岡田克也幹事長は5月14日、国会内で会見を開き政治改革について発言しました。

 政治改革関連法案について、午前中に国民民主党と協議を行ったことに関して、岡田幹事長は「両党でほぼ方向性が一致している部分と一致してない部分を分けて、前者について協議を深めていきたい」と述べ、立憲民主党が既に国会に法案を提出している政治献金とこれから新たに法案を提出する政治資金パーティーについて、「違いは違いとして国民民主党は国民民主党で提出することになる」ことを明らかにしました。

 岡田幹事長は、旧文通費については「国民民主党・維新と法案を出している」。政治資金規正法改正については「透明性、連座制、罰則強化について、国民民主党と協議していく」と述べ、「この後の党内での会議で、方向性について了承を得られれば、早いタイミングで実務者協議をスタートさせたい。なるべく双方の主張がそれぞれ入った内容の改革の法案を早期に取りまとめを目指す」ことを明らかにしました。

 テレビ番組等での自民党政治刷新本部座長の鈴木馨祐衆議院議員の発言に関連して、岡田幹事長は「野党案が出てくる中、早く与党として法案をまとめてほしい。合意文書はあるが、極めて抽象的でつまみ食い的に発言されても具体的に何を言ってるのか分からない。公明党の山口代表は合意できていない点があるという前提で話している。合意のペーパー自体は幅があるので、政策活動費とパーティーの限度のところはきちんと結論を出して、法案の形で出してほしい」と強調し、「自民党内は静かで、一体これは何なのだろうと思う。政権を運営していく資格が欠けていると思わざるを得ない」と批判しました。


岡田克也幹事長記者会見

2024年5月14日(火)15時00分~15時18分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/IcDTf3R8glM


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○政治改革(1) 国民民主党との協議について

【幹事長】
 私からは、政治改革の件についてお話ししたいと思います。
 先ほどぶら下がりを古川さん(国民民主党政治改革・行政改革推進本部本部長)と一緒にいたしましたが、午前中に国民民主党との協議を行いました。あのときにも申し上げましたが、両党でほぼ方向性が一致している部分と、そうでない部分を分けまして、一致している部分について更に協議を深めて、できるだけ共同で法案が出せるように努力していこうということであります。
 一致していない部分としては、政治献金、それからパーティー、この点につきましては国民民主党とは異なる点があります。それを埋めるための努力をしていると、どうしても時間がかかります。政治献金については我々は既に(企業・団体献金禁止)法案を国会に提出しております。それから、パーティーについては(開催禁止)法案を新たに提出しようとしております。そこの部分については、違いは違いとして、国民は国民で対応されるということにならざるを得ないと思います。私たちとしては、既に出した法案、これから出そうとするパーティー禁止法案、これもしっかりと特別委員会の中で議論していきたいと思っております。
 それ以外の部分、旧文通費については既に維新と(立憲・国民共同で)法案を出しておりますので、結局、透明性とか連座制とか罰則強化というような、そういったところについて、ボリュームとしてはこれが非常に大きいわけですが、我々でいう、今までご説明してきた法案四つのうちの最初の部分ですね。それについて国民民主党と協議していくということであります。
 この後、政治改革実行本部の総会が開かれますので、そういう方向性について了承を得られれば、できるだけ早いタイミングで実務者による協議をスタートさせたいと思っております。国民さんには我々にない視点でのご指摘もありましたので、それを総会で議論してもらった上で、なるべく双方の主張がそれぞれ入ったような形での改革案といいますか、法案ですね、それを早期に取りまとめることを目指していきたいと考えております。

○政治改革(2) 与党案について

【幹事長】
 きのうも含めていろいろテレビ番組を見ておりますと、自民党の鈴木(馨祐)さんの発言、何を言っているかよくわからないのですが、私たちとしてはとにかく早く法案を与党でまとめてくださいということです。与党の合意の文書はありますが、極めて抽象的であって、それをつまみ食い的に発言されても具体的に何を言っているかよくわからない。法案の形になれば議論ができるようになりますので、早く法案の形でまとめてもらいたいと思います。
 公明党の山口さんの話を聞いていると、まだ合意できていない点があるということは前提にお話しされています。それはそうだと思います。合意のペーパー自身はまだ幅がありますので、特に政策活動費のところとパーティーの限度のところですね、そういったところについてきちんと結論を出して、そして、法案の形で出してもらいたいと思います。
 事実を明らかにし処分をすることが先行したということではありますが、それにしても、この国会が始まってから一体何カ月たっているのかと。事実を明らかにする、そして処分するという作業をやりつつ、法案の検討を並行して進めることはできたはずであるし、我々はそういうふうにしてきました。野党各党が法案を既に準備をしている中で与党が出てこないというのは、一体何を考えているのかと思います。
 特に自民党は今回の裏金問題を起こした張本人ですから、まず率先して改革案を練り上げなければいけない。それがいまだにできていないということは驚くばかりであります。リクルート事件のときに、伊東正義先生や後藤田先生が中心になって若手が頑張って、解党的な出直しということで、かなり思い切った改革案、選挙制度を変える、あるいは政治資金規正制度を強化する、いろいろ穴はあるにしても相当思い切ったものを危機感を持って出してきたのと比べると、今は自民党の中は静かですし、真剣になって議論している雰囲気もないという中で、一体これは何なんだろうかと思います。もうそれだけで、政権を運営していく資格が欠けているのではないかと思わざるを得ません。
 早急に法案の形でまとめて出してもらいたい。そして、委員会でしっかり議論したいと考えているところであります。


