立憲民主党は、5月27日午前、備蓄米のあり方検討WT(座長・田名部匡代参院議員)・農林水産部門会議(部門長・金子恵美ネクスト農林水産大臣・衆院議員)の初会合を国会内で開催、随意契約による政府備蓄米の売り渡しについて農林水産省よりヒアリングを行いました。(司会:近藤和也WT事務局長・衆院議員)

 冒頭、田名部座長より、「連日、備蓄米について報道されているが、目の前のことだけでなく、食料安全保障上の備蓄のあり方そのものがどうあるべきか、皆さんと議論できればと思っている。今日は、農水省から米の価格に対する備蓄米の仕組みの説明をいただくが、先々まで見据えた議論をさせていただきたい」との挨拶がありました。

 次いで、金子部門長より、「備蓄米の値段を下げると、小泉農相がコメ担当大臣ということで発信している。これまでの農水省の説明から大きく転換しているのかどうかを含め、ヒアリングをさせていただきたい。今、座長から話があったように、短期的な対応と今後の米政策について、備蓄米のあり方をどう考えていくか、しっかりと議論する場としてWTを立ち上げた。よろしくお願いする」との挨拶がありました。

 さらに、重徳和彦政務調査会長より、「今、国民的にもっとも注目、心配されているのが米価の今後のこと。同時に、これからの農業の先行きを必ず押さえておかなければならない。これらを総合的に考えるのがこの部会。現在、公約づくりを進めているが、どのように位置付けていくのか、皆さんと議論できればと思っている。よろしくお願いする」との挨拶がありました。

■随意契約による政府備蓄米の売り渡しについてヒアリング

 小泉農相より発表された随意契約による政府備蓄米の売り渡しについて、農林水産省より説明を聴取しました。

 農林水産省からは、「米の生産量が18万トン増加している中、大手の集荷業者の集荷量が不足している。特に、年末の段階で21万トン不足していることから、流通の円滑化を図るため、3月より3回、政府備蓄米の売り渡しを入札により実施。これまで計31万トン販売してきているが、取引関係者には、なお、不足感がある。私どもとして、不足を埋めていけば、結果として価格が落ち着いていくことを狙っていたが、価格が落ち着いている状況にないため、更なる対応が必要。今回、備蓄米そのものを安価で安定的に消費者にお届けするということで、随意契約による政府備蓄米の売り渡しを行うこととした」との経緯の説明がありました。

 次いで、随意契約による政府備蓄米の売り渡しについて、「対象者は、まずは大手小売業者(年間1万トン以上の取扱数量、POSデータの情報提供の協力を求める)、状況を見ながら、必要に応じて対象を拡大。売り渡し数量は30万トン(令和4年産米20万トン、令和3年産米10万トン)。小売事業者は玄米を集めるという業務は行っていないため、買戻しは求めない。備蓄水準の維持は重要なので、売り渡した数量と同量の買入れは行っていく。随意契約の方法は、(1)国が提示した販売価格で販売(2)8月までに消費者に提供される分を申込み(3)毎日先着順で受付・契約・販売——。売り渡し価格は、令和4年産米11,010円/60㎏(税込)、令和3年産米10,080円/60㎏(税込)、各年産の加重平均10,700円/60㎏(税込11,556円/60㎏)。これは取得原価を基本に、保管経費、経年評価が小さくなること等を加味して決めた。一般的なマージンで既存在庫とブレンドしない前提で試算すると、小売価格が2,000円程度/5㎏(税込2,160円程度)となる水準」との説明がありました。

 次いで、質疑応答に移りました。

<根拠法令>

 参加議員から「随意契約はなぜできるのか、会計法第29条の3第5項に基づくのか。だとすると予決令第99条はどこで読むのか。買戻し条件なしということだが、食糧法第3条第2項の備蓄の定義では価格安定が目的となっていないので、備蓄米の放出が難しかったところ、買戻し条件を付けることによってクリアしたという経緯がある。買戻し条件を付さないで食糧法第3条第2項の定義をクリアできるのか」(後藤祐一衆院議員)との質問がありました。

 これに対し、農林水産省から「会計法第29条の3第4項の『契約の性質又は目的が競争を許さない場合』ということで、随意契約を行う。これまで行ってきた入札という仕組みでは、高い札から順に落札することになる。今回、安価にお届けするということであれば、競争になじまないということで、随意契約とした。備蓄の目的は不作の時の備えで、100万トン程度、実行91万トンは、10年に1度の不作、作況92とか、連続した通常の不作、作況94が起きたときにも、民間の在庫を補って供給する量。この量は、備蓄を行っていく上で、維持していく水準であるため、集荷業者に買戻し条件を付したところ。小売事業者に買戻し条件をつけても履行困難。同数量、買入れを行うことでギリギリ食糧法第3条第2項の備蓄の目的に範疇の中で、整合をもって運用する」との回答がありました。

