参院本会議で4月26日、「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」(防衛3文書)について岸田総理が報告。参院会派「立憲民主・社民」を代表して宮口治子議員が質問に立ちました。防衛3文書は、今後5年間で緊急的に防衛力を抜本的に強化するため、43兆円の防衛力整備計画を実施するなどとしたものです。
宮口議員は、「安保3文書には断固反対」だと述べ「戦後日本の平和を守ってきた憲法の平和主義と、その支えとなっている専守防衛を踏みにじるような方針転換を、国会の審議も国民的な議論や理解もなしに閣議決定のみでこっそりと強行してしまう、国民を無視するような行為は決して容認するわけにはいかない」と訴えました。
宮口議員は、国家安全保障戦略で、わが国の安全保障上の目標を達成するために用いられる総合的な国力の第一の要素として「外交力」が掲げられていることに関連し、「歴史を振り返っても、戦争は常に外交の失敗であり、そもそも安全保障環境の悪化を言うのであれば、その悪化はまさに『外交の失敗』が招いている事態であることを真剣かつ深刻に受け止めるべき」と指摘。さらに、「もう一つの歴史の教訓は、外交の失敗を軍事力の増強で誤魔化そうとすること」だと述べ、「それがかえって緊張の悪化と戦争の勃発を招いてきたことも歴史が私たちに教えてくれている」の指摘しました。
その上で、「第一の要素として外交力を掲げるのであれば、防衛力ではなく積極的かつ思い切った外交力の強化にこそ、わが国の持てる資源を投入すべき」と述べ、安保3文書には肝心の具体的な外交戦略の記述がほとんどないと指摘。代わりにあるのは「外交には裏づけとなる防衛力が必要である」との岸田総理の主張だとして、「国家安全保障戦略で明記されている、外交の重要性とその具体的な方策、およびその実施体制の大幅な強化の具体的内容」についてただすとともに、そうした外交政策は「防衛力の裏づけ」として実施するものなのか見解をたずねました。
岸田総理は、「首脳レベルをはじめ、多層的多面的な外交を各国各レベルとの間でしっかりと展開をしていく」「そのためにも人的体制、在外公館の整備を含めた外交力の強化に努めていく」「防衛力の強化は、こうした外交を実現する上での裏付けとなるもの」などと具体的に踏み込んだ説明はせず、「力強い外交を展開」していくなどと抽象的な発言をしました。
宮口議員は、「立憲民主党は現行憲法の平和主義と国際協調主義を尊重し、これからも引き続き専守防衛に徹しつつ、平和外交の努力によって緊張関係を緩和し、アジアと世界の平和を創り、育てる努力に全力を傾注する」と述べ答弁を終えました。