野田佳彦代表は1月27日、衆院本会議において、石破総理の施政方針演説など政府四演説に対し、代表質問を行い、(1)日米関係(2)排他的経済水域(3)負担を減らす物価高対策(4)財政(5)政治改革(6)震災復興(7)皇位の安定的な継承(8)選択的夫婦別姓――等について質問しました。

 参考原稿は以下の通りです。なお野田代表は、自身の言葉で演説するため、参考原稿どおりには読みあげていないことをご承知おきください。

第217回通常国会 政府四演説に対する代表質問(参考原稿)

令和7年1月27日
立憲民主党・無所属 野田佳彦

(はじめに)
 立憲民主党の野田佳彦です。会派を代表して、石破内閣総理大臣の施政方針演説をはじめ政府四演説に対する質問を行います。
 欧州や中東で戦争が起こり、社会不安は増大、政治が機能不全に陥るなかで、極論やポピュリズムが台頭しています。使い古された言葉ですが「デモクラシーの危機」が、現実味を帯びています。日本では、昨年の総選挙で与野党伯仲国会が生まれて、私は「熟議と公開」を旨とする国会改革を掲げ、日本の議会制民主主義の底力を示す好機だと訴えました。
 昨年末の臨時国会では、予算案の修正を28年ぶりに行い、政策活動費の全廃などが自民党にもご理解をいただいて可決することができました。今年の通常国会は、日本の民主主義の真価が問われます。熟議の真価が問われる国会です。石破総理とかみ合った議論をしたいと願っています。以下、いくつかのテーマについて質問いたします。

Ⅰ.日米関係について
(1) トランプ大統領は就任初日にWHO(世界保健機構)やパリ協定から離脱する大統領令に署名しました。技術面・資金面において主要な役割を果たしているアメリカがWHOから離脱すれば、世界的なパンデミックへの国際協調や特に途上国の健康の保護に大きな影響が出ます。
気候変動対策については、アメリカでも老朽化した石炭火力発電から環境負荷の低いLNG火力発電への切り替えが進んではいるものの、開発途上国の温室効果ガス削減と気候変動の影響への対処を支援するための国際基金への拠出が止まり、世界全体での気候変動対策に遅れが生じる可能性があります。
 米国のWHOやパリ協定からの離脱の影響をどのように考えますか。日本はどのように対応しますか。

(2) 北朝鮮の核・ミサイル開発は国際社会の反対にもかかわらず継続されており、国際社会と連携して断念させなければなりません。そして、北朝鮮に核保有国としての地位を認めることは当然に認められません。
 トランプ大統領は、史上初の米朝首脳会談を実現し、2018年6月の米朝首脳会談において、金正恩総書記は一旦完全な非核化の意志を表明しました。しかし、2019年2月の米朝首脳会談が物別れに終わり、同年12月に改めて戦略兵器開発を続ける旨を表明するに至りました。
 この間の北朝鮮の態度を踏まえれば、北朝鮮を一度核保有国として認めた場合、非核化を実現することはより一層難しくなるのではないでしょうか。トランプ大統領が北朝鮮を「核保有国」と発言しましたが、その真意は何だと思いますか。

(3) トランプ大統領は、就任初日の関税引き上げは回避されたものの、就任初日に2月1日からメキシコとカナダに25%の関税を課すことを検討していると発言しました。実際に関税が引き上げられれば、アメリカの関税引き上げが報復関税を呼び、自由貿易体制の危機、世界経済に混乱をもたらす可能性があります。
 中国は保護主義に反対するものの、不透明な補助金によるダンピングなど、残念ながら自由貿易体制推進の旗手に立つにふさわしいといえません。
 このような情勢で、CPTPPとRCEPの両方に加盟している日本の果たす役割はさらに重要になっているといえます。第2次トランプ政権が発足し保護主義が台頭する中、日本はCPTPPの拡大やTPPとRCEPの融合を見据えたRCEPの高度化など、自由貿易を旗印に戦略的に経済外交を推進すべきではないでしょうか。

(4) CPTPPへの加入手続きや協定内容の見直し等、CPTPPに関わる事務負担は多くあります。これまでは、事務局を作らず持ち回りの議長国がそれらの取りまとめを行ってきました。現在、CPTPPは12カ国にまで拡大し、世界のGDPの15%を占める巨大な経済圏です。
 常設の事務局を設置することはCPTPPの安定的な運営という観点から有意義です。日本が、自由貿易体制の発展においてリーダーシップを発揮していくために、CPTPP事務局を日本に設置するのはいかがでしょうか。

