立憲民主党は5月14日、「機能性表示食品被害防止法案」(正式名称:食品衛生法の一部を改正する法律案)を衆院に提出しました。
 
  「機能性表示食品」は、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品であり、国が個別に許可した特定保健用食品(トクホ)や国の規格基準に適合した栄養機能食品とは違い、安全性及び機能性の根拠に関する情報などを消費者庁長官に届け出れば販売できる仕組み(許可は不要)となっています。機能性表示食品制度は創設当時から安全性・機能性の科学的根拠について問題視されてきましたが、小林製薬の紅麹の成分を含むサプリメントによる死亡事例や入院事例などの深刻な健康被害が発生していたことが分かり、早急に機能性表示食品の制度を見直す必要がありました。

 立憲民主党は、大西健介衆院議員を座長とする「機能性表示食品の見直しに関するプロジェクトチーム(PT)」において、政府や有識者、消費者団体からのヒアリングを重ね健康被害発生の原因究明や防止策の検討を進め、政府への緊急申し入れも行いました。しかし、消費者庁は、機能性表示食品約7000件の健康被害報告に関する総点検の結果について、被害件数のみで具体的な内容は明らかにせず、直ちに対応が必要なものはないと幕を引こうとしています。政府の対応は不誠実であり、立憲民主党はこれ以上の健康被害を増やしてはならないとの強い思いから、取り扱い業者に健康被害の報告を義務付ける法案を提出しました。

 本法案は、(1)健康被害やそのおそれのある情報を得た場合、機能性表示食品の取り扱い業者は速やかに都道府県知事へ届け出ることを義務とし、違反した場合は営業の許可取消や停止の対象とすることを新たに設けています。さらに附則で、(2)製造過程の管理の在り方や安全性及び機能性関与成分の科学的根拠を確認する方法を検討し必要な措置を講じること、(3)特定成分を過剰に摂取することができるサプリメントの安全確保や摂取による健康被害の救済に関する法制度の在り方を検討し法整備を講じること、との検討規定を盛り込んでいます。小林製薬による健康被害の報告が2カ月も後であった大きな要因は、現行制度のガイドラインでは、健康被害の情報について「速やかに報告することが適当」とされているものの、具体的な報告期間や法的義務が不明瞭なことにあります。報告を義務化し、被害情報を早期につかみ対策を講じることが、健康被害の拡大防止につながります。

 法案提出後の記者会見で、大西PT座長は「速やかに報告するとのガイドラインが守られていない。健康被害報告の義務化は命と健康にかかわることであり、一刻も早く成立させるため各党に賛同を呼びかけたい」と今国会での成立に意欲を示しました。井坂信彦PT事務局長は「最大の問題は、日本の機能性表示食品は安全性の面で世界に比べて緩い制度であること。国会を通さず法律も作らずガイドラインなど低いレベルで制度が決められているため、食品衛生法で安全性の確保を規定することが重要だ」と述べました。

 法案提出者は、大西健介(筆頭提出者)、山井和則、柚木道義、西村智奈美、中島克仁、吉田統彦、井坂信彦、早稲田ゆき、堤かなめ各衆院議員です。また、石川大我、高木真理各参院議員も出席しました。
機能性表示食品被害防止法(法案関係資料).pdf

20240514_122530-.jpg