小川淳也幹事長は4月8日、国会内で会見を開き(1)追加関税(2)選択的夫婦別姓――等について発言しました。
(1)日米通商問題対策本部について、関係NC大臣も構成員に追加したことに関連して、小川幹事長は、アメリカの追加関税について「きわめて危険な行為であり、世界経済の縮小、国際社会の分断と対立、安全保障上の問題につながりかねない」と強く懸念を表しました。党としては、「時には協力的に。時には機能しているのかには厳しく、応援、対峙する勢力として我々なりの責任を果たしていく」と基本的なスタンスを述べました。
小川幹事長は「野党を束ねて与党と向き合うのが基本路線」だが、本件に関しては「国会決議の採択に向けて、決議は超党派になる。ものによっては、あくまでも超党派を意識したものになる」と述べました。
関連して、補正予算案の必要性について問われ、小川幹事長は「必要性が出てくる可能性は濃厚。まずは追加関税の影響がどうか具体的な検証を、政府もしているが、クリアにしていきたい。ひとまず金融面の措置を代表から重徳政務調査会長に指示があった」と述べました。
(2)選択的夫婦別姓に関する他党との交渉について問われ、小川幹事長は「情況は簡単ではない。維新は反対。国民民主党はいろいろな懸念点を発信している。選択的夫婦別姓推進本部での議論を待っていただきたい」と述べました。
小川淳也幹事長記者会見
2025年4月8日(火)15時49分~16時11分
発行/立憲民主党役員室
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/3qc3kAA5geg
■冒頭発言
■質疑
■冒頭発言
【司会(中谷幹事長特別補佐)】
それでは、本日の幹事長定例記者会見を始めさせていただきたいと思います。冒頭、小川幹事長より、よろしくお願いします。
○第124回常任幹事会を開催
【幹事長】
きょうもご協力ありがとうございます。
まず、常任幹事会のご報告をいたします。
資料はお手元にあろうかと思いますが、日米通商問題対策本部について、骨格人事のみならず、関係のネクスト大臣を集めた形で本格構成をいたしました。直ちに活発な会議、また、議論、そして、国会での対応、政府への要請、対策を強化してまいりたいと思っております。
関連して。常任幹事会での冒頭発言で代表から既にお話があったように、(米国の関税政策への対応として)金融モラトリアム法案を含めた様々な対策をこれから具体化させていく所存でございます。また具体的にはご質問等に合わせてと思います。
その他、岡田常任顧問の訪中報告。政治改革の関連法案等の状況、各党との調整状況。それから、夫婦別姓問題を含めた様々な議員立法の動向等について、協議なり情報共有をいたしました。
選挙関連については、東京都議選の候補者の追加推薦が決定されたところでございます。
○米国の関税政策への対応について
【幹事長】
ご質問等に合わせてと思いますが、今般の追加関税をめぐって、きょうは少し(株式)市場が戻していると把握しておりますが、極めて危険な行為であり、世界経済の縮小、国際社会の分断・対立、場合によっては安全保障上の問題にすらつながりかねない重大な事態であるという認識をいたしております。
したがって、昨夜も(電話)首脳会談が行われたようでありますが、代表の冒頭発言にあったとおり、実質化するにはほど遠い状況ではないかと危機感を持っており、今後、政府の当面する対策に、時に協力的に、しかし、機能しているのかということに至っては時に厳しく、しっかり応援団ないし対峙する勢力として我々なりの責任を果たしていきたいと思っております。
以下、常任幹事会での議案事項を含め、ご質問等に合わせて応答したいと思います。
■質疑
【司会(幹事長特別補佐)】
それでは、ここからは質疑応答に入らせていただきたいと思いますので、質問のある方は挙手にてよろしくお願い申し上げます。
○米国の関税政策への対応について(1)
【共同通信】
冒頭ご発言あった米国トランプ政権の関税政策に関連して伺いたい。石破首相は昨日トランプ大統領と電話会談され、追加関税を見直すよう訴えたが、具体的な言質は得られておらず、双方の担当閣僚による継続協議を確認するにとどまっている。現状の石破政権の対応状況に関する率直な評価、並びに、先ほど野田代表からもお話あったセーフティーネットの構築、あるいは国会決議採択などに向けて、どのような姿勢で臨まれるかお聞きしたい。
【幹事長】
これまで野党を束ねて与党と向き合うというのが基本路線でございましたが、特に国会決議等に関しては、これは超党派の問題になろうかと思いますので、物によっては、野党間の連携にとどまらず、あくまで超党派ということをより意識した対応になろうかと思います。