(5) USスチール買収禁止命令について、岩屋外務大臣はルビオ国務長官との初会談で日本から米国への投資について不安や懸念を払拭する努力をしてほしいと伝えたとのことです。総理も同様に、アメリカ政府に懸念の払拭を強く求めると発言しています。
 本件は日米双方の経済安全保障上の利益にもつながると考えます。バイデン前大統領がUSスチール買収禁止決定したことは極めて遺憾であり、トランプ大統領には率直に懸念を伝え、再考を求めるべきではありませんか。

Ⅱ.排他的経済水域(EEZ)について
(6) トランプ大統領の当選や中国経済の低迷を受けて、中国が対日姿勢をやや軟化させたともいわれ、日中が相互にビザの緩和を行いました。ただし、日中間には懸案が山積しています。
 例えば、尖閣諸島周辺など、日本のEEZ内で中国がブイを設置している問題があります。日本のEEZにおいては、ブイの設置に当たっては沿岸国の日本の同意が必要であり、我が国の抗議にもかかわらず一方的な設置を続けていることは認められるものではありません。こうした懸念についてはしっかりと中国側に伝え、対応を求めていくべきです。
 昨年末の日中外相会談で岩屋外務大臣は、日本のEEZ内で見つかった中国語の記載のある海上ブイの撤去を求めたそうですが、中国側はどのように説明し、その後どのように対応したのでしょうか。

(7) 南鳥島周辺では、レアアース泥が確認されており、東大などの調査では、世界需要の数百年分相当の埋蔵量があるともいわれています。
 レアアースは、モーターに使われる永久磁石に不可欠な鉱物です。しかし、現在は自給できていない上に、輸入においては中国への依存が高い状況であり、安定的なサプライチェーンを構築しているとはいえない状況にあります。
 そうした中で、南鳥島周辺でのレアアースを安定的に採掘することができれば、自給が可能となるだけでなく、外交カードが増えうるものです。採掘にあたっては、採算の課題や生物多様性の保全など環境対策を講じる必要などはありますが、得られるメリットも多くあります。南鳥島沖の海底資源開発にもっと力を入れるべきではないでしょうか。

(8) 日本は国土が狭いものの、領海とEEZを合わせた面積は約447万㎢に及び、これは国土の約12倍、世界で6番目の広さとなります。そして、広い領海・EEZの維持のためには、国境離島の維持管理が不可欠です。
 広大な領海・EEZの監視は、警察や海上保安庁だけでは難しく、特に国境離島の住民の方々の協力も必要不可欠です。現在、離島では少子高齢化が進み、限界集落が多く存在している状況はまさに日本の海洋安全保障と直結する問題です。
 しかし、離島振興予算は、公共事業需要の減少を理由に20年前の約1300億円から約750億円と削減されています。予算を増やし、少子高齢化対策を進めることが必要です。おととし国境離島の数が484から473に減っていることが明らかになりました。大失態です。国境離島の維持管理を強化すべきではないでしょうか。

Ⅲ.負担を減らす物価高対策
(9) 政府はこれまでガソリン補助金に累計約8兆円以上の予算をつぎ込んでいます。全額が国民負担軽減になっているか不透明な補助金ではなく、透明性の高い形で、直接的に国民の負担を軽減すべきです。
 まず、民主党政権時に創設したトリガー条項については、激変緩和措置を講じるなどした上で、速やかに発動できるように凍結を解除すべきです。その上で、この間のガソリン価格の高止まりを踏まえ、「上乗せ税率」自体の廃止を図るべきだと考えます。
 ガソリン価格の大幅な値上がりが家計を直撃し、悲鳴が上がっています。直ちにガソリン税の上乗せ税率を廃止すべきではないでしょうか。

(10) 中小企業が正規雇用を増やしたいと思っても、赤字法人でも負担しなければならない社会保険料の新たな負担感が新規採用を進めることを躊躇しているのだとしたら、中小企業と労働者、お互いにとって望ましいものではありません。
 中小企業は法人税よりも社会保険料のほうが負担感が大きいと思います。立憲民主党は新たに正規労働者を雇用した中小事業者には、長期間に社会保険料の事業主負担を軽減する法案をとりまとめています。総理のご見解をお伺いいたします。

