岡田克也幹事長は10月31日、定例の記者会見を国会内で開き、(1)柿沢未途法務副大臣の辞任(2)日銀「長期金利上限1.0%めど」――等について発言しました。

 岡田幹事長は冒頭、東京江東区の区長陣営が、投票を呼び掛けるネット有料広告を出した疑いがある公職選挙違反事件をめぐり、柿沢法務副大臣が辞任したことに言及。辞表を受理した理由について岸田総理が「空白を生じさせないため」と説明したことに、「辞表を受理して副大臣の空白が生じているわけで全く説明になっていない」と批判しました。「国会として説明を求めていたにもかかわらず、辞表を受理して口封じをしたことには、これから予算委員会のなかで各委員が追及することになると思うが誠に遺憾だ。そもそも法務副大臣が選挙違反ということで、ことは重大できちんと説明責任を果たしてもらいたい。内閣としての説明責任と同時に、柿沢副大臣が国会の場で説明する責任がある」と指摘しました。

 同日、柿沢副大臣が陣営に有料広告の利用を提案したとの報道を受け、立憲民主党は予算委員会での柿沢副大臣の説明を求めていましたが、政府は辞任を理由にこれを拒否。この点について岡田幹事長は「岸田総理の責任も極めて重大。国民に対して説明責任を果たそうとしていないということ」だと問題視しました。

 日銀が同日の金融政策決定会合で、長期金利操作の運用をめぐり長期金利の変動幅を「上限は1.0%めど」と、わずか3カ月で現在の1.0%から再修正したことには、「実態を見ればこういった決定をせざるを得ない、妥当なことだと思う」と述べた上で、その理由として物価が7月の展望レポートと比べて上振れていることの主因として、価格転嫁の影響が長引いていることや、原油価格の上昇を挙げていることから、「もう1つ大きな原因として円安があることは事実」だと指摘。「金融政策に責任を持つ日銀が自ら物価の上昇を引き起こしていることについての自覚がないのか、説明をきちんとしていないのか。今回の決定もそういうなかで行われたものだと理解している。こういったその場適応型のやり方ではなく、どこかで方針をしっかり示して対応していく場面が近づいているのではないか」と述べました。

 また、同日衆院議員の任期が折り返しとなることから解散について現時点で認識を問われると、「われわれは決められない。岸田総理はチャンスがあればやるということだと思う。引き続き警戒感をもって準備を急ぎたい。ただ、最近の内閣支持率下を見るとかなり下がっている。起死回生として打ち出したことが次々と裏目に出ている感じ。今の支持率の下での解散はしにくいと思うが、いよいよ打つ手がなくなって起死回生、これしかないと解散してくる可能性はあると思う。警戒感を持って対応していきたい」と述べました。



岡田克也幹事長記者会見

2023年10月31日(火)15時00分~15時20分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/w7ecCJFwWw8


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○柿沢副大臣の公選法違反関与疑惑について

【幹事長】
 まず、先ほど参議院の予算委員会が再開されました。私も冒頭ちょっと見ておりましたが、柿沢法務副大臣の辞表を受理したということ、それに対して岸田総理は空白を生じさせないためにという説明をしましたが、辞表を受理して副大臣の空白が生じているわけで、全く説明になっていないと思います。国会として説明を求めていたにもかかわらず辞表を受理して、いわばその口封じをしたということについては、これからこの予算委員会の中で杉尾さんを初め各委員が追及されることになると思いますが、誠に遺憾だと思っております。
 そもそも、選挙違反、法務副大臣ということですから、事は重大で、きちんと説明責任を果たしてもらいたい。これは内閣としても説明責任を果たしていただかなくてはなりませんが、同時に、柿沢副大臣、辞表は受理されたということですが、しっかりと国会の場で説明をする責任があると思っております。

