参院憲法審査会は4月5日、憲法54条の緊急集会などをテーマに審議しました。立憲民主党から杉尾秀哉、打越さく良、熊谷裕人の各議員が発言しました。

■杉尾議員議員

 参議院の緊急集会が「70日」を超えても開けるかについて杉尾議員は、高見上智大学名誉教授の学説を引用した上で、「緊急集会は、その立法経緯において、地震等の大災害で緊急の立法措置を講じる必要が生じた場合に備え、憲法73条の『政令への罰則の委任規定』と共に措置されたものである。であるならば、当然に「70日」で事態が終息しない場合は、その終息まで緊急集会を延期できる」と指摘しました。

 ところが衆議院憲法審査会で、緊急集会は「70日」間しか開けないとの認識から一部の会派が「国会議員の任期延長」を提案している点について言及しました。金森大臣が緊急集会制度の根本趣旨について「民主主義を徹底させ、国民の権利を十分に擁護するため、行政権の自由判断の余地を出来るだけ少なくする」と答弁していると紹介し、「議員任期の延長に反する」と言明しました。

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■打越さく良議員

 緊急集会制度について打越議員は、「外国にもほとんど類例をみない」「衆議院の総選挙中における緊急の事態に対処することができる」などと憲法学者が評価していると紹介しました。その上で、今後の議論に際して、「緊急集会制を否定あるいは毀損しようとする議論は本院の権威を貶めるものに他ならない。その運用の細部について学説を検討することは大いに結構なことであるが、その際には本院の権威を一層高める方向で議論すべき」と提案しました。

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■熊谷裕人議員

 緊急集会における議員の発議に関して熊谷議員は、国会法99条で内閣は参議院に案件を示して緊急集会を求めると規定している一方、101条でその案件に関連のあるものに限り、議員が議案を発議することができると説明しました。現行制度で議員は、内閣が示した案件と関係のない議案を発議できないことに対して熊谷議員は、立法府の最高機関性に鑑み、「内閣総理大臣が示した案件に関連のある議案以外の議案の議員による発議を認める余地があるかどうか、憲法との整合性も含めて検討することも意義がある」との見解を表明しました。