【談話】2024年環境の日を迎えるにあたって
立憲民主党「次の内閣」ネクスト環境大臣 近藤昭一
年明けの能登半島地震は、改めて自然災害の脅威と、万が一原子力発電所で事故が起きていた場合の避難の困難さが明らかとなりました。志賀原発が稼働しておらず、珠洲原発が住民の反対によって計画中止になったことで、甚大な被害を未然に防いだといえるのではないでしょうか。
昨今、環境の話題は事欠かないようになってきました。世界気象機関によれば2023年の世界の平均気温は産業革命前から約1.45度上昇し、観測史上最も暑い年であったと報告されています。生物の絶滅はかつてないスピードとなり、第6次大量絶滅時代に突入するとの指摘もあります。国際社会では人権・環境デュー・ディリジェンスの義務化や独立した人権救済機関の設置が進んでいます。企業は、労働者の人権尊重はもとより、サプライチェーン上の人権侵害、生物多様性や気候変動リスクに対して積極的に対応しなければ事業機会を失うことにつながりかねません。
こうした中、環境省の前身である環境庁の設置から半世紀、また環境基本法制定から30年が経過しました。国内外の環境に対する社会情勢や国民理解が変化しているにもかかわらず、政府の環境政策の方向性を定める環境基本法は全く見直されていません。昨年は様々な問題が指摘されていたグリーントランスフォーメーション(GX)推進法案やGX脱炭素電源法案が環境省ではなく経済産業省所管の法案として議論されるなど、経済最優先の政策指向となっています。
環境と経済の両立が必要といわれてすでに50年近く経過しています。環境を軽視し、経済を最優先とすることが、人の健康や環境に重大かつ不可逆的な被害をもたらすだけでなく、経済にも大きな負の影響を与えることは歴史が証明しているところであります。昨今の気候変動政策の中で提言されるような、気候正義といった世代間・地域間を超えた公平性の考えや、人の健康や環境への被害を防止するための予防的な観点を踏まえた環境政策が必要です。
しかし、5月の水俣病被害者の皆さんと環境大臣の懇談では、当事者の発言を制止するといった当事者を軽視するような姿勢が見られました。環境省は他の省庁と比較して、様々な市民団体や、気候変動など環境の変化の影響を受ける若い世代を意識した施策を講じていると信じていたからこそ、残念でなりません。
公害問題は、過去の問題ではありません。いまだに救済されていない水俣病被害者の方はもちろん、アスベストやPFASの問題なども、現在もまさに進行中です。困難を抱える方々に寄り添い、大気や水の汚染に不安を覚える人々の声を聞き、国民の健康を守ることを最優先とした対応を行う必要があります。
立憲民主党は、当事者の方々が希望する解決策を実現するための政策立案を行い、若者視点での政策提言を行う未来世代委員会を国会内に設置する法案を提出するなど、日本の豊かな自然環境を未来に引き継ぐための取り組みを進めてまいります。