一定迅速に首脳会談が行われたことは多としたいと思いますが、これは絶対的な対話の時間を含めて極めて限定的であったと推察・推測されます。したがって、効果のほどはいかがかということに加え、担当閣僚は赤澤さんということで、ご期待申し上げたいと思う一方、これまでの外交経験、知見、さらには人脈、アメリカ政府高官との人脈等から、これから十分機能していただけるのか、そこは我々としてもよく見定めなければいけないという思いでおります。
EUは既に、鉄鋼やアルミに関する対抗措置、それから(工業製品の)ゼロ税率の提案、さらにカナダではWTO提訴に向けた準備作業に入っていると聞いています。ベトナムやドイツ、イギリスも大変大きな懸念を示しており、直ちにとは言いませんが、日本としても全く無力ではなく、一定の対抗措置のようなことも懐に忍ばせながら強い態度で協議に臨むということも時に求められるのではないか。代表の冒頭発言にあったとおりでございます。
いずれにしても、日本単体というより、これは私自身、EUやG7、そしてASEANを含めたアジア諸国との連携が極めて重要になってくるのではないか、日本の外交総力が問われる局面であるという認識でおります。
【共同通信】
景気後退の懸念が高まっている中で、補正予算案を編成すべきなのではないかという声が与野党問わず上がっている状況だが、そういった状況について、いかがお考えか。
【幹事長】
必要性が出てくる可能性は濃厚であると認識しております。
まず、影響がどういうふうに具体的に出てくるかの検証は、これは政府も進めていると思いますが、当方としてもよく対策本部での議論を通してクリアにしていきたい。
それから、ひとまず金融面での対策措置を代表から政調会長に指示したわけでございますが、これにとどまらず、物によっては財政出動等を含めて幅広く懐深く構えるべき、ある種の危機管理の局面であるという認識でおります。
【産経新聞】
トランプ政権による関税の政策に関連して伺いたい。先ほどの質問でもあったが、日本国内でも景気の後退が懸念されることから、国民民主党の玉木代表は消費税の減税を主張している。小川幹事長として、この消費減税の必要性について、どのようにお考えか伺いたい。
【幹事長】
私はよく日本の今の状況を人体に例えるのですが、非常に重病を抱え、かつ、大けがしているという認識でおり、大事なことは、この大けがに対する、つまり円安と物価高ですね、ここにトランプ関税という更なる重圧がかかってきますから、極めてこの応急的措置、緊急の措置は重要であり、かねてから党内に消費税をめぐる議論は盛んに闊達にございますが、非常に有力な議論の一つであるという認識に変わりはありません。
むしろ、この党内の議論を含め、党内外、あるいは有権者・国民の声を含め、より私どもとしてはセンシティブに、感度を上げなければいけない。そういう局面であると認識しています。
【産経新聞】
感度を上げるというのは、消費減税も対策の一つと含めて考えるというようなことか。
【幹事長】
元々完全に否定はしていませんので、給付か減税か、減税か給付か、そういう大きな論争が党内にあることは事実ですが、それをうまくコントロールし、そして、議論がよくかみ合うように。それぞれ一長一短ですからね。皆様よくおわかりのとおり、減税には減税の有力な点があり、給付には給付の有力な点があるということで、それぞれ一長一短ですから。
この際、いわゆる時代の、あるいは経済情勢をめぐる危機の度合いが進行しているということを前提に、かねてからある議論をよく感度を上げて充実した議論をしなければいけないという認識です。
○選択的夫婦別氏制度の実現に向けて
【産経新聞】
別件で、冒頭言及もあったが、夫婦別姓について伺いたい。選択的夫婦別姓については党内の実現本部で議論をしていると思うが、現在の党内議論の進捗状況と、他党との交渉も含めて今後どのように進めていくか、お考えを伺いたい。
【幹事長】
他党との交渉については、状況は簡単ではありません。維新さんは反対。国民党さんもいろいろな懸念点を発信されているという状況にございます。
昨日の党役員会でも一定議論をいたしました。この後の対策本部において方向感をにじませるというふうにお聞きしており、それについては党役員含めて一致した認識です。
具体的には対策本部での議論を待っていただきたい。そう思っています。
○米国の関税政策への対応について(2)
【NHK】
アメリカの関税措置をめぐり伺いたい。立憲民主党では日米通商問題対策本部を立ち上げ対策を議論されているが、今後いつ頃をめどに対策本部で成果物を出していきたいとお考えか。
【幹事長】