■質疑

○政治改革について(1)

【共同通信】
 冒頭少し触れられたが、自民党の鈴木馨祐議員の発言について伺いたい。先日のNHK「日曜討論」の件で、日曜日に神奈川のほうで幹事長はその見解を問われ、そんなことを言っているから駄目なんだというふうなこともおっしゃったと思う。きのうの夜のBS−TBSのほうでも鈴木さんが、野党案について、自民党の収支構造に直結するものだけがピックアップされているというふうに述べられた。これから与野党協議あるいは法案として何かしらの改革案を与野党でまとめていかなければいけないというときに、与党の実務者からこういった発言が出ることについて、改めて受け止め、ご見解をお願いしたい。

【幹事長】
 私も番組を見ておりましたが、例えば労働組合とかそういったところも含めて、それから機関紙の発行ですね、議論すべきだというようなことも言っておられました。公明党の機関紙についても含まれるんですかと言われて口ごもっていたのが非常に印象的でしたが、そういう全体を議論しなければいけないと。だから、今回の、総理が前から言っていた3項目ですね、そこは再発防止として自民党は位置づけて、それと、それ以外、全体だと。そこには機関紙の話とか労働組合とかそういうものも含まれるんだということで、結局、そこを思い切って広げるだけ広げて、この国会ではやりませんよと言っているふうに私には聞こえました。
 それはとんでもないことで、もちろん指摘があればしっかり議論したいと思いますが、少なくとも政策活動費や旧文通費については、これは問題があることは明らかなので、そのほかの鈴木さんがおっしゃる課題と一緒でないと議論できないということではなく、しっかりとこの国会で結果を出すべきだと思います。そういう危機感、問題意識がないとしたら、これは極めて驚きであります。

【共同通信】
 そういう問題意識や危機感がないというふうに幹事長としてはお感じになっているということか。

【幹事長】
 そういう問題意識が鈴木さんご自身がないのか、それとも、総理からはいろいろ言われているとは思いますが、その3項目も含めて改革を前に進めることについて消極的な、そういう人たちとの間に入って苦しんでいるのか。どちらなのか、よくわかりませんね。

【NHK】
 私からも規正法について関連して伺いたい。与党案について、先ほど代議士会で安住国対委員長は、法案を提出する前に正式な協議はしないと言ったが、幹事長のお考えはその辺はいかがか。

【幹事長】
 法案を具体的にどうするかという協議のときに、与党が自分のスタンスが決まっていないと、それを示す法案がないというのは、それはあり得ないと思います。それはやりたくないと言っているに等しい。
 総理も法案を協議して出すということを言っておられるわけで、総理が幾ら言ったって事務方がそれに呼応して動かないというのが現状ではないかと思います。
 総理のリーダーシップのなさ。そして、幹事長以下、総理が幾ら言っても動かないという状況。末期的ではないですか、これは。政党として。

○「選挙妨害」めぐる議論について

【NHK】
 もう一点、別件になるが、さきの補欠選挙に関連して、つばさの党が強制捜査を受けた。その件で、公職選挙法の改正などについて、幹事長としてのお考えをお聞きしたい。

【幹事長】
 党の中で議論はしております。泉代表もきのう言われたと思います。
 ただ、今の維新の案を見ても、(罰則の懲役等の上限である)4年を5年にするとか、それから、具体的に選挙妨害の具体的なケースを書くとか、それが果たしてどこまで法的に意味があるのかというところは党の中でちょっと議論を尽くしたいと思います。
 警察も捜査に入りましたので、現行法でできるわけです。まずはそこで、どこまでこの事態が動くのか、それを見極めることも大事ではないかと思っています。
 法律を改正するということは、一方で、何といいますか、有権者の権利を阻害する、そういう部分もありますし、それから、具体的事例を書くことで逆に狭めてしまうと。それがいいという意見もありますが、それ以外のことならばやっていいということにもなりかねないので、ちょっと捜査の状況をよく見て、今の法律できちんとできるということであれば、あえて法律を変える必要はないのかもしれません。状況をちょっと見極める時期だと思います。

