衆院本会議で4月11日、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案」に対する代表質問を吉田統彦議員が行いました。

 冒頭、政治改革に関する特別委員会が設置されたことに触れ「政治資金規正法の抜本的な改正を審議する前に、裏金問題に関してなぜ岸田総理自身と二階俊博議員は処分対象外なのか、処分の基準は何なのか、森元総理の関与はあったのかなどを、まず国民に説明するべき」と岸田総理に強く求めました。

 本改正案について、吉田議員は、「本法案の趣旨と実態が乖離している」と述べ、問題点を指摘しました。

 (1)「子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現する為の措置の拡充」については、エッセンシャルワーカーやいわゆる成果型の仕事では実際のところ運用が困難であることを挙げ、特に「4月から施行される医師の働き方改革で医師不足が深刻となり、中核病院を中心に医療崩壊の可能性がある状況では、労使ともに負荷がかからないように、医療介護分野を中心に応分の対応をした上で、相当丁寧かつ慎重に適応すべきではないか」と提案しました。

 武見厚生労働大臣は「医療介護分野の業務を効率化し、休暇を取得しやすい環境を整備することが重要」と述べました。

 また、PhD等の特に理系の研究者、大学院に通いながら仕事をする社会人大学生や、就職氷河期世代の方々、非正規等労働条件の悪い仕事に従事している方についても「育児介護休暇を取得することがそもそも困難であり、今回の政策では置き去りになる恐れがある」と懸念を指摘しました。そして、「どうやって本改正の効果を、そもそも介護育児休暇の取得が困難な方達に及ぼしていこうと考えているのか」と問い、代替人員の確保等に対する支援、中小企業対策の必要性を訴えました。

 (2)3歳以上小学校就学前の措置の新設について、吉田議員は、「一律に3歳で区切るよりも、事業主や労働者にとって分かりやすく利用しやすい制度設計が望ましく、利用できる制度を年齢で区切らず、連続性のある一気通貫の制度にすべきとの意見が審議会で出た」と指摘しました。

 武見厚労大臣は、3歳までとする現行制度は女性の就業率を向上させる効果があったとしつつ「労働者の希望に応じた働き方を可能にするため、柔軟な働き方を新設することとしている」と答えました。

 子の看護休暇制度の見直しについては、審議会では対象年齢について、看護の必要性は小学校高学年でも認められることから、中学校就学前までとすべきとの意見や、看護休暇の取得可能日数の拡大、看護休暇を有給にすべきとの意見にも触れました。

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 吉田議員は、レスパイト入院、都市部で働く方のために統廃合した小学校等を活用し誰でも利用できる365日24時間利用可能な保育施設、一般・病児・病後児・学童保育や介護等の利用、育児休業を取得した社員と同僚社員間の不公平感を生まないための施策、介護離職防止のため仕事と介護の両立支援制度の強化、介護護施設における人件費の問題等について質問しました。

 立憲民主党が提出した「訪問介護緊急支援法案」では、「次回の令和9年度の介護報酬改定を待たずに、できる限り早い時期に訪問介護の介護報酬の基準を改定することを盛り込んでいる」ことを説明しました。

 また、党が再提出した「介護・障害福祉従事者処遇改善法案」について、政府の新たな処遇改善策にさらに上乗せする措置として、全ての介護・障害福祉事業所で働く全ての職員に対し、月額1万円の処遇改善を行うことを盛り込むと共に、介護・障害福祉従事者等の賃金水準を全産業平均と同程度のものにするための方策について検討することも盛り込んでいる」と説明し、政府の見解を問いました。

 武見厚労大臣は「全産業平均との差は確実に縮小してきた」との認識を示すにとどまりました。

 最後に吉田議員は、「保育・介護を必要とする方をお支えすると共に、それぞれの持ち場で頑張っている方々の思いを実現していく」と訴えました。