○日銀 金融政策運営の再修正について

【幹事長】
 もう一点は、日銀が「当面の金融政策運営について」ということで、「(長期金利の)上限の目途を1.0%」にするということが発表されました。
 実態を見れば、こういった決定をせざるを得なかったというか、それだけ見れば妥当なことだと私は思いますが、ただ、その理由として、物価が7月の展望レポートと比べて上振れているということの主因は、「価格転嫁の影響が長引いていることや、このところの原油価格の上昇である」というふうに(日銀は)言っております。しかし、もう一つ大きな原因として円安ということがあることは事実でありますので、そこは、金融政策に責任を持つ日銀が自ら物価の上昇を引き起こしているということについての自覚がないのか、説明をきちんとしていないのかですね。今回の決定もそういう中で行われたものだと理解をしております。
 こういった、しかし、その場適応型のやり方ではなく、どこかでやはり方針をしっかり示して対応していく場面が近づいているのではないかと思っております。


■質疑

○柿沢副大臣の公選法違反関与疑惑について(1)

【NHK】
 冒頭で法務副大臣の件に触れられたが、先ほどの国会でも説明があったが、法務省が独断で予算委員会の出席をさせないという判断をしたということだが、これについてどう受け止めるか。

【幹事長】
 法務省が独断でというより、それは内閣全体の話ですよね。独断でと言ったところで、内閣の一部を構成するわけですから。そういう意味で、岸田総理の責任も極めて重大だと。国民に対して説明責任を果たそうとしていないということだと思います。

【NHK】
 これについて何か厳しく処分とかはないと思うが、厳しく対応していくとか、そういうお考えはあるか。

【幹事長】
 まさしく今、杉尾さんが質疑をされていますので、その中でご覧いただければわかると思います。

○次期衆院総選挙に向けた取組について(1)

【NHK】
 別件になるが、きょうで衆議院の任期が折り返しとなった。解散について、岡田幹事長は従来から常在戦場というような認識を示されているが、改めて現時点の認識はいかがか。

【幹事長】
 我々は(解散時期を)決められませんので。そして、岸田総理の顔を毎日じっと見るのですが、やはりチャンスがあればやるということだと思います。したがって、引き続き警戒感を持って準備を急ぎたいと思っています。
 ただ、最近の内閣支持率を見ると、かなり下がっていますので、起死回生のつもりで打ち出したことが次々に裏目に出ている。旧統一教会、(解散命令を)裁判所に訴える、それでちょっと支持が上がるかと思ったら、細田前議長の記者会見があって、かえって沈んでしまったとか、今回も5兆円近いばらまき減税をやれば国民は評価してくれると思ったが、国民から見ると、今の財政状況から見て、選挙目当てのこんなことをやっていいのかと、そういう非常に見識を国民が示して、結果的に支持率が下がってしまっていると。次々裏目に出ている感じですね。
 そういう意味では、今の支持率の下では解散はしにくいのだろうと思いますが、いよいよ打つ手がなくなって、起死回生と、もうこれしかないということで解散してくる可能性はあると思いますので、警戒感を持ってしっかりと対応していきたいと思います。

【NHK】
 今の中で、準備をしていきたいということもあったが、候補者の擁立や他党との候補者調整について、改めて今のお考えを教えていただきたい。

【幹事長】
 候補者の擁立は急いでおります。この前、沖縄(4区)を決めたところですが、一つ一つ、いろいろな経緯もあったりして難しいところもありますが、それぞれ各地区の県連と協議しながら急いでいきたいと考えております。
 各野党間の候補者の調整というのは、私は必要だと思っております。その基本的な考え方は、この前申し上げたとおり、記者会見で何回も言っていますが、野党各党で、野党の議席を最大化するために、連携し、そして、力を合わせていくということであります。ただ、残念ながら、状況を見ると、そういう考え方に乗ってこない党もあります。そこは粘り強く説得していきたいと思っています。

【産経新聞】
 関連で、次期衆院選の連携について伺いたい。先ほど野党間の候補者調整の言及があったが、各党への挨拶回りで、次期衆院選をめぐり連携、力合わせをしていこうということをお話しされたということを以前おっしゃっていたと思うが、この連携という言葉の中には政策協定という意味合いも含まれているのか。この点を教えていただきたい。