(11) 総理は、初の二国間外交の訪問先としてマレーシアとインドネシアを選ばれました。そのインドネシアでは、1月6日より無料給食を開始しました。対象は幼稚園から高校生、妊婦であり、彼らの栄養状態の改善を目的としています。日本においても、家では十分にごはんが食べられない小学生や中学生、給食費を払う余裕がない家庭は少なくありません。
 インドネシアは約4兆4千億円の予算をつけて何とか無料給食を始めようとしています。立憲民主党など野党3党の提出した「学校給食無償化法案」では、インドネシアの無料給食予算の10分の1で日本でも公立小中学校の学校給食の無償化ができます。日本で給食の無償化ができない理由はありません。
 学校給食の無償化は保護者の負担を減らし、可処分所得をふやす効果もあると思いますが、野党3党が提出した「学校給食無償化法案」をどのように評価していますか。

(12) 東京都は、経済的な理由により子どもを生み育てることを諦めることがないよう、また、子どもたちが将来にわたって安心して学ぶことができるよう、教育費の負担軽減策として、高校の授業料負担について、所得制限を撤廃するとともに、私立学校についてはより手厚い支援を行うことをはじめました。立憲民主党東京都議会会派からの強い要望に応えて、所得制限の撤廃が実現しました。
 また、立憲民主党としても、民主党政権が、高校授業料実質無償化を実現させ、また、所得制限無しの高校授業料の実質無償化も、一時期、実現させた思いを引き継ぎ、高校無償化について、所得制限を廃止すべきと考えており、所得制限撤廃の動きが自治体から出てきたことについて、大いに歓迎したいと思っておりますが、やはり地域で差が出るのは好ましくなく、速やかに全国一律の制度とすべきと考えます。
 総理は東京都方式の私立を含む高校授業料無償化をどのように評価していますか。全国展開するお考えはありませんか。

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Ⅳ.財政について
(13) 政府は現在、財政健全化目標として、「2025年度の国・地方を合わせたPB黒字化」を掲げています。PBの黒字化目標が初めて掲げられたのは、小泉政権下、2001年に閣議決定された「骨太の方針」でした。それ以降、1度も目標は達成されることなく、20年以上にわたり、目標達成時期が先送りされてきました。
 そうした中で、昨年7月に内閣府が公表した「中長期の経済財政に関する試算」では、2025年度に、目標を掲げて以降初めてPBが黒字化する見通しが示されていました。本年1月17日に内閣府から公表された最新の試算では、国と地方の基礎的財政収支(PB)が2025年度に4.5兆円程度赤字になる見通しとなりましたが、政府への信頼を大きく損なうことになったのではありませんか。

(14) 昨年10月の衆院選の折、総理は「(前年の補正予算を)上回る大きな補正予算を成立させたい」と発言されました。当然、補正予算の規模というのは、積み上げの結果として決まってくるものですが、先に規模の話が出てきたのは驚きでした。
 結局、その中身は、「積み過ぎ」な基金など、財政法第29条が補正予算に求めるところの「緊要性」を欠く支出が多数見受けられたことは、我々が予算審議の中で厳しく指摘をした通りです。
 内閣府の資料では「2024年度の経済対策等による支出増」による収支への影響は、-5.8兆円と見積もられています。規模ありきで編成した令和6年度補正予算がPB黒字化の先送りにつながったのではないですか。補正予算編成の常態化を改めるべきではないですか。

(15) このように放漫な支出を繰り返しておきながら、政府が言い訳のように申し添えるのが「財政健全化の旗は降ろさない」との一言です。確かに、政府の文書の中には、財政健全化に向けて取り組むといった趣旨の言葉が散りばめられています。
 しかし、実際には、この間、合理性が強く疑われる巨額の財政出動を繰り返し、結果としてPB黒字化目標は1度も達成できなかったわけです。「旗」は掲げているだけでは意味がありません。実際に成果に結びつく具体的な行動を取るべきです。
 政府・与党がやらないならと、我々は「本気の歳出改革」の具体化に向けて、今作業を進めています。総理は「財政健全化の旗は降ろさない」と語りましたが、そのための道筋と戦略をどのように考えているのでしょうか。

