立憲民主党は9月14日、国会内で第14回目となる「マイナ保険証」国対ヒアリングを開き、「認知症の人と家族の会」、障がい者通所施設の団体「きょうされん」、厚生労働省、総務省、デジタル庁よりヒアリングを行いました。
冒頭であいさつに立った長妻昭政務調査会長は、「マイナ保険証の窓口での負担割合が、相当間違って表示されている。これは根本的なシステム上の問題があるのではないか」「情報の自己コントロール権として、マイナンバーカードを持っていない人は、80項目に及ぶ自分の情報を確認できない状態になっている」と指摘した上で、「マイナ保険証の問題について、対応を根本的に変えて欲しい。役所の皆さんは、今日の現場の声をぜひ上層部にも伝えて欲しい」と述べました。
「認知症の人と家族の会」鎌田松代代表理事
「緊急の受診時に、これまでの病歴が分かるなど、医療情報の一元化はメリットだ」と述べる一方で、そもそもなぜマイナ保険証にしなくてはならないのかと疑問を表明。「人物の誤認や医療機関も困っているなど、システムの不具合が多すぎる。今の保険証は送ってきてくれるがマイナ保険証は申請しないといけないので手間がかかる。インターネットやコンビニで申請すればいいというが、認知症の人や高齢者では難しい。マイナ保険証の廃止をとは思っていない。しかし、このまま進めることには大きな不安を持っている」と、改善してより良いものにしてほしいと要望しました。
「認知症の人と家族の会」芦野正憲理事
「申請書の用意や窓口での対応、暗証番号の用意など、マイナンバーカードの取得、保険証として利用する際の手続きの不安」「管理や紛失時の再発行の手間、コストなどについての不安やストレスが溜まり症状が進むことも考えられる」「認知症の方の特徴として、『保険証』が『資格確認書』になることなど、新しいことを覚えにくい点がある」と、問題点をあげました。そして、「社会ではバリアフリーが進んでいるが、この制度が新しいバリアになっている。岸田総理も記者会見の中で、『認知症の方が尊厳や希望を持って暮らせる社会を作っていくことを柱としたい』と言っていた。保険証が全く別の名称で使われるということは、今日できたことが出来なくなり、社会的弱者は立ち止まってしまう。自分や家族が認知症になるということを想定して、社会的弱者にやさしい制度にしてほしい」と訴えました。
障がいのある子どもの母で、生活介護事業所勤務 山口妙子さん
「障がい者にとって、マイナンバーカードを作ることが大変なことであることを知って欲しい。周りの支援がなければ、写真ひとつ用意することが出来ない。本人がマイナンバーカードの意味や仕組みを理解できていないことはとても大きなリスクになることを知ってほしい。他人に悪用される可能性がある。私の作業所に通所している利用者が、一戸建て販売の勧誘を受け、ついて行ってしまった例もある。私たち一般人のように、見て覚えてボタンを押せば済むというような、そういう次元のものではないということをしっかり認識してほしい。親が求めているのは安全と安心だ」と不安を述べるとともに、現行の保険証の存続を求めました。
きょうされん 赤松英知常務理事
支援者の立場として、「事業所などでは、利用者の保険証を管理し、通院支援をしている。これがマイナンバーカードに替わるということは、保険証情報以外の個人情報を事業所が管理しなくてはならなくなるということだ。支援者からもこういった負担増に大きな不安の声が上がっている。障がい者には障がいによってそれぞれ特性がある。今回のマイナンバーカードの制度設計のプロセスで、障がいのある人たちの特性が配慮されたのかということに大きな疑問を感じている。資格確認書が届いても、これが保険証の代わりと理解できない人がたくさんいる。当事者、ご家族の不安を受け止め、もう一度立ち止まり、現行の保険証をぜひ残してもらいたい」と求めました。