立憲民主党 ネクスト財務金融大臣 階猛
日本銀行は本日の金融政策決定会合において、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール:YCC)の再修正を決定した。我が党は本年2月3日に公表した「新しい金融政策」において、YCCが為替相場、財政規律、国債市場などに様々な弊害をもたらしていることを指摘した。
今回の修正では、長期金利の上限を1.0%「目途」とした上に、指し値オペの指定利回りは「金利の実勢等を踏まえて、適宜決定する」とした。これは、もはや「操作(コントロール)」とは名ばかりであり、事実上、長期金利の操作を放棄したことを意味する。実質賃金のマイナスが続く中で、市場から追い込まれる形で政策を変更したことは、YCCが失敗だったということに他ならない。
にもかかわらず、日銀は長期金利の操作目標を依然として「ゼロ%程度」としており、植田総裁は会見で「粘り強く金融緩和を継続する」と従来通りの発言を繰り返した。金融政策の継続性を強調し、YCCの失敗を認めない日銀の態度は、極めて不誠実であると断ぜざるを得ない。
国債の無制限の買い入れにより長期金利を市場実勢より低い水準にくぎ付けにするという、前代未聞の金融政策を目標達成前に放棄せざるを得なくなったことにつき、日銀は真摯に反省し、早急に総括すべきである。
さらに、物価の見通しは今回も大幅な上方修正を余儀なくされた。そもそも日銀は、客観的・合理的な根拠に基づいて物価を見通し、これに基づいて金融政策を決定するのが本来の任務である。
しかし、これまでの経緯を見ると、「異次元の金融緩和」を正当化するために物価見通しを“作っている”のではないかとの疑念を抱かざるを得ない。物価見通しが短期間で大幅に修正される事態が頻繁に生じる理由について、日銀は国民が納得できる説明をすべきである。