもに児童手当15,000円、雇用保険に加入できなかった非正規雇用者やフリーランスも育児休業給付を受けられるようにする新制度の創設、出産費用の無償化などを提案してきた。一方、政府は、岸田文雄首相が自ら打ち出した「こども予算の倍増」について、当面の道筋を示すことさえ来年度の「骨太の方針」に先送りした。やる気が全く感じられない。また、児童手当の拡充、自営業者やフリーランス等に対する育児期間中の給付創設については検討する方針を示したに過ぎない。
立憲民主党はかかりつけ医の制度化(「日本版家庭医制度」)の創設を提案してきた。政府はかかりつけ医に関する措置を講ずるとしたものの、公的な認定制度や登録制度の導入には及び腰である。また、立憲民主党は、介護職員や障がい福祉従事者、保育士等の処遇改善の拡充を提案してきたが、政府は拡充する方針を示さなかった。岸田政権の下では、誰もが必要とするベーシック・サービスの拡充は期待できない。
政府は、令和6年度から後期高齢者医療の保険料賦課限度額を引き上げるとしている。立憲民主党も現役世代の負担軽減のため、後期高齢者の保険料の賦課限度額の引き上げを提案してきたが、政府と異なり、後期高齢者の医療費窓口負担割合をコロナ禍の中では1割から2割に引き上げないことが前提であった。コロナ禍、物価高騰の中で、受診抑制を起こさないよう、2割に引き上げた医療費窓口負担割合を1割に戻すべきである。
短時間労働者への被用者保険の適用について、立憲民主党は新たに適用される事業所に必要な支援策を講じた上で企業規模要件を撤廃することに加え、賃金要件を引き下げることを提案してきた。政府は企業規模要件を撤廃するとしたものの、賃金要件引き下げの方針は示しておらず、不十分である。
立憲民主党は、子ども・若者を応援するための経済的支援の拡充と予算の確保、ベーシック・サービスの拡充等により、子どもから高齢者まで全世代の暮らしの安心の保障を目指していく。
以上