【幹事長】
 各党を回ったときに初めて言った話ではなく、この場で私は何回も繰り返してきたことです。その具体的中身については、今、特にお話しする内容はありません。

○旧統一教会財産保全法案について

【朝日新聞】
 旧統一教会関連の財産保全の法案について伺いたい。きょう与党のほうで3回目のプロジェクトチームの会合が開催された一方で、与党のプロジェクトチームからは、あくまで財産保全主目的のチームではないといったような発言もあるなど、財産保全のところについてはなかなか後ろ向きな姿勢も見受けられる。今国会の中で法案成立できるような見込みがあるかどうかも含め、こういった与党の姿勢について、あとは法案成立に向けてどのように与野党協議に持ちかけていくかといったところの取り進めの仕方、ご方針を伺いたい。

【幹事長】
 これは絶対にこの国会で何らかの法律は成立させないと、仮にその財産が、現金にしろ動産にしろ不動産にしろ、処分されてなくなってしまうということが起きたときに、果たして誰が責任を取るということなのでしょうか。
 与党はPTをつくって精力的に議論しているということですが、この被害者救済に当たっている弁護士から、そういった法律は現行法ではカバーできないので必要だということは前から言われていて、夏の間、何していたのでしょうか。今頃になってPTを立ち上げて、そして、議論を始める。本気でやる気があるとはとても思えないわけですね。
 しかし、先ほど言ったように、この法律は絶対必要ですので、我々としてはいつでも協議に入りたいと思っております。  こういう形でネガティブなことばかり言っていると、やはり旧統一教会と(関係が)切れていない人がいるのではないかとか、どこかでつながっているのではないかと、そういうふうに言われても仕方がないと思います。

【朝日新聞】
 関連で、先週末の「日曜討論」の番組の中で萩生田政調会長が、この財産保全の法案成立の話に触れ、今の野党が出している案については信教の自由を侵害する可能性があると、憲法違反のおそれもあるから慎重に検討が必要だといったようなことをおっしゃっている。与党が言っているそういった主張に対してどのようにお感じになっているかもあわせてお願いしたい。

【幹事長】
 まず、(財産保全法案の対象は)政府が裁判所に解散命令を訴えた事案に関してのものです。だから、それは与党として全く矛盾した態度ということになります。政府が解散に値するということで裁判所に訴えたわけですから、それが憲法に反するというようなことは成り立たない議論だと思います。
 それから、保全するだけですから、別にそれで問題がなければ、それは解除されることも将来あり得るわけです。あるいは、必要以上にたくさん保全するということになれば、損害賠償に応じた上で残ったものは、そこまで取り上げるとかそういう話ではもちろんないので、そういう意味で、憲法上の問題があるというふうには考えておりません。それは多くの、この件に関わっている弁護士の皆さんも同じ考え方だと思います。

○次期衆院総選挙に向けた取組について(2)

【読売新聞】
 話題が戻って恐縮だが、次期衆院選の準備の関係で、選挙の際の党名の略称の問題があるかと思う。国民民主党と「民主党」で略称がかぶっている事態が前回の参院選・衆院選とあり、国民民主党側はこの件で立憲側と協議している旨を明らかにしているが、議論、検討、協議の状況の現状と、今後の見通し、幹事長のお考えを伺いたい。

【幹事長】
 解散があるかどうか、まだはっきりしない段階なので、解散が実際行われるということになれば最終的な協議の詰めをしたいと思います。

【読売新聞】
 幹事長として現段階で、この「民主党」という名前に思い入れも深いかと思うが、略称はどうあるべきだとお考えか。

【幹事長】
 「民主党」がいいと言ったら、国民民主党も同じことを言うと思うのですね。ですから、あまり今ここで公にいろいろなことは言わないほうがいいと思います。
 ただ、両党がしっかりとお互い合意できるような、そういった結論に至りたいと思っています。

