参院本会議で6月5日、「地方自治法の一部を改正する法律案」について質疑が行われ、岸真紀子議員が登壇しました。冒頭、岸議員は岸田総理の諮問機関である「第33次地方制度調査会」が昨年末にまとめた答申内容について、「この答申自体が最初から政府の意図的な答えありきで進んだのではないかと疑念を持たざるを得ない。地方制度調査会の議論では、国の指示権拡大に対し、相当慎重な意見が出されていたにもかかわらず、反映されていない」と指摘。その上で、「果たして政府の介入のない客観的な答申だったといえるのか疑問だ。地方制度調査会の設置法の目的である『日本国憲法の基本理念を十分に具現するように現行地方制度に全般的な検討を加えること』に反していないか」と総務大臣に見解を明らかにするよう求めました。

 岸議員は、以下の問題点等について質問しました。

 新型コロナ対応をめぐり国と地方自治体の調整が混乱したことを教訓に政府が国会に提出した「国の指示権拡大」を柱とする本改正案について、「指示権拡大が必要との立法事実が判然としていない」と指摘。そのうえで、「個別法が想定しない事態に対処するための国の関与は、技術的助言や勧告しかできない。本法案において、技術的助言や勧告しかできないから支障があるというのは具体的に何を指しているのか」と質問。「政府のコロナ対策を検証した上での本法案の提出なのか」と疑問視しました。

 本改正案が地方分権に逆行する「国の指示権拡大」の歯止めになるか不透明だと見解を示し、「国会における事後報告と合わせて検証を義務化することで、個別法改正につなげるなど国会の議論に資する修正を行うべきだ」と強調しました。

 岸議員は、武力攻撃事態対処法に言及。「武力攻撃事態等及び存立危機事態での補充的指示権」の発動は未来永劫ないのかと質問。その上で、補充的指示権の対象となる自治体との事前協議を努力義務にとどめた理由について「当該自治体の理解・納得は欠かせない」と述べ、今から条文を出し直すよう求めました。「総務省が現段階で示している、『国が地方に意見を求める』とはどこまで地方の意見の反映が担保されるのか。自治体、議会、住民との関係性はどのように捉えているのか」と大臣の見解を示すよう求めました。また、補充的指示が出された後の機動的な対応を行うため、出された後の当該自治体との協議をどのように考えているのか、具体的な説明を求めました。国と地方公共団体の関係性について、「対等・協力」関係を維持し、国民の生命等を保護するために、大臣・自治体から国に対し是正を求める制度の必要性を訴えました。衆院での審議で総務大臣が補充的指示について「国の責任の所在を明確化することに意義がある」と答弁したことを受け、「国の責任とは何を指しているのか」を明らかにするよう求めました。国の介入が見込まれる学校一斉休校、地震への対応について、「責任のない国が指示を出すことは、自治体や地域住民にとっての弊害となりかねず、大臣の答弁と矛盾しているのではないか」と指摘しました。

 少子高齢化・人口減少により、地方自治体における人材確保が難しくなっている現状を踏まえ、新たに規定予定の「指定地域共同活動団体制度」について、制度の具体性を質問。岸議員は、自治体機能の強化のため、「職員定数増を見据えた地方財政の確立・拡充こそが必要ではないか」と訴えました。

 最後に岸議員は、「立憲民主党は地方の衰退を招いた政権与党から、地域住民の暮らしを守るためにも、政権交代へ向け全力で取り組んでいきたい」と力をこめ、質問を終えました。

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