○次期衆院総選挙に向けて

【朝日新聞】
 国民民主党との連携のことで伺いたい。きょう午前中の玉木代表の会見で、幹事長は週末に神奈川19区に入られたと思うが、立憲と国民の候補者が競合しているところに応援に入られたことに触れ、いわゆる政治改革の政策をやると同時に選挙でそういう競合しているところで応援に入ったということに触れ、そういうことをされるとなかなか選挙も政策も円満にならないという趣旨の発言をされている。なかなか両立は難しいところもあると思うが、幹事長はどのようにこの選挙と政策を進めていくかというところのお考えをお願いしたい。

【幹事長】
 現実に候補者が競合しているところはあります。私たちが後から立てたところもありますが、逆のところも多いという状況ですね。
 それはそれとして、候補者調整を本気でやるというならば、そういう構えで提案してもらえれば、我々だって議論をすることを否定しているものではないのですね。あくまでも自民党と競い合って勝てる人に絞っていくというのが基本になりますが、候補者調整をすることを否定しているものではありません。
 そのことと、国会でこの大事な政治改革の話を関連づけるという、そこはちょっと私の考え方とは違います。国会の中で協力できるものをなるべく積み重ねていく中で、最終的に立憲と国民がしっかりこの選挙を協力してやっていくという姿が見えてくるのだと思っています。

○官房機密費について

【NHK】
 別件で、官房機密費のことで伺いたい。一部報道の中で、過去の官房長官経験者が、いわゆる官房機密費を選挙に使ったことがあるという趣旨の証言が出ている。改めて、今回の政治改革に官房機密費は入っていないが、この官房機密費の公開も含めて、見直しの必要性をどうお考えか。

【幹事長】
 今の官房機密費というのは、金庫にお金が入っていて、官房長官がそれを使い放題というふうに私は理解しているのですね。それはやはり、いかにもおかしいと思います。何らかの記録は残すべきだし、一定期間たてば、それを公表するというのが普通ではないかと思います。
 それでも一定の節度を持ってやっておられたらいいのだけれども、聞くところによると、選挙に使っていると。税金をそういう形で、政策のために使うということで確保されている機密費の予算を自らの選挙のために使っているということになれば、もうこれは政権としては底が抜けたというか、論外の話ということになります。
 ですから、鈴木さんも絶対使っていないと言われました。何の根拠もないですよね。そういうふうに強弁するところがかえって不自然だし、官房長官の記者会見を見ていても、はっきり言いませんよね、機密費の中身は言わないことになっていると。でも、そういう政党の私的なことに、選挙などには使っていないということは少なくとも断言すべきだ。それを断言できないということは、やっているということだと言われても仕方がないと思います。

○政治改革について(2)

【読売新聞】
 政治改革に戻るが、自民党の骨子というか何枚かのペーパーが出され、そこでは労働組合の政治活動・資金の透明性のあり方についても今後検討していくというふうに明記されていて、やはり連合だったり、そういった意味で立憲民主党や国民民主党を念頭に書かれているのかなというふうには思うが、岡田幹事長はどのように受け止めているか教えていただきたい。

【幹事長】
 具体的に組合の何が問題なのか、もう少し具体的に語ってもらわないと、単に印象づけをしているだけだというふうに私は受け取っています。問題があるのであれば、こういう問題があると、はっきり言われたらいいと思いますね。そうしたら、それも含めて議論すればいいと思います。
 ただし、その議論の結論が出ない限り最低限のこと以外は何もやらないみたいな、きのうの議論は、これは絶対に受け入れられません。単なる先送りするための理屈として、屁理屈として使われているというふうに受け止められても仕方がないと思います。

【読売新聞】
 もう一点。立憲民主党は企業・団体献金の廃止を明確に掲げていて、ただ、現状、今まではあったわけなので、党内でも一部慎重論というか、そういった声もあるとは思うが、そういうことに対して、掲げた理由だったり、どういう意義があるのか、改めて教えていただきたい。

【幹事長】
 経緯的に言うと、企業・団体献金の廃止法案は、もう既に2年前に我が党として決定をして出している話です。ですから、そこでもう決着しているのです。いろいろな議論はありましたが、私は、もうそこで決着していると。法案を出しているんだということを申し上げたところです。
 ただし、これが成立すればもちろんそれに各党従うわけですが、我が党だけ自らの手を縛るというようなことはしないと。それはあくまでもイコールフィッティングだということも申し上げているところです。

(以上)