衆院予算委員会で2月6日、基本的質疑が行われ、早稲田ゆき、山岸一生、米山隆一、小山展弘の各議員が質疑に立ちました。
■早稲田ゆき議員
早稲田議員は、子育て支援金制度による国民負担について質問しました。政府が検討する「支援金負担1人あたり月500円」に関し、総理が「2028年度の拠出額は加入者1人当たり月平均500円弱となると見込み」と初めて明言したことについて、早稲田議員は、負担額の試算が加入する保険の種類により月額686円から851円、年額7,656円から10,776円と幅が生じるとした専門家の試算を示し、「500円は最低ラインで、それよりも国民負担は上がるのか」と総理に問いました。「個人の支出は加入する医療保険や所得で異なるが、逆に言うと拠出金は2026年度から段階的に導入するため初年度(500円よりも)はより低くなる」とした岸田総理の答弁に、早稲田議員は不誠実だと指摘しました。さらに、「国民負担率」とは国民所得が分母で、分子は税・保険料であり、非常にパイが大きく、数字が上がらないため、「増税隠し」だと指摘した上で、「実際は国民から医療保険に上乗せして負担増」「『国民負担ゼロ』といった言葉は撤回してもらいたい」と迫りました。岸田総理は「賃上げと歳出改革により社会保険負担の軽減をし、その範囲内で支援金を用意する。実質的な増税ではない」と答えました。
また、早稲田議員は、児童手当の拡充により扶養控除が縮減されることについても質問。先の臨時国会で早稲田議員が「扶養控除の拡充にともなう扶養控除の廃止は絶対にしないでもらいたい」と求め、総理が「扶養控除の廃止を前提に検討しない」と答弁したことについて、「廃止ではないが、削減・減少なのか」「国民が懸命に共働きをして収入が上がると、こうやって減らしていく。これが異次元の少子化対策なのか」と批判しました。
■山岸一生議員
山岸議員は、報道されている盛山大臣の旧統一教会との関係について、「これから盛山大臣は旧統一教会を相手に裁判を進めないといけない。公平な裁判を戦えない」「特に子どもたちに関わる文科行政のトップとしてふさわしくない」と指摘し、辞任を求めました。
盛山大臣は「自分からはお願いしていない」等と述べて辞任を否定しました。
山岸議員は「頼んでいなくても、実際にやってもらったなら同じ」だと指摘し、岸田総理大臣に更迭を求めました。
岸田総理は「現在は関係を有していないという前提で任命した。説明責任は果たしてほしい」と罷免を否定しました。
山岸議員は、再度調査をすべきと求めましたが、岸田総理は、過去への対応は「指摘があったら、説明責任を果たしていく」と何度も述べるだけで、山岸議員は「これでは、ばれるまでは隠していたと思われても仕方ない」と批判しました。
山岸議員は、岸田総理が盛山文科大臣に対して確認し、明日理事会で報告するよう求め、理事会で協議することとしました。
自民党の裏金問題について、自民党議員が「裏金」という言葉を使わないようにしている点を指摘し、岸田総理に「裏金問題と認識しているか」と問いました。岸田総理は「人によって裏金の意味が異なるので使わない」と述べました。山岸議員は「これが裏金でなくて何がそうなるのか」と批判しました。
山岸議員は、処分の必要性に言及し、「自民党の裏金議員は、今は大変だけど、ほとぼりが冷めれば問題ないと考えている人が多数なのでは。裏金議員は、次の総選挙では公認をしない」ようにすべきだと訴えました。
■米山隆一議員
【岸田総理「祝う会」】
岸田文雄総理就任を祝う会が政治資金収支報告書に記載されていないことについて、岸田総理は「法律に従って開催された。(脱法行為などと)指摘を受けていることについては、受け止めて今後について考えたい」とし、主催者が任意団体であり問題ないとの認識を示しました。
米山隆一議員は、脱法を取り締まるのが行政庁であり、その行政庁の長が岸田総理だと指摘しましたが、松本剛明総務大臣も「政治資金規正法の個別の解釈についてこの場で答弁することは差し控える。政治資金規正法に基づいて適宜適切にそれぞれの皆さんが政治活動されることが政治資金規正法が期待しているところ」と明確な答弁はしませんでした。
