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 衆院予算委員会の小野寺五典委員長の解任決議案を議題に衆院本会議が3月1日午後に開かれ、山野和則議員が立憲民主党を代表して解任決議案について趣旨説明を行いました。また、賛成討論には小山展弘議員が立ちました。

 山井議員は「国民のためにも十分な時間を持って慎重に審査すべきであるなか、審議が尽くされていないにも関わらず、職権で強硬に審議を打ち切る日程を決定しました」「昨年の質疑時間にも大幅に満たない時点で質疑を収束させ、採決を強行する委員会運営は前代未聞の暴挙です」と指摘。また、「予算審議において自民党の裏金問題で当該議員が政治倫理審査会に出席するまでに多くの質疑時間を費やした反省もなく、政治倫理審査会と同時刻に予算委員会集中審議を開くという委員会運営は予算審議を軽んじているだけではなく、裏金問題隠し、裏金問題幕引きに他ならない。民主主義の基本である国会審議を絶って裏金問題隠し、裏金問題幕引きを行う、国民不在の委員会運営を強行することは予算委員長の任にあらず、即刻解任すべきである」と重ねて指摘しました。

 山井議員は立憲民主党が求めている基本的な考え方について、例年通り極めて当たり前に80時間の審議をして円満に採決することだと表明。「どうして自民党の方々はその80時間を待たずに審議を打ち切り強行するのか」と裏金問題を隠したいがために予算審議を打ち切る自民党の姿勢を問題視し、現時点の国会では(1)能登半島地震で被災地支援が引き続き求められるなかでは被災者生活支援の在り方(2)外交防衛(3)異次元の少子化が進むなかでの子ども子育て政策――などの審議を尽くすべきタイミングであると繰り返し主張しました。

 山井議員はまた、政治倫理審会への出席を野党が求めた51人のなかに岸田総理は入っていなかったにもかかわらず岸田総理が自ら主張し出席したことで、国の予算を80時間かけて審議するという予算委員会審議の本来の在り方が歪められてしまったとの認識を示しました。「来週月曜日に80時間まで審議して円満に審議・採決すればいい話。残念ながら岸田総理が裏金疑惑・脱税疑惑の幕引きをしたいということで予算案の自然成立を確実なものにするために予算審議打ち切りを行うもの」だと述べ、「岸田総理が間違ったリーダーシップを取っている」「裏金問題で国民がどれだけ怒っているかを理解されていないのではないか、かつこれは脱税問題でもある」との旨を語りました。

 自然成立を目指して明日2日に予算審議を行うことに関しては土曜出勤を求められる国会職員・マスコミ関係者・政党職員の働き方改革に逆行するとの観点からも問題視したうえで山井議員は、予算委員会審議打ち切りの暴挙に対して、3時間弱にわたって解任決議案の趣旨説明を行いました。