○安定的な皇位継承に関する議論について

【共同通信】
 皇位継承に関して伺いたい。自民党は皇位継承の検討組織を設置する方針を決めており、総理も予算委等で言及しているところだ。自民党は旧皇族の男系男子を現皇族の養子とする案を軸としているようだが、立憲民主党としてこの案に賛同できるかどうかを含め、党の見解、考え方を教えていただきたい。

【幹事長】
 我が党としても安定的な皇位継承に関する検討委員会を2021年12月に設置しております。そこで内々さまざまな議論をしていると承知をしているところです。
 具体的なことは今あまり申し上げないほうがいいと思いますが、養子にするということは、婚姻を伴う、皇族女子と婚姻を伴う養子ということですか。

【共同通信】
 そうですね。

【幹事長】
 でも、皇族の皆さんだって婚姻の自由というのはあるのではないでしょうか。それを無視してやるということは、私はちょっと考えにくいことだと思います。

【共同通信】
 重ねてだが、政府の有識者会議の答申で、女性皇族が婚姻後も皇室に残る案の検討も求めていると思う。さきの質問と重なるところもあるが、立憲民主党は女性宮家創設の検討は容認されている姿勢かとは思うが、自民党の中では女性宮家の創設は女系・女性天皇の誕生につながるのではないかと警戒する声もあるが、女性宮家の創設についてはいかがお考えか。

【幹事長】
 党として公式に立憲民主党になってから発表したものはないと私は理解していますので、あまり申し上げないほうがいいと思いますが、民主党時代には女性宮家ということを認めていこうというのが我々の考え方だったと思います。
 今、党が変わりましたので、もう一度しっかり議論したいと思いますが、将来の女性天皇につながる可能性があるから宮家はだめだとかいうのは、ちょっと理解しがたい論理だと思います。

【共同通信】
 基本的には民主党時代の考え方というのをベースにして最終的にまとめていかれるか。

【幹事長】
 それを聞かれても困ります。私の独断で言うわけにはいきません。

○柿沢副大臣の公選法違反関与疑惑について(2)

【時事通信】
 大きく二つあるが、一つ目は、話題が戻るが、柿沢副大臣の件について。柿沢さん、選挙に関わる法令違反があるという疑惑があるが、議員辞職の必要についてどう考えているかと、山田政務官に続いての辞任ということで、政府の人選、総理の任命責任について改めてお願いしたい。二つ合わせてお願いしたい。

【幹事長】
 きょう国対委員長も言っていると思いますが、選挙違反になりかねない法務副大臣、それから山田さんのほうも極めて不適切な問題ですから、最もやってはいけないことを副大臣がやってしまったということだと思います。そういう意味では当然任命責任はあると思います。

○次期衆院総選挙に向けた取組について(3)

【時事通信】
 もう一点。話題変わって、先ほど候補者調整について各党に粘り強く説得していきたいというお話があったが、先日の各党への挨拶回りの中で衆院選の連携を呼びかけていたが、その中に、維新には呼びかけていなかったという話があったと思う。維新については選挙で連携できる相手ではないというふうにお考えなのか。連携は困難だと考えているのか。維新との関係性について、どういうふうに考えているか、お考えを伺いたい。

【幹事長】
 私、そのときに申し上げたのですが、馬場さんが、第2自民党でいいとか、自民党は増えてもいいのだけれども立憲民主党をぶっ潰すんだと、そういうことを言っている間はちょっと選挙の話はできませんねというふうに申し上げました。永遠にだめだと言っているわけではなく、そういった発言が変われば、それはいろいろな余地は出てくるのだと思いますが、現時点ではそれはないと言わざるを得ないと思います。

【時事通信】
 確認だが、その関係の発言が撤回されない限りという、そういうご認識ということか。

【幹事長】
 あまり細かいことを私は言うつもりはありません。

○来年度予算編成等に関する連合からの要請について

【テレビ朝日】
 きょう午前中に連合からの申入れがあったと思うが、その概要と、野党連携などについての話が出たかについて教えていただきたい。

【幹事長】
 野党連携の話は全く出ておりません。政策だけです。
 内容は、主として連合から連合の考え方のご説明をいただいて、それに対していろいろな質疑があったということです。