政調は既に議論の準備運動に入っているということを聞いており、いずれ近いうちに、表で、対外的に表明する形で議論が進行していくことになります。
事が事ですから、事態が事態ですから、そんなに悠長に構えている余裕はないという認識ですので、どうでしょう、もう2週間、3週間たてば大型連休に入るわけですから、極めて事態は切迫し急を要するという認識ですから、大型連休前にも一定方向感をにじませる必要があるのではないかと。ちょっとここは幹事長としてやや私見が入りますが、そういう認識です。
【NHK】
もう一点。外交というのは基本的には政府が行うべきものだが、立憲民主党として今回の事態を受けて議員外交でトランプ大統領側に働きかけていくという、そういったお考えは現時点であるか。
【幹事長】
ちょっと未確認ですが、既にアメリカの在外公館からも接触要請があるというようなことも耳にしておりますし、議員外交・党外交は野党第1党として極めて重視している党運営の一環であります。極めて重視をしていきたい。
あわせて、これは硬柔両面になると思いますが、石破総理の外交日程が急がれる、あるいは優先されるべきときには、国会日程等を場合によっては後回しにしてでも協力したいという思いでもおりますし、先ほど担当閣僚について一言申し上げましたが、成果につながっているのか、あるいは、つながらないのか、その辺については当然厳しく見ていかなければいけませんし、硬柔両面から野党第1党としての職責を果たしたい。そう思っています。
【朝日新聞】
国会の運びのことで伺いたい。けさ自民党と立憲の国対委員長会談があり、今後の進め方について、笠さんは記者団の取材に、関税の問題が最優先という認識を示した。文脈上、政治と金よりもまずは関税を優先するというご発言だったが、立憲民主党としてこの後半国会で、いわゆる関税を優先して政治と金の問題の追及については一呼吸置くということなのか、同時並行で進めていくのか、どちらも大事というふうに考えるのか。この二つの問題をどう進めていくのか、お考えがあればお願いしたい。
【幹事長】
企業・団体献金を含めた政治と金の問題を不問に付す、あるいは、なかったことにするつもりは毛頭ありません。極めて重要な政策課題だと認識しておりますが、事態は少し状況が切迫しており、いわば国家としての危機管理の局面に入ったという認識ですので、強弱のつけ方、それから、具体的な日程感における優先順位のつけ方は、野党第1党としてもここは判断を誤らないように。その意味で、笠国対委員長が記者の皆さん向けにおっしゃっていることは間違っていない、正しいと、私としてもそういう認識です。
【朝日新聞】
つまり、政治と金について、商品券の問題も、企業・団体献金もこれまでどおり禁止を訴えて多数派を形成することを目指していくが、まずはこの関税というところを国会で扱うに当たって順番をつけていくということか。
【幹事長】
例えば、予算案の採決に当たって集中審議を要求し、そこでは(旧)安倍派の元幹部を含めて参考人招致を要求するということは何も変わっていないわけですね。それはいずれ実現していただくことになりますが、この際、この関税問題の与える経済ショックや社会的ショックに、どう政府として、あるいは日本の国会を含めた中央機関、中枢機関としてどう対応するかということが優先されますので、事の運びにおいてはそちらが優先するのはやむを得ないことであり、当然の判断であるという認識です。
【フリーランス】
トランプ関税問題を受けて食料品の消費税ゼロの議論が更に加速するのではないかと思うが、参院選向けの公約として掲げる可能性は高まっているという認識でよろしいか。
【幹事長】
簡単に高まっているとまで申し上げるのはちょっと不用意に過ぎるという認識ですが、いずれにしても、減税か給付か、給付か減税かという、かねてからある党内論議に、繰り返しますが、より感度を上げて充実した議論をし、速やかに結論を出さなければいけない。その緊要度は高まっているという認識です。
○「企業・団体献金禁止法案」等について
【フリーランス】
国民民主党について、企業・団体献金禁止の野党案に乗らずに、公明党、与党側と協議しているということについて、自民党に気遣っているのかという批判をされたが、この認識はこの1週間でも変わらないか。
【幹事長】
その点については先週ある種猛烈に批判させていただいたとおりで、大きく認識は変わっていません。
ただ、ちょっとこの場をおかりして。お互い公党の幹部として公の場で非常に相互批判といいますか、相互に非難し合うことに結果としてなる。それは党の主張をした結果としてですね。批判・非難することが本意ではありませんが、党の主張をした結果として先方に対する批判・非難になるということもいとわず党としての主張をしなければならないことがありますが、私ども公党の幹部として表でいわばある種一戦交えなければいけないことがあるとすれば、なお一層、水面下でのしっかりとした信頼関係の構築やコミュニケーションに努めたい。これはちょっとこの場をおかりして、私自身の方針として。せっかくのご質問ですから。