米山議員は「解釈基準を示すのは行政府として当然のこと」「総理大臣が脱法的行為をしても、それが良いか悪いか言わない。日本政府は機能していない」と述べ、基準のない行政が日本の経済力・国力をいかに弱めているか考えてもらいたい、ルールに則って競い合うことが民主主義であるとして、これらを破壊するような行政運営に強く抗議しました。
【二階元幹事長の政策活動費】
自民党の二階俊博元幹事長が在任中の5年間に党から受け取ったとされる約50億円の政策活動費について、「1時間ごとに約10万円をひたすら政治のために支出したことになる」「常識的に考えても相当額が使い残されている」と語り「税務署は行政として、疑いがあるならば税務調査をしなければならない。国民にはしている」と述べ、多額の脱税が疑われる今回の事案について税務調査を要求しました。
【能登半島地震からの生活再建】
能登半島地震の生活再建について、政府は現行の被災者生活再建支援金300万円に加え、高齢者世帯などに最大300万円を給付する新制度を設け、あわせて最大600万円を支給する方針を示しています。被災地で状況を確認してきた米山議員は、地域活性化に尽力している若い世代が地域からいなくなると地域が保たないとの認識を示し、年齢制限を設けず給付することを求めました。
岸田総理は、長期借り入れに対応できない人も含むとして、若い世代も対象であるとの認識を示しました。米山議員は、借り入れできる人にも600万円給付する制度にするよう求めました。
■小山展弘議員
小山議員は、酪農をめぐる問題を質問。配合飼料価格の高騰や燃料代・資材高・コスト高によって経営が圧迫されていると強調し、廃業者・離農者が後を絶たず、自殺者も発生しているとして、酪農の悲痛な状況を訴えました。
岸田総理が「農政を抜本的に見直す」と施政方針演説で述べたことについて、むしろ「これまでの酪農家に対する政府の支援は十分だったのか」と岸田総理をただしました。
その上で、たとえば自民党の二階俊博元幹事長は「50億円の政策活動費」を受け取っていた一方で、農林水産関係予算が来年度の当初予算で3億円増にとどまることに「農家から怒りの声が上がっている」と指摘。防衛費は右肩上がりで増加する一方、予算全体に占める農林水産予算は長期低下傾向だとして、岸田総理は「農政を抜本的に見直す」と言うのであれば、「農林水産予算を増やすべき」と訴えました。
また小山議員は、2025年は国連が定めた「国際協同組合年」だと言及し、「協同組合は、新自由主義の競争ありきではなく、助け合いの組織」だと強調。しかしながら協同組合に関し、省庁には「窓口の部署がない」と指摘しました。これに対し岸田総理は、「内閣府を中心に、関係省庁と連携のもとで、政府としてしっかり対応してまいりたい」と答弁しました。
小山議員はまた外交・安全保障の観点から、沖縄県と国、宮古・石垣地域の5市町村が、国民保護法に基づく武力攻撃予測事態を想定した住民避難に関する図上訓練を沖縄県庁で実施した件に関して質問。先島の住民ら12万人の避難について、臨時便で6日間かかるとの見通しが示された点を問題視し、「奇襲攻撃的な事態が発生する場合、6日間も待ってはもらえない」と述べ、民間人の被害をどの程度と想定しているかを内閣官房国家安全保障局資料によれば台湾有事の可能性にも言及していることを踏まえて総理に質問しました。岸田総理は「台湾海峡の平和と安定は、対話によって平和的に解決されるのを期待する、これがわが国の一貫した立場」「人数について、具体的な数字等を詳細に申し上げることは控えなければならない」などと明言を避けました。
小山議員は、「この被害の死者数、死者の予測が今もできていないということか」と問題視するとともに、「南海トラフ地震などでもいろいろな場合が想定されます。台湾有事の場合にもいろいろな場合が想定されます。被害者の数は幾つかシミュレートしていく必要はある」と指摘しました。また、米中や台湾海峡の緊張緩和に向けて外交的努力を行っていくように、と岸田総理に強く求めました。