立憲民主党は6月7日、「手話言語法案」を衆院に提出しました。
本法案は、手話の習得や手話文化の保存に関する施策について、基本理念、国及び地方公共団体の責務、手話基本計画の策定、基本的施策(第一言語としての手話の習得に対する支援、手話の能力を有する教職員の充実等)を定める内容となっています。手話を言語として認め、ろう者が安心して日常生活や社会参加を進められるよう、「きこえない、きこえにくい、きこえる」に関わらず、手話の習得の機会の拡大や手話文化の継承・発展を図るための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的としています。
手話はろう者にとって日常生活や社会生活を営む上で重要な独自の言語です。
2006年12月に国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」(障害者権利条約)に手話が言語の一つであるということが明記され、日本では「障害者基本法」にも「言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保される」と定められています。立憲民主党はかねてより「手話言語法」の制定を目指してきました。2019年に野党共同で法案を提出したものの、当時は審議未了で廃案になった経緯があります。
2022年9月には、国連の障害者権利委員会から日本政府に対し、手話を公用語として法律で認めるべきとの勧告が出ましたが、手話の習得を支援する国の施策はいまだに整っていません。一方で、自治体議会での手話言語条例の制定(2024年6月時点で537自治体)や「手話を広める知事の会」の活動など、全国各地では取り組みが進んでいます。また、2025年11月には、共生社会の実現を掲げた聴覚障がい者のスポーツの祭典「デフレンピック」も国内(東京)で初めて開催されます。これらを背景に、全日本ろうあ連盟をはじめ当事者からの法制定を求める声が一層高まっていること、また2022年5月に施行された「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の附帯決議に手話言語法の立法の検討が付されていることから、立憲民主党は今回あらためて「手話言語法案」を提出しました。
法案提出後の記者会見では、筆頭提出者である道下大樹衆院議員が法案提出までの経緯と内容について説明。横沢高徳参院議員(党障がい・難病プロジェクトチーム座長)は、「本年4月施行の改正障害者差別解消法にある合理的配慮の民間事業者への義務化、デフレンピック東京大会、自治体での条例制定などの動きから、今、国として手話言語法を成立させることが現場から求められている」と法案提出の意義を強調しました。杉尾秀哉参院議員(ネクスト内閣府担当大臣)は、「自治体での条例制定が広がり県民の理解も進んでいる。この法案は各党も反対するものではないと思うので、賛同を募り国レベルでの法制定を実現させたい」と意気込みを語りました。高木真理参院議員(ネクスト厚生労働大臣)は、「前回の提出時には残念ながら成立まで至らなかったが、この機運を逃さずに成立させたいと強く願う」と述べました。
法案提出者は、道下大樹(筆頭提出者)、原口一博、山井和則、小宮山泰子、柚木道義、金子恵美、中島克仁、山崎誠、森山浩行、吉田統彦、坂本祐之輔、井坂信彦、早稲田ゆき、森田俊和各衆院議員です。また、川田龍平、杉尾秀哉、打越さく良、横沢高徳、宮口治子、高木真理各参院議員も同席しました。