衆議院予算委員会は2月9日午後、外交・農業等に関する集中審議を行い、太栄志、野間健、渡辺創各議員が質疑に立ちました。
■太栄志議員
太議員は、政府の打ち出す岸田外交、中東外交、対中外交、持続可能な日米関係の構築――等について岸田総理に質問しました。
米軍基地のある神奈川県厚木市や座間市を地元として活動する太議員は、有害性が指摘されているPFAS(有機フッ素化合物)の検出が沖縄県や神奈川県以外に東京都の多摩地区や青森県等米軍基地付近で報告されており、非常に深刻な問題となっていることを取り上げました。太議員は、岸田総理が外務大臣時代に環境補足協定を米国と締結したことに触れ、「協定によって日米の環境問題への対応は期待以上ではなく後退したのでは」と述べ、その理由としてPFAS問題が全く解決していないことを指摘。さらに太議員は、この責任は米軍だけでなく「日本政府がどう動くかにある」と話し、米国政府は国内で規制強化や予算を大規模にとった対策費を設けていることを紹介。「基地周辺の犠牲の上に日米同盟があってはいけない。そんな同盟は持続可能ではない」と述べ、岸田総理のリーダーシップで調査を進めることを強く求めました。岸田総理は「日米間で環境にかかる協力強化を確認している。政府としては米軍施設区域内外の環境対策が実効的なものになるよう関係省庁あげて取り組んでいく」と答えました。太議員は、「日米で協議して1年経って何の進展もない。総理のリーダーシップで前に進めてほしい」と述べました。
■野間健議員
野間議員は、立憲民主党はこの間の予算委員会で、石川香織、小山展弘、神谷裕各衆院議員を中心に、農業の問題を地域の声を聞きながら集中的に取り上げていると強調。また、今国会で25年ぶりの改正が予定される「食料・農業・農村基本法」を念頭に、農林水産省関係予算、農業者や漁業者の人口、農地面積などが約30年間にわたり減少し、農林水産業は「軽視されてきた」と指摘し、現在38%の日本の食料自給率の向上は喫緊の課題だと訴えました。
その上で、農水省の試算では、現在120万人の農業人口が20年後に30万人にまで減少することを想定しており、これを前提に「基本法」を改正し「新しい基本計画」を作成しても、90万人も農業人口が減少すれば自給率の維持すらできず、むしろ「農家の皆さんは怒りを通り越し、あきらめになるぐらいの数字だ」と指摘しました。
さらに、米の生産コストは60キロあたり約1万5000円だが、販売価格は約1万2000円で「赤字になる」と強調。肥料代やトラクターなどの燃料代も高い中、それでも米を生産するのは「先祖伝来の田んぼを守ったり、友人・知人に米をあげれば喜んでもらえる」という「ボランティア精神」だと述べました。
従って、食料自給率の向上のためには、農業者の所得向上が必要であり、民主党政権時代に導入した「戸別所得補償制度を復活してほしい」との国会への請願がこの10年間で全国各地から約250件も寄せられているとして、制度の復活を訴えました。
■渡辺創議員
自民党主要派閥の「裏金問題」をめぐっては、派閥からパーティー券を販売した資金のキックバック、または中抜きをしていた疑いを持たれている議員らの収支報告書の訂正が相次いでいます。自民党の前政調会長、安倍派所属の萩生田光一議員が代表を務める自由民主党東京都第24選挙区支部の令和4年分の収支報告書を例に、「不明」のオンパレードだと指摘し、「政治資金規正法の目的を果たしていると言えるのか。『不明』という記載を残さないよう再訂正を行うよう党内に指示を出すべきではないか」「派閥から受け取っていた資金を政治活動に使ってきたと言っても、証拠書類が何もなく政治活動に使っていたという証明には全くならない。証明できない以上は派閥から受け取っていた資金を個人の雑所得としてきちんと申告して税務処理するのが責任の取り方としては妥当ではないか。こんな収支報告書の訂正でOKであれば今後何でもありということになる。国民から『国民は増税、自民は脱税』などと揶揄(やゆ)される状況を是正すべき。その先頭に総理が立つべきだ」と迫りました。
宏池政策研究会の政治資金収支報告書の修正については、昨年11月22日の同委員会での審議において岸田総理が事実と異なる答弁をした責任を問うとともに、販売収入が900万円弱も増えているのに対価の支払いを受けた者の数が全く変動していないのはおかしいのではないかと追及。「精査している。数字が確定してから修正を行う」などと開き直る岸田総理に、渡辺議員は正しい修正報告をするよう要請。加えて、自民党の所属議員のアンケート聞き取り調査の結果については、国会の議論に資するため、13日の同委員会開会前に提出するよう求めました。
6年間で計162回、総計47億9450万円の支出があった自民党の二階元幹事長の政策活動費については、特に年別の推移、月ごとの支出額の変化を見ると選挙に近い時期または年末の支出が極めて高い特徴があると指摘。「適正に使われたのか、まさか個人的な蓄財や選挙買収の原資になるようなことはなかったか、確認をしておくのが自民党として健全性を証明する上で必要なことではないか」と二階元幹事長への確認を求めましたが、岸田総理は後ろ向きの発言に終始。渡辺議員は「『国民は増税、自民は脱税』というような国民の不安の声が渦巻くことがないように岸田総理は考えられる全ての措置対応をすべきではないか」と述べました。
盛山文部科学大臣と旧統一教会の関係については、2021年10月の旧統一教会関係団体主催の会合への出席および推薦書の取り交わしをめぐり、この間盛山大臣の予算委員会での答弁が迷走していると問題視。推薦書については特に、報道によると衆参で370人を超える国会議員のなかでわずか数人しか取り交わしていない状況だとして、「極めて特別な関係と言えるのではないか」と指摘しました。盛山大臣はこの事実を今回の報道が出るまで、昨年の自民党の調査でも報告せずに大臣に就任していることから、「結果から見れば総理は騙されて任命をした状況にある。解散請求において盛山大臣は申し立て人の立場でありながら、旧統一教会と関係があった可能性を客観的に否定しきれない状態に陥っている。政権にとっても、解散請求にとっても、国民にとってもリスクでしかない。現時点で更迭すべきだ。これ以上政治的混乱を長引かせることは総理の責任。決断の時期だ」と迫りましたが、岸田総理は応じませんでした。