参院立憲民主党就職氷河期対策委員会は4月25日、就職氷河期世代への支援を目的とした政策パッケージを発表(下記PDF参照)。同委員会は、これまでも党として取り組んできた新卒時に厳しい雇用環境にさらされた就職氷河期世代(概ね1993年~2004年卒)への対策をさらに前進させるために設置されたものです。

 冒頭、委員長の吉川沙織参院議員は、初当選の2007年以来この問題に取り組んできたと述べ、「就職氷河期世代が抱える課題は、個人の責任ではなく政治の責任。当時の世代に悪いところはなく、政治や経済がそこに光を当てなかった」と強調。就職氷河期世代は収入、社会保障、雇用、住宅の各面で課題があり、政府の「就職氷河期世代の支援プログラム」の拡充は大前提とした上で、「Money/お金」「Home/家」「Time/時間」の3つの観点からお金の安心、住まいの安心、老後の安心に向けた政策の概要を説明しました。

 お金の安心としては、2014年と2023年を比較し(厚生労働省の賃金構造基本統計調査より)、全世代が上昇局面にあるなか就職氷河期世代にあたる45歳から54歳の層のみが若干マイナス傾向にあるとして、より高い賃金の仕事に就けるようリカレント教育と就労支援の体制整備をはじめ、フリーランスで働く人の支援、医療、介護、障がい福祉、保育、学童保育等(公定価格)で働く人の賃金アップ、また退職金増税の阻止、年金の底上げ等を紹介。住まいの安心、老後の安心についても、就職氷河期世代の持ち家率が低いこと、賃金が低く介護離職できる状況にないことなどを踏まえ、保証人がなくても住宅賃貸ができるよう「住宅セーフティネット法」の充実や、公営住宅および空き家を活かした「みなし公営住宅」の整備、「介護離職ゼロ」に向けた取り組み強化といった具体的な支援策を示しました。

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【政策提言】就職氷河期リスタート(2025年4月25日).pdf

 会見に同席した各議員は以下コメントしました。

岸真紀子議員(同委員会事務局長)
あらためて就職氷河期世代が置かれている状況を話し合ったところ、本当に深刻だと感じた。福祉、雇用の観点でこれまで政策立案したものを集めている。就職氷河期世代リスタートを実現できるよう政府に求めていきたい。

石垣のりこ議員
就職氷河期の先駆け的な世代だが、私たちのときには既に自己責任社会の波が押し寄せていた。非正規雇用・派遣労働とも重なり非常に低賃金で苦労してきた。皆さんの声も力にして進めていきたい。

塩村あやか議員
初当選した2019年選挙の公約に掲げたのが就職氷河期支援だった。6つ歳を取り、高齢おひとりさまが新たな課題だ。いかに高齢期福祉を拡充させていくのか。氷河期という言葉だけでなく、中身の理解が重要。

村田享子議員
就職氷河期世代の皆さんに、これからの将来に希望を持ってほしいという思いを『リスタート』という言葉に希望を込めた。リスキリングも年代別にニーズが違う。しっかり考慮しながら対策を進めていきたい。

奥村政佳議員
第3次ベビーブームが起こらなかった影響もあって、まさにリスタートできなかった世代。持ち家の問題、年金の問題、いま世の中にはびこっている不安を、こうした政策でしっかりと払拭していきたい。

 最後に吉川議員は、就職氷河期世代支援の閣僚会議の初会合について、立憲民主党の議員らが予算委員会でも多く取り上げてきたことで危機感を共有いただけたのだと思うと一定評価。「与野党が対立する話ではなく、政党を超えて取り組むべき課題。連携してやっていきたい」と力を込めました。

参議院立憲民主党就職氷河期対策委員会名簿.pdf