 「会計法第29条の3第4項で行く場合、『政令で定めるところにより』とある政令は予決令の何条か」(後藤祐一衆院議員)との質問がありましたが、即答がなかったため、後で資料を提出してもらうこととしました。(合同会議終了後、「予決令第102条の4第3号」との回答がありました。)

<一般的なマージンによる小売価格の試算の妥当性>

 「買戻しはしないという話であったが、売値が10,700円、買い戻すときに実勢価格で買い取るとなると逆ザヤになる。逆ザヤによる財政支出はどのくらいと見込んでいるのか。コロナで米の需要が減ったとき、私は、政府は買上げを増やすべきだと言ったが、財政上の問題とか、備蓄米の趣旨に反すると言われた。これからは、そういうことはないという理解でよろしいか。小売価格2,000円程度は一般的なマージンを前提にしているということだが、60㎏にすると24,000円。10,700円で仕入れて、13,000円くらい儲かることになる。報道をみると、保管、運送などを全部政府が面倒を見た上で小売に渡すという。そうすると13,000円ぼろ儲けではないか。一般的なマージンを今回の小売業者との取引に適用する合理的な根拠を説明してほしい」(階猛衆院議員)との質問がありました。

 これに対し、農林水産省から「備蓄米を買戻しあるいは買戻しに際して、その時の価格は基本的に取引の実績価格。その時の状況次第なので、今、これくらいの負担になるということは計算していない。一方、平成23年から棚上げ備蓄方式を採っている。5年保管した上で、飼料用に売却するもの。その経費に年間500億くらい要し、うち100億が保管経費で400億が売買差損。今回の売り渡しは飼料用への売却よりは高い水準。棚上げ備蓄の売買差損から大きく差損が増える方向に行くとは考えていない。今までは政府が保管している倉庫に取りに来てもらっていたが、今回は、指定した場所までお届けする。東北や北陸に倉庫が多く、西日本は輸送費がかかるという課題があることを認識しており、今般、定価で売り渡すことであれば、同じ条件で消費者のお手元に届くことがよいということで、輸送費をもつことにしたが、どのくらいかかるかは、どこにお届けするという指定があるので、分からない。あくまでも目安。精米、袋詰めのコストはかかるので、1万円は利益的なマージンとは異なる」との回答がありました。

 「私の質問は、通常のマージンをこの場合に適用するのはおかしいということ。その説明にはなっていない。お答え願う」(階猛衆院議員)との更問があり、農林水産省から「私どもが負担する運送費がどのくらいになるか判然としないので、一つの目安として、通常のマージンを想定してお示ししている。あくまでも試算ということでご理解願いたい」との回答がありました。

<備蓄水準回復のシミュレーション>

 「理解できないので文書で出してほしい。また、買戻しによってどのくらい損が出るか分からないということであったが、備蓄米の趣旨からして、当然、買戻しは速やかに行わなければならない。安くなってから買い戻すというわけにはいかない。これも3か月平均価格などの一定の前提を置いて、シミュレーションをお示し願いたい」(階猛衆院議員)との要望がありました。

 これに対し、農林水産省から「後段に関して、これまで、買戻しを原則1年以内としていた。早期に備蓄水準を回復することは必要であるが、通常の棚上げ備蓄の買入れは毎年20万トンである中、61万トンを原則1年以内に買い戻すのは現実的ではなかろうということで、前回お示ししたパッケージで原則5年以内に延長したところ。そのときの条件は変わってくる。3か月の平均をとった数字が現実的に起こりうる数字かというと、そうではない」と回答がありました。

<速やかな買戻しの必要性>

 「今回、随意契約により30万トン売り渡すことで、備蓄米が30万トンしかなくなる。年間消費量の1か月分もない。冷害になったらどうしようもない。速やかに買い戻すのは当然ではないか」(階猛衆院議員)との指摘がありました。

 農林水産省から「備蓄水準の回復をいたずらに延ばすことは適当ではないが、現状で、速やかに回復しようとすると、市中から米の量を吸い上げることになる。そうすると、これまで行ってきた入札、今回行う随意契約による販売の効果を減殺してしまうことになる。そのため、速やかに備蓄水準を回復することは適当でないと考えている」との回答がありました。

 さらに、「米価が下がったのであれば、需給的にも問題なく、速やかに買い戻すべきではないか。買戻しをすると値段が上がるというのは矛盾している」(階猛衆院議員)との指摘があり、農林水産省から「おっしゃるような需給環境になれば買戻しをする条件が整うが、今、予見をもって申し上げることはできない」との回答がありました。

