衆院政治倫理審査会は3月1日、自民党の裏金問題について枝野幸男、寺田学、後藤祐一各議員が質疑を行い、その責任を問いました。

■西村前経産大臣に対する枝野幸男議員の質疑

 枝野議員は、安倍派(清和政策研究会)でやめていた資金還流を復活させた経緯を確認。西村前経産大臣は、「還付して欲しい」との派閥議員の声を受け派閥幹部で協議していたが、結論が出ないまま経産大臣就任を機に安倍派事務総長を退任したと述べ、その後の経緯は分らない旨答えました。

 西村前大臣は還流金(裏金)について、支持者などからの派閥のパーティー券の対価は派閥の口座に入金され、その後、自身の会計責任者である秘書が現金で受け取り、議員個人の政治資金パーティーに上乗せして収支報告書に計上しており、その事実を把握していなかったと説明しました。

 枝野議員は、派閥からは計上しないよう指示があったものの、還流された資金を収入として計上すれば辻褄が合わなくなるのは子どもでも分かる話、そうしたことを秘書が勝手にやることができるのかと指摘。西村前大臣は「(秘書が)判断してやった。今思えば、時間を取りしっかり報告を受け私が監督し、指示すればよかった」と述べ、関与をあらためて否定しました。

 枝野議員は、安倍派幹部で議員個人の政治資金パーティーに上乗せしているのは西村前大臣だけだと述べたうえで、安倍派だった下村博文議員が会見で、「還付については個人の資金集めパーティーのところに上乗せして収支報告書で合法的な形で出すこともあるのではないかという案が(ある人から)あった」と述べていることから、「非合法だと認識していなければ、個人のパーティー券に上乗せをするといったアイデアは必要ではないし、下村議員自身も『合法的な形で出すこともあるのではないか』ということで、この案があったと紹介している。下村議員の発言と西村前大臣の証言はまったく食い違っている」と指摘。西村前大臣は明確な答弁を避けました。

 枝野議員は、「寄付という形で還付すれば良いだけの話。自分のパーティーに上乗せするといった話は全くいらない」「西村前大臣の証言だけ聞いて『はい、そうですか』とは到底言えない」と述べ、下村議員に政倫審や予算委員会への出席を求め、「どちらが正しいことを言っているのか、証言を突き合わせるしかない」と述べ質問を終えました。

20240301_095142-.jpg

■松野前官房長官に対する枝野幸男議員の質疑

 松野前官房長官は、還流金(裏金)800万円の管理場所について議員会館の事務所で現金で保管していたと述べ枝野議員を驚かせました。

 枝野議員は、同じホテルへの支出で4月のものは修正前の収支報告書に載っていたが10月のものは還流金から支出していると語り、さらに4月の同じ日付で別のホテルのものは還流金から支出されていることから、年度の後半に還流金を使う、または相手先によって還流金を使うといったことがあれば分かるが「まったくランダム、規則性がない」と述べ、「あとから無理やりかき集めたのではないかという疑いを持たれても仕方がない」と指摘しました。

 松野前官房長官は、口座振込をしており「振込先、期日、金額等は明確になっている。隠さなければならないということではない」と説明しました。

 枝野議員は、同じ日付の支払いで一方だけ現金での振り込みにするのは「理解できない」と述べると、松野前官房長官は、「詳細・振り分けについて承知していないので、確認をさせていただきたい」と述べました。さらに松野前官房長官は還付金について、政治資金団体で管理しているとして「政治資金としての活動目的に適合したもの」と強調しました。

 枝野議員は、「政治団体の形式を事後的にでもとれば、政治資金になり、所得税がかからないという説明をしているから納税者の皆さんがいま怒っている」「領収書は残っていたとしても、誰と何を食べていたかまでは今説明できない。それでは納税者は納得できない」と指摘しました。松野前官房長官は「政治目的として認められているものの中で支出をしてきた」「会合等の設定は関与しているが、支払いは事務所からしている。還付金を自由に使っていたということはない」と語りました。

 枝野議員は、2年間政治活動として計上していなかったものを突然、政治活動だったというのは納得できるものではないと述べ、納得してもらうには会合ごとに誰と会ったものか、また個人的な遊興費ではないと説明する必要があると指摘しました。

20240301_112421-.jpg

■塩谷議員に対する寺田議員の質疑

 寺田議員は塩谷議員に対して、2020年の派閥の安倍会長が裏金を現金で還付する運用の改善方針を示した際に、違法である不記載の認識を安倍会長、塩谷議員など参加議員は持っていたのではないかと追及しました。

 国民の一番の怒りは、裏金についてきちんと納税しないことだと指摘し、塩谷議員に納税の意思があるか問いましたが、「納税するつもりはない」と答えました。また、寺田議員が、派閥の座長であったことから、所属していた議員に納税を促すように求めたところ、塩谷議員は、既に派閥を解消していることから「簡単ではない」と発言していましたが、寺田議員の強い求めに「もし、納税の必要があれば促していきたい」と答えました。

 寺田議員は、還付が始まった時期について塩谷議員の「20年前から」との発言に言及し、「正直に事実を解明し、責任をとるように」と強く求めました。

terada-2.jpg

■高木議員に対する後藤祐一議員の質疑

 後藤議員は、還付金の扱いについて話し合ったとされる令和4年の2回の打ち合わせ、令和5年の5月の打ち合わせについて、参加者、話し合った内容、結論、誰が決めたのか等について確認しましたが、高木議員は「わかりません」「関わっていない」といった答弁で、確かなことは分かりませんでした。

 昨年の5月に開催したパーティー収入について、高木議員は「事務総長なのに知らないのかと言われると思うが、売上額は知らない」、しかし、「不記載はない」と発言しました。

 本日の政倫審での西村議員と塩谷議員の答弁に齟齬があることから、後藤議員は「西村議員、塩谷議員、高木議員を再度、政倫審なのか証人喚問で話を聴かなければ、本当の所はわからない」と引き続き、全容解明のために説明を求めていくと述べました。

goto-2.jpg