(16) 財政健全化に向けて、1つ具体的な提案をしておきたいと思います。それは、独立財政機関の設置です。
 現在、経済・財政に関する推計は内閣府が実施していますが、時の政権の意向を反映しているためか、見通しの甘さが度々指摘されています。甘い見通しをするから中々財布が締まらないのか、財布を締めたくないから甘い見通しをさせているのか分かりませんが、いずれにしても、経済・財政に関する見通しは、政府から独立した中立的・専門的な機関が担うべきであると考えます。
 こうした提案は、我々だけでなく、経済団体や有識者からも行われているほか、与党内にも同様の主張があると承知しております。経済・財政に関する見通しは、政府から独立した中立的・専門的な機関が担うべきであると考えます。独立財政機関を国会に設置すべきではないですか。

Ⅴ.政治改革について
(17) 1994年の「平成の政治改革」では、政党交付金の導入に伴い、政治家個人への企業・団体献金は禁止されました。政党等に対する企業・団体献金は「5年後に見直す」とされましたが、現在まで放置されたままです。
 引き続き、政党・政治資金団体向けの献金が認められたことから、政党支部経由の献金がまかり通り、また、企業・団体献金の代替として政治資金パーティーが活用され、今回の自民党派閥の裏金事件につながりました。
 国民の政治に対する信頼を回復するためにも、今こそ、資金力に物を言わせて政策決定をゆがめる、企業・団体献金を禁止し、個人献金中心に移行していくべきではありませんか。
 自民党は企業団体献金の透明性を高める法案をまとめたようですが、私たちが主張する企業団体献金の禁止とは隔たりが大きいように思います。30年前の宿題を年度内に片づける決意を本当にお持ちでしょうか。

(18) また、現行の衆院小選挙区比例代表並立制をめぐって「党派を超えた検証が必要だ」などと、総理は最近、選挙制度改革に言及するようになりましたが、今は政治資金規正法の再改正に集中し議論の拡散は避けるべきではありませんか。総理、あわせてお尋ねいたします。

(19) 政治資金パーティーをめぐる裏金問題に関しては、旧安倍派の会計責任者の参考人招致が極めて重要です。
 衆参両院の政治倫理審査会で行われました旧安倍派幹部の弁明と、この元会計責任者の裁判での証言が食い違っていて、さらに、元会計責任者が主導的な役割を果たしたことが分かってきています。
 真相解明のためには国会でご本人に説明してもらわなければならない事態となっているのです。予算案審議の前に、ぜひ旧安倍派会計責任者の参考人招致を行おうではありませんか。総理のご決断を求めます。

(20) 都議会自民党でも、同じ裏金問題が判明しました。10年以上前から行われていた可能性があるとの証言もあります。さらに、都議会自民党だけでなく、自民党東京都連でも「不記載」が発覚しました。全国で同じような状況があるのではないですか。総理、自民党総裁として説明責任と真相解明にどう取り組むのですか。
 今年は都議会議員選挙があります。都議会自民党パーティー収入不記載問題が明らかになりましたが、不記載議員26名のうち幹事長経験者は公認されず、その他は公認する方針のようですが、その理由を明確にしてください。自民党は各都道府県連を調査し、都議会自民党以外は不記載はなかったと報道されておりますが、各都道府県連の収支に関連した政治団体についてもしっかりと再調査すべきではないでしょうか。

(21)さて、今通常国会の会期は150日間、延長されなければ6月22日に閉会します。改選を控えた参院議員の任期は7月28日までです。公職選挙法の規定により参院選の投開票日は7月16日以降22日以内のいずれかとなります。国政選挙の投票日は日曜日が定着しており、7月20日の日曜日が軸となるとみられます。
 選挙は民主主義の根幹です。一人でも多くの有権者が投票できるようにするのが当然です。しかし、夏休みに近い三連休の真ん中が投票日となれば、投票率が下がることが予想されます。組織票が堅い与党に有利に働く可能性が高いと思われます。
 参院選の投開票日を3連休の中日(7月20日)にすれば投票率が下がると思われます。普選法が公布されてから100周年の節目になぜこのような判断をしたのでしょうか。

Ⅵ.震災復興について
(22) 「被災者生活再建支援法」は1995年の阪神・淡路大震災で、直下型の地震による家屋の倒壊や火災による焼失が多数発生したことにより、被災者の生活再建を支援する公的制度を求める機運が高まり、制定されました。
 昨年発災した能登半島地震と能登半島豪雨災害の復旧・復興もいまなお進んでおらず、基本的な生活基盤である住宅再建のためには、国の支援強化が必要となっています。昨今の急激な物価高騰も踏まえて、被災者生活再建支援金の見直しが急がれています。
 阪神・淡路大震災をきっかけとして「被災者生活再建支援法」が制定されましたが、支援金の最高額を300万円から600万円に倍増するなどの法案を昨年末に野党3党で共同提出しました。どのように評価しておられますか。