<法的根拠、外国産米の活用、一般競争入札に参加した農協への手当>

 「(1)5月9日のレクで、『競争入札しか、だめですよ』という話をさんざんされた。わずか2週間で、随意契約でいいと。法解釈を変えた理由をきちんと言ってもらわないとおかしい。会計法第29条の3第4項というが、石油の備蓄も同じ理屈で、ガソリンの値段が上がった時に、随意契約で売り渡していいのか。緊急を要するというのは強引な解釈である。あらゆる国家財産を同様の理屈で値段を下げるために売り払えということになってしまう。根拠を示してほしい。なければ、きちんと立法すべき(2)備蓄について、私はすぐには買い戻せないと思うが、備蓄を犠牲にするということを認めなければならない。犠牲にしないのであれば、議論が分かれるところであるが、外から買わなければならないのではないか。その部分もきちんと言うべき(3)わずか2週間で変わったのは、論理としておかしいだけでなく、入札した人にとっても、だまされたということになる。入札した農協は大損を被る。これに対して何か手当をしないのか――」(米山隆一衆院議員)との質問がありました。

 これに対し、農林水産省から「(1)について、解釈が変わったというより、これまでやってきた積み重ねの中で、備蓄米の売り渡しの方法を変える必要があり、そのやり方に合わせると『競争を許さない場合』だろうということで、随意契約とした。これまでは集荷量の不足に対応して、公平に売り渡しをしようとしたもの。東日本大震災、熊本地震に供給したことがあるが、それ以外では初めて。これまで入札でやってきたが、狙うような効果が十分に得られなかった。行き渡らなかった。価格に関して、結果として落ち着くところに行かなかった。こうしたことを踏まえると、備蓄米を定価、安価でお届けする必要ということで、売り方を変える、競争とは合わないということ」との説明がありましたが、参加議員から「結果うまくいかなかったから変えたというのは法解釈ではない」「法律的な根拠がないということだ」との指摘が相次ぎました。

 農林水産省から「(2)について、前回のパッケージのときもご説明したが、随意契約で売り渡すと備蓄米は30万トンになる。MA米を毎年77万トン輸入しているが、在庫が常時36万トンを下回らないよう運用している。今回、食料供給困難事態対策法にいう2割の供給減には当たらないが、同法の基本方針の中には、備蓄と民間の在庫でもなお不足する場合にはMA米の活用を検討すると書かれている。この考え方に倣い、もしも不作が起きたら、36万トンのMA米を活用する。(3)について、これまで入札により売り渡してきた備蓄米は、応札者が落札したものであり、私どもが値付けをしたものではない。また、売り渡した備蓄米は、一般的に流通している令和5年産米、6年産米。今回は、令和4年産米、古古米。私どもも食べて、記者の皆さんにも食べてもらった。品質的には問題ないが、一般的には令和4年産米は流通していない。商品としては違うもの。その点、ご指摘は必ずしも当たらない」との回答がありました。

<備蓄米売り渡しの目的は安価提供か>

 「安価に提供するために方法を変えたという説明であったが、これまでの入札による売り渡しの目的は安価に提供するためであったが、結果としてそうならなかったから方法を変えたのか、それとも、そもそも、安価に提供するという目的はなかったのか。どちらか」(川内博史衆院議員)との質問があり、農林水産省から「どちらかというと後者。もともと、江藤前農水大臣が申し上げたとおり、基本的に価格にコミットしない」との回答がありました。

 これに対し、参加議員から「ここにきて、供給量を増やすだけでなく、安価に提供するという目的を付け加えたのはなぜか」(川内博史衆院議員)との更問があり、農林水産省から「供給量を増やすことの結果として価格が落ち着くことを目的に行ってきたが、効果が見られなかったため、今回、備蓄米そのものを安価に供給することをはっきりさせて、売り渡しを行うもの」との回答がありました。

<米はどこへ行ったのか>

 「そもそも、江藤前大臣、農水省が、米がどこかに消えたと言った。どこに消えたのか」(川内博史衆院議員)との質問に対し、農林水産省から「生産者の皆さんがどこに出荷しているのかを1月末の段階で把握した。生産量は18万トン増え、それに呼応して14万トン出荷量が増えたが、JAなどわれわれがモニタリングしている集荷業者への出荷が31万トン減った。集荷業者以外のところ、農家が直接卸や実需に売るものが44万トン増えている。ここのところ私どもは毎月の在庫量をとっているものではない。31万トン減ったところをとっている。どこにいったかというと、そちらの側に行ったことは分かっているが、どこにあるのかということまでは掴