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■裏金問題隠しの実態

 裏金問題に幕引きしてはならないとの視点から、政治倫理審査会への出席をもとめた自民党の裏金議員51人の一部について、その実態について言及しました。

●安倍派 青山修平衆院議員(愛知2区 比例) 230万円の裏金
 使用することなく、現金で保管していたと釈明しました。「これは雑所得で税務申告しないとダメな案件ではないか。国税庁の答弁は長期間保管していたら課税の可能性があるということを断定していますよ」と山井議員は指摘。
●安倍派 稲田朋美衆院議員(福井1区) 196万円の裏金
 政治資金規正法に鑑み修正した、安倍派に全額を返還し訂正したと主張。「派閥に返せばすむのではなく、政治活動に使っていないのであれば納税すべきではないか」と山井議員は指摘。
●安倍派 井原巧衆院議員(愛知3区) 168万円の裏金
 記載しなくていいという派閥の指示に基づき収支報告書に記載せず裏金に。「派閥幹部の方の責任は大きいのではないか、記載するなと言った安倍派の幹部は誰か」「『政治の信頼回復のために改革が必要だ』と井原議員も言っている。説明責任を果たさせるのは岸田総理であるのに、先頭に立って強行採決・幕引きするのはおかしい。自浄作用がまったく働いていない」と山井議員は指摘。
●安倍派 上杉謙太郎衆院議員(旧福島3区 比例) 309万円の裏金
 記載しなくていいという派閥の指示に基づき収支報告書に記載せず裏金に。「地元の皆さんに対して大変申し訳ない」と主張している。「安倍派の幹部が収支報告書違反をアドバイスしたとしたら重大な問題」と山井議員は指摘。
●安倍派 江藤征士郎衆院議員(大分2区) 1070万円の裏金
 政治倫理審査会へ出席したいとテレビでも発言していること、派閥の事務総長以外は出席するなと止められているのではないかとの認識を山井議員は示し、「自民党の上層部が口封じをしているのか、そのおおもとは岸田総理か」と問題視。
 以下の議員についてもそれぞれ指摘しました。
●安倍派 大塚拓衆院議員(埼玉9区)994万円の裏金
●安倍派 小田原潔衆院議員(東京21区)1240万円の裏金
●安倍派 越智隆雄衆院議員(東京6区 比例)84万円の裏金
●安倍派 尾身朝子衆院議員(群馬1区 比例)623万円の裏金
●安倍派 加藤竜祥衆院議員(長崎2区)10万円の裏金
●安倍派 亀岡偉民衆院議員(福島1区 比例)348万円の裏金
●安倍派 菅家一郎衆院議員(旧福島4区 比例)1289万円の裏金
●安倍派 木村次郎衆院議員(青森3区)236万円の裏金
●安倍派 佐々木紀衆院議員(石川2区)184万円の裏金
●安倍派 塩谷立衆院議員(静岡8区)234万円の裏金
●安倍派 柴山昌彦衆院議員(埼玉8区)896万円の裏金
●安倍派 杉田水脈衆院議員(比例中国)1564万円の裏金
●安倍派 鈴木英敬衆院議員(三重4区)280万円の裏金
●安倍派 鈴木淳司衆院議員(愛知7区)60万円
●安倍派 関芳弘衆院議員(兵庫3区)836万円の裏金
●安倍派 高木毅衆院議員(福井2区)1019万円の裏金
●安倍派 高鳥修一衆院議員(新潟旧6区 比例)544万円の裏金
●二階派 武田良太衆院議員(福岡11区)1926万円の裏金
 山井議員は解任決議案への賛同を求め、趣旨説明を締めくくりました。

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 予算委員長の解任決議案に「賛成」の立場で討論に立った小山議員は、賛成する理由として、「審議時間が不十分であるにもかかわらず委員長職権で1日に採決を行う日程を決めたこと」や、「自民党議員の裏金問題」などを挙げました。

 小山議員は、令和6年度総予算は過去2番目の規模となっており、十分に審議を尽くし、国会だけでなく国民的な議論の必要性があるにもかかわらず、小野寺委員長は近年では80時間かけて行ってきた審議時間を昨年の審議時間にも満たない69時間で打ち切り、自らの職権で強硬に日程案を決定したことに「委員会運営は前代未聞の暴挙であり到底容認できない」と訴えました。

 また、野党が実態解明を求めている自民党の裏金問題について、「自民党は裏金議員の政治資金収支報告書を修正することで問題の幕引きを図ろうとしたが、その修正すらずさんなもので、収支報告書には『不明不明不明』と修正記載されている。こんな修正を絶対に認めるべきではない」「多くの国民が『国民は増税、自民は脱税』と怒っている。国民の怒りの矛先は税務署員等にも向けられ、対応に苦慮している。説明責任を果たすべきは裏金や脱法的行為を行った自民党議員」であると訴え、当該議員に説明責任を果たすことを求めました。

 小山議員はこれまでの予算審議を通じ、(1)能登半島地震の復興について、住宅再建支援のための新たな交付金制度が年齢や地域によって支給の可否が変わるなどの条件が付けられており、被災者に寄り添ったものではないこと(2)子ども子育て支援金について、国民1人あたり月額500円の負担といった粗い予算を公開したものの、加入する保険制度により月額1000円、年額1万円を超えるような新たな負担が生じることになるなど、事実上の子育て増税となること(3)「食料・農業・農村基本法」の改正を控え、農政の抜本的改革を行うとの掛け声にもかかわらず、農林水産部門の当初予算は二階元幹事長の1年間に受け取った政策活動費10億円にも満たないわずか3億円の増加にとどまったこと(4)外交防衛について、「リアリズム外交」と言いながらリアリズムの定義も中身も説明できない――等、多くの問題・課題について審議が全く尽くされていないとし、「小野寺委員長から解任し新たな委員長のもとで引き続き、予算案についての十分な審議を行うべき」と訴え、討論を締めくくりました。