自動車等に対する追加関税の発動に当たって
立憲民主党 日米通商問題対策本部
本部長 重徳和彦
本日、米国は輸入自動車に対する25%の追加関税を発動した。戦後、国際社会は、先の大戦の反省を踏まえ、法の支配に基づく公平・公正で安定的な自由貿易体制を推進してきたが、今回の米国の追加関税はこの流れに反するものであり、強く抗議する。我が国は、引き続き、貿易投資立国として、ルールに基づく自由で開かれた国際経済秩序の推進・強化の先頭に立っていく。
「トランプ関税」は世界経済全体をリスクにさらすだけでなく、他ならぬ米国自身のインフレ要因ともなり、米国の消費者にとっても大きな負担となる。政府は我が国を適用除外とすることを繰り返し求めているが、日本企業による米国経済・雇用に対する貢献を正確に伝えるとともに、より具体的にあらゆる交渉カードの可能性を検討し、国際社会との緊密な連携の下、厳しく交渉を進めるべきである。
また、今回の措置は2019年に両国で締結した日米貿易協定及び日米共同声明にも反するものである。当時の安倍首相は国会答弁で「協定が確実に履行されている間、日本の自動車・自動車部品に対して追加関税は課されないことをトランプ大統領に確認しています」と明言した。政府は、この確認の履行を強く米国政府に求め、自動車はもとより自動車部品を含めて適用除外を獲得する必要がある。
そのためには、政府の体制強化が必要である。その中心は石破総理であり、総理自身がトランプ大統領と強い覚悟をもってタフな直接交渉に臨むことが不可欠である。また専任の閣僚を置くなど全省庁を挙げた強力な体制を早急に構築する必要がある。
仮に適用除外を獲得できない場合、対米輸出の3割を占め、関連産業で550万人の雇用を支える自動車産業に深刻な影響を与えかねない。総理の言う「相談窓口1000カ所」では対策として全く不十分であり、追加関税の影響を的確に把握し、国内産業や雇用への支援を迅速に決定・実行し、関連産業に従事する労働者、立地周辺地域の住民の不安を軽減すべきである。
さらに、本日朝、トランプ大統領は世界各国に対し、相互関税を課す旨を新たに発表したが、政府はこれについても直ちに情報を収集し、速やかに対応すべきである。
政府は自由貿易体制を推進する各国と連携・協力して、毅然とした姿勢で米国と交渉すべきである。立憲民主党は、この政府の交渉を立法府として支える意志を明確にするため、各党と連携して国会決議の採択に取り組んでいく。同時に国内の産業・雇用を守るため、党を挙げて取り組んでいく。
以上