(23) 昨年12月、総理は、福島県を訪問された際、第2期復興・創生期間後の財源の規模について初めて明言されました。秋の行政事業レビューで地元が不安になる中、総理が福島県の復興事業について、増額の意向を示されたことは極めて大きいことであり、さらに石破内閣の最重要課題として「最後まで責任を持つ」ことを明言されたことは大変心強いものがあります。
 「福島の再生なくして、日本の再生はない」。本年夏頃を目途に、第2期復興・創生期間後の当面5年間の復旧・復興事業の実施に十分な財源フレームを示す考えはおありでしょうか。

(24) 総理は、年頭の記者会見で、被災者の尊厳ある避難生活のため、国際基準である「スフィア基準」をふまえた環境整備を提供する方針を表明されました。避難先の生活環境の改善によって防止できる災害関連死があいつぐ事態は、尊厳ある生活とは程遠いものです。
 今後、避難先である施設の温熱環境の改善など、生活環境の改善に政府が積極的に関与することが求められています。能登地域の復旧・復興に係る予備費1000億円の具体的支出内容は我々の提案を踏まえていただけるのでしょうか。いつまでに決定するのでしょうか。

Ⅶ.皇位の安定的な継承について
(25) 安定的な皇位継承は、悠長に構えていてよい課題ではなく、静謐な環境の中で、真摯な協議を重ねて立法府の総意を築き上げていくことが求められています。
 立憲民主党は、党内で議論を重ねて昨年3月、論点整理を取りまとめました。衆参両院の正副議長が、わが党をはじめ各党の代表者らから意見聴取を行い、昨年9月26日には意見聴取の結果をまとめた中間報告を当時の岸田前総理に提出しました。
 1月31日から衆参正副議長の下で与野党協議が再開されますが、「女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する案」と「旧宮家から養子を迎える案」について、総理はどのような評価をしているか、ご所見を伺います。

Ⅷ.選択的夫婦別姓について
(26) 選択的夫婦別姓制度の早期成立がぜひ必要です。選択的夫婦別姓制度を求める国民や経済団体の声は大きく高まっています。
 経団連は2024年6月に選択的夫婦別姓制度の導入を求める提言を公表しています。その中では、旧姓の通称使用では、例えば通称では不動産登記ができない等のビジネス上の弊害があることが挙げられています。旧姓の使用拡大だけでは対応できず、法制化の必要が明確にあるのです。
 また、国連の女性差別撤廃委員会が、2003年以降3回にわたって、選択的夫婦別姓を実現するよう勧告し、去年4回目の勧告を行いました。条約の締約国の政府が、国民の理解や国会での議論を理由に勧告に対応しないのは怠慢にほかなりません。
 さきの衆院選では選択的夫婦別姓を訴えた議員が多く当選し、直近の民意が選択的夫婦別姓を求めていることは明らかです。私たちはこれまでに何度も、選択的夫婦別姓制度を導入する「民法改正案」を各党共同で提出してきましたが、今国会に改めて出し直すことにしております。
 「姓が選べず、つらい思い、不利益を受けることは解消しないといけない」。総裁選立候補表明の会見で、こうコメントされていた総理ご自身は選択的夫婦別姓賛成論者だったと承知していますが、そのお立場から党内の意見集約にリーダーシップを発揮したらいかがでしょうか。

(27) また、鈴木法務大臣も報道機関のアンケートにおいて選択的夫婦別姓に賛成の立場を取ってきましたが、どのようなプロセスを経て実現させるつもりでしょうか。

(28) さらに、選択的夫婦別姓は「強制するものでもなくあくまでも選択肢を増やすことである」と発言して、三原女性活躍担当相も経団連との懇談で導入に前向きな姿勢を示したようですが、閣僚としてのご決意をお伺いいたします。

(終わりに)
 昨年の臨時国会の経験と教訓を踏まえて、丁寧に議論を積み重ねる熟議。議事録が残る形の公開。この二つを旨とする国会に大きく変えようではありませんか。議論を先送りすることなく、総理の真摯な答弁とご決断を期待しながら、私の質問を終わります。

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