立憲民主党は4月3日、会派消費者部門会議を国会内で開催し、上智大学文学部新聞学科の奥山俊宏教授から公益通報者保護制度をめぐる状況と今国会提出法案の課題について話を聞きました。

 冒頭、「次の内閣」ネクスト地方創生・消費者・沖縄北方担当大臣の石川香織衆院議員は、これまでも公益通報に関する課題を議論してきたとした上で、同日はマスメディア出身で内部告発者保護法制等を専門とする奥山教授の話を聞き、意見交換したいとあいさつしました。

 奥山教授は、兵庫県知事「内部告発」問題を時系列で事実関係を振り返った上で、兵庫県知事の告発文書への対応について、第三者委員会は「保護法に違反する行為であって違法である」、百条委員会は「公益通報者保護法に違反している可能性が高い」「大きな問題があった」と断定する報告書をまとめたことに言及。同法では、内部公益通報(1号通報)だけでなく、警察など行政に通報(2号通報)した人、報道など外部に公益通報(3号通報)した人も含め「公益通報者」と定め、「公益通報者の保護を図る」などのために「不利益な取扱いの防止に関する措置」や「公益通報者の探索の防止に関する措置」といった「必要な措置」を求めているにもかかわらず、兵庫県はこれに違反し、その状態が今なお継続していると問題視しました。

 「必要な措置」が求められる公益通報について、斎藤知事が「内部通報に限定されるという考え方もあります」と主張し、これを根拠に、自身の対応を正当化し、さらに、斎藤知事ら兵庫県の対応は適法だという主張が広く流布されていることから、政府・消費者庁は兵庫県に改めて具体的に助言する必要があると指摘。最高裁判例がない場合、消費者庁による行政解釈が拘束力をもつ唯一の公権的解釈であるのに、兵庫県がそれと異なる運用をしている現状に対し、政府、国として何らかスタンスを示すべきだ求めました。政府から国会に提出されている公益通報者保護法改正案について、兵庫県の問題に照らして検討し、奥山教授は、「必要な措置」を怠る地方自治体に対して是正を命ずる手立てがないことなど問題点を指摘しつつも、公益通報者への懲戒処分を刑事罰で抑止するなど前向きな方向性が盛り込まれており、今国会での成立を目指してほしい、と述べました。

 講演後には、今国会での見直しの議論に際し、出席議員と意見交換しました。

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