党最高顧問の野田佳彦衆院議員は2月8日、衆院予算委員会で2023年度予算の集中審議で質問に立ち、(1)外交・安全保障(2)経済・金融・財政――の分野について質問しました。
冒頭、野田議員は、6日に発生したトルコ・シリア地震の被災者にお見舞いの言葉を述べるとともに、日本は地震が多く「トルコの抱えている困難は一番よく分かる国の一つ」だとして、できる限りの支援を政府に要請しました。
■外交・安全保障
野田議員は、「1956年共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる」とした2018年のシンガポール合意について、共同宣言が平和条約締結後に歯舞群島・色丹島を日本に引き渡すものであることから、2島返還論に舵を切ったものだとの認識を示しました。その上で、2020年にロシアは憲法を改正し領土の割譲を禁止したことから、「日本の外交にとっては負の遺産になりかねず、憂慮している」と述べ、今後交渉を再開した際にはシンガポール合意が基礎となるのかとただしました。
岸田総理は、シンガポールでの首脳会談における合意を含め、これまでの諸合意や、それ以降のやり取りも踏まえて今後を考えていく」と述べ、今の政府の基本的な方針として「4島の帰属問題を明らかにする」ことが基本的な線であり変わるものではないと説明しました。
防衛増税に関連し野田議員は、自身が東日本大震災からの復興のための増税の際に丁寧な議論を進めてきたと述べ、また2011年の党首討論で、消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革を推進するために身を切る覚悟が必要だとして、議員定数削減を安倍氏と約束し、翌年には定数45削減の法案も提出したが、自民党政権になり守られずにいると指摘。防衛増税の前に議員定数削減を行うべきではないかと問うと、岸田総理は財源について「増税ありきで議論を始めたものではない」「政府の努力を最善のものとしなければならない」などど述べ、議員定数削減については、民主主義の根幹にかかわる重要な問題であり議論を続けていくという姿勢は重要だとしながらも、踏み込んだ発言はありませんでした。
その他、(1)昨日7日の北方領土返還要求全国大会において、シンガポール合意についてこれまでの総理あいさつでは触れていたが今回は触れなかったこと、(2)ロシアへの経済協力は凍結した一方で「ロシア経済分野協力担当大臣」は廃止されていないこと(3)G7議長国としてロシアによるウクライナ侵略にどのように対応するのか――などをただしました。
■経済・金融・財政
アベノミクスを踏襲するのか脱アベノミクスを目指すのかを問うと、岸田総理は「アベノミクスの成果の上に立って、是非新しい時代に向けて持続可能な経済を作っていきたい」と述べるにとどまりました。
日銀総裁人事について、どのような人が次期日銀総裁にふさわしいと思うかと問うと岸田総理は、リーマンショック後には、主要国中央銀行トップの緊密な連携、内外の市場関係者に対する質の高い発信力と受信力が格段に重要になってきている」との認識を示し、「こうした点に十分配慮して人選を行っていきたい」と述べました。
野田議員は、4人の閣僚がドミノのように次々と辞めたことに触れ、「今回の人選ミスは絶対許されない」と指摘。日銀の金融緩和で弊害が出てきており、任期5年のうちに金融政策の正常化をしなければならず、専門知識を持った人でなければならないとした上で、きちんと市場と対話ができるコミュニケーション能力が必要との観点から「確かな人をご推薦いただきたい」と述べました。