批判する気持ちは変わりませんし、考えは一切変わりませんが、その分、表でやる分以上に水面下での様々なやり取りをしっかり重ねたい。ちょっと決意表明として。せっかくのご質問ですので。
【フリーランス】
以前、首班指名で野党側として玉木代表を担ぐ可能性を選択肢として否定しないというご発言をされたが、企業・団体献金で野党案に乗らずに自民党に気遣っているような姿勢を続けるのであれば、その選択肢を残す可能性はもうなくなるという理解でよろしいか。
【幹事長】
一義的には、与野党の第1党の党首が最も、最有力の首班候補であるということは動きません。その上で、昨年10月の経緯も踏まえ、あらゆる選択肢を排除するわけにはいかないという趣旨で申し上げました。
ただいまの企業・団体献金の取扱いも、できれば、いろいろなすり合わせや、いろいろな着地点・合意点を見出したい。しかし、それが現状容易ではないという前提で、何か一事をもって、その最も総合判断たるべきことに、何がしかの一事をもってそれが決定的な影響を及ぼすということは、むしろ避けるのが、これが政治の技術であると。現状そう考えています。
【フリーランス】
最後に。先週、国民民主党が自民党と個別交渉で何を得たのかということを気づいたほうがいいという趣旨の発言をなさったが、これは去年秋の総選挙を振り返ってみると、玉木雄一郎と首班指名で書くといち早く国民民主党が言って石破政権を延命させたことで、どれだけ政策実現したのかと。むしろ野田連立政権を組んで国民民主党が一翼を担ったほうが政策実現がより高まったのではないかと。こういう趣旨でおっしゃったと理解してよろしいか。
【幹事長】
そういう趣旨も何も、そのテキストどおり私は申し上げていますし、あのとき政権交代に踏み切っていれば、今よりよほど政治改革・社会改革は進んでいたのではないかという思いは全く変わりません。今も時々悔しくなるぐらいです。
【フリーランス】
ということは、国民民主党は政策実現やるやる詐欺政党と呼ばれても仕方がないと思うが。
【幹事長】
そういう横田さんの挑発には乗らないというのも私のポリシーですので、今、ご質問はご質問として受け止めたいと思います。
○「東京都議選」「参院通常選挙」に向けた取組について
【「FACTA」】
手塚先生もおられるので、やはり都議選の進捗状況を伺いたい。きょうの常幹でも7人推薦されているが、これは全部推薦だから、生活ネットとか、そういうことか。全員女性なんですよね。
【手塚幹事長代行(東京都連幹事長)】
今回7名のうちの、(生活者)ネットの3人、それから小金井の緑の党の漢人さん、4人はたぶん政党に属していますが、残りの3人は今、無所属の立場です。今回立憲民主党が推薦をかけさせていただいて、仮に当選後は統一会派の約束までできている方々です。
今、公認候補者19人。推薦候補者、これで10人になったと思います。9人かな。9か10になりました。
残り、5月の連休明けをめどに追加で2名公認・1名推薦をする、今、最終段階になってきています。最終的に31、32名の公認・推薦候補になるということになります。
【「FACTA」】
31、32名の公認・推薦で、一応今のところ公認という人は25人ぐらいということか。
【手塚幹事長代行(東京都連幹事長)】
最終的に21になるのかと思います。公認候補が21。 推薦候補者が11。そのうちの7名、ネットと緑の党を除く7名については当選後の統一会派の約束ができているということになります。
【「FACTA」】
常幹がある度、やはり東京の顔といえば、手塚先生もそうだが、長妻さんや蓮舫さん。全国区で歩いたときに皆が知っている人というのはそんなにいないが、出すのだったら早く出さないと、あまり意味がないのではないか。そこのところについて、もう時間がないと思うが、いつ決めるのか。
【幹事長】
時間がかかっているご批判は受け止めたいと思いますが、ご本人の意思確認。それから、党としての方針、参議院側の様々な思い。そして、支援団体、有権者への訴求力。あらゆることを総合判断しなければなりませんので、もう少々お時間をいただいているということです。ご批判は受け止めたいと思います。
【司会(幹事長特別補佐)】
そのほか、いかがでございますか。よろしいでしょうか。それでは、本日の記者会見はこれにて終了させていただきます。皆さんご参集いただきましてありがとうございました。
【幹事長】
ご協力ありがとうございました。
(以上)