衆院本会議で3月28日、「道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案」の趣旨説明・質疑が行われました。「立憲民主・無所属」を代表して質問に立った城井崇議員は、(1)度重なる料金徴収期間の延長(2)現行の料金徴収期限内で債務償還できないことへの責任の所在(3)料金徴収期間の長期延長におけるチェック機能(4)高速道路の今後の需要見込みとその前提(5)国会の判断なく料金を追加する妥当性――等について政府の見解をただしました。
本改正案は、高速道路の料金徴収期間を延長し高速道路料金の確実な徴収を図るとともに、サービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)の利便性向上を図り、高速道路の適正な管理や機能強化を推進することを目的としたもの。政府は背景として、現行の料金徴収期間では、点検強化で判明した重大な損傷に対応するための更新や、国土強靱化などの財源の確保が困難となっていること、運送事業者による高速道路利用が増加することでSA、PAの駐車場が不足するなど整備ニーズが高まっていることなどを挙げています。
城井議員は冒頭、「政府はこれまで『高速道路料金はやがて無料化する』と説明してきたが、本改正案はから今から100年近く先まで有料化し続ける以上、事実上永久に無料化を放棄した『永久有料化法案』ではないか」と指摘。過去の法改正の際に国交大臣は「今回の対応以降、また次々と更新需要が生じるということにはならない」と説明していたことに触れ、想定した料金徴収期間内での償還が果たせず、再度料金徴収期限を延長する必要性が生じたことへの責任の所在はどこにあると考えるのかと尋ねました。
これに対し斉藤大臣は、「高速道路の債務償還については、関係法令に基づき国、高速道路機構、高速道路会社がそれぞれの役割に応じて責任を果たしている。今般、笹子トンネル天井板崩落事故を受けて平成26年(2012年)から開始した詳細な点検により新たに更新が必要な箇所が判明したことを受け、徴収期限を延長することとしている。新たに判明した更新需要について平成26年当時の老朽化などに関する知見では見通すことが困難であった」と強弁。
また本改正案では、更新、進化のための事業を、見通しが明らかになった段階でその都度追加できるように延長の仕組みを変更。事業の追加にあたっては、債務返済期間を50年以内に設定し、最長で2115年までに債務を返済しなければならないとしています。城井議員は「更新事業等の追加に際して、従前から行ってきた法改正が不要となることで、国会での審議が行われなくなり、追加される事業の適切性などについて外部のチェックがないまま事業費が増大していく懸念がある」と指摘。国会の関与がなく料金徴収期限を大幅に延長することの妥当性を問いました。
城井議員は「道路は、すべての人が利用できるように広く公開されているという意味において『公共財』であり、その供給に関する意思決定は公共によってなされるもの。国会での十分な議論と意思決定、及び国会における行政監視がしっかりと担保されなければならない」と主張。しかしながら斉藤大臣は、「制度の見直しを行う必要がある場合にはあらためて国会で審議をお願いすることになると考える」と述べるにとどまりました。
城井議員は「高速道路整備制度・料金制度の抜本的な見直しに早急に取り組み、一刻も早く国民への説明責任を果たすべき」と求め、質問を締めくくりました。