長妻昭政務調査会長は12月14日、国会内で記者会見を開き、(1)政治とカネの問題(2)国民負担率(3)子ども3人以上で大学無償化(4)健康保険証の来秋廃止(5)元自衛官の五ノ井里奈さんに対する強制わいせつ事件の有罪判決――等について発言しました。

■政治とカネの問題

 立憲民主党は「自民党派閥裏金調査チーム」を設置し、本日14日に自民党・民主党の事務局に在籍経験のある政治ジャーナリストの伊藤惇夫氏を招いて第1回の会合を開催したと報告しました。長妻会長は「われわれに調査権限はないが、問題点の洗い出しを徹底してやっていく」「来年の通常国会で質疑・改善要求・提言に繋げていく」と強調しました。

 次に、6月に立憲民主党が提出した企業団体献金全面禁止法案および国会議員が関連する政治団体の紐づけした情報を表示されるような仕組みを導入する法案について、「自公の審議拒否により継続審議となっているが、何とか成立させていきたい」と述べました。また、企業団体献金が多く集まり、パーティー券が多く売れる分野に予算が優先的に配分され、そうでない少子化対策や非正規雇用対策等は後回しになる予算の現状を問題視し、「こういったおかしな現実を大きく変えるチャンスがやってきた」「実態を明らかにするという責任が自民党にはある」と述べました。

■国民負担率

 「こども未来戦略」の案が示され、少子化対策3.6兆円の財源のうち、1兆円程度を医療保険料に上乗せされた支援金で負担することについて、総理が「上乗せをするというよりは実質的負担がないようにする」「国民負担率を上げない」とした発言について、長妻会長は疑問を示し、「国民負担率が上がらない。算定されない」「国民負担率を上げないというトリックに騙されてはいけない」と指摘しました。その上で、総理に「どこで誰がどういう負担をするのかデータで示すように迫っていきたい」と述べました。

■子ども3人以上で大学無償化

 3人以上の子どもを持つ世帯に対し、所得制限を設けずに大学の授業料を2025年度から無償化する政府の方針について、長妻会長は例として、3人の子どもが居る家庭の第1子が大学へ進学せず、就職すると扶養から外れ、即要件が外れることになるため、子ども全員が無償化の恩恵を受けられなくなるケースをあげ、「非常に自民党らしい。お金に余裕のある方に大きくプラスになる政策」と指摘しました。長妻会長は少子化対策として、非正規雇用など不安定な就労状況のため結婚したくてもできない方などの支援が最優先だとし、政府に政策を転換するように迫っていきたいと述べました。

■健康保険証の来秋廃止

 2024年秋に廃止予定の現行の健康保険証について、マイナンバーカードをめぐる混乱により、厚生労働省・家庭デジタル庁から一時は廃止延長の動きがあったが、ある大臣の一声で、予定どおり廃止の方針に傾いていることについて、長妻会長は「国民の不安払拭なくしてデジタル化の進展なしというのが先進国の教訓」「撤回させるべく取り組んでいく」と述べました。

■元自衛官の五ノ井里奈さんに対する強制わいせつ事件の有罪判決

 12日に元自衛官の五ノ井さんが強制わいせつ罪で訴えた元自衛官3人の有罪判決が下されたことについて、「自ら戦い戦い続けないと問題が明らかにならない組織。今も組織の体質は全く変わっていない」と指摘し、「徹底的に人権感覚を変えていくことが必要」と述べました。