衆院憲法審査会が4月6日開かれ、立憲民主党から中川正春、城井崇、本庄知史の3議員が発言しました。特に国会議員の任期延長に議論が傾斜している同審査会の進め方に関して見直しを求めました。

■中川正春議員

 憲法審査会の進め方について中川議員は、「時代の変遷とともに、憲法も見直すことが必要だと言われている。しからば、その具体的な立法事実は何か。これが論憲の出発点だ」と指摘しました。その手順として、「第一には、現状において、憲法に違反するような権力の濫用や、政権に都合のよい憲法解釈の変更がなされていないか、という検証。第二には、新たなルール規定が必要な事象が現れたとして、法律の改正で整理することが可能か否かという検証。第三には、憲法制定時には想定されなかった新しい課題に対して、憲法の改正をもって整理することが望ましいのかという検証」を重視すべきと説きました。

 さらに、論議すべき課題に関して、立憲民主党が「情報化社会と人権保障」、「地方自治」、「国会のあり方」、「安全保障」の4分野に整理し議論を進めていると紹介しました。こうした議論の成果から中川議員は、今後の審査会で、訴訟が繰り返されている「一票の較差」、欧米と比較して議論の遅れが指摘されている「同性婚」、敵基地攻撃能力など「安全保障」の諸課題を最優先で集中審議すべきだと提案しました。最後に「各会派には特に、この三つを取り上げ、集中討議の場を皆で作ることに踏み出してもらうことを求める」と発言を締めくくりました。

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■城井崇議員

 城井議員も憲法審査会の運営に関して見直しを求めました。「与野党からの信頼が厚かった中山(憲法調査会)元会長の運営方法に倣い、どこかの党派の案を素材に議論するのではなく、改めて議論の方向性を一致できそうなテーマは何かという点からすべての会派間で真摯に議論し、その合意に基づいて会派間で段階的に方向性を確認しながら順次具体化してはどうか」と提案しました。

 具体的テーマとして、「憲法が徹底した国会中心主義を採用している点で(全会派が)一致している」と指摘し、その観点から、憲法53条後段の臨時会召集要求に対する政府の召集義務や解散権の行使のあり方を提案しました。さらに、立憲民主党だけでなく、「自民・公明・維新・国民・有志の5会派も『参議院の緊急集会』制度の射程・機能・権限に関して議論が不可欠との認識でも一致している」と述べ、優先的に議論するよう求めました。

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■本庄知史議員

 本庄議員は、憲法審査会が中心的に議論してきた国会議員の任期延長について言及しました。大規模な武力攻撃や災害が発生した場合において、全国的規模で国政選挙が実施できないという状況について、「どれほどの現実味があるのか、私は未だに疑問だが、仮定に仮定を重ねた議論や抽象論ではなく、立法事実の精査がまず必要である」と指摘しました。

 「仮に『選挙困難事態』があり得るとしても、そういった究極の事態を念頭に、どうすれば国政選挙を実施する機能を維持できるのか、平時からどのようなバックアップ体制を取るべきかといった、より現実的な政策論がなされないまま、国会議員の任期延長という憲法論だけが先行して議論されていることは、この場が憲法審査会であるということを差し引いても、国会機能の維持という観点からは、私はバランスを失している」と審議のあり方に疑問を呈しました。そのほか、憲法の「専守防衛」と「財政民主主義」が空文化していることを問題視し、同審査会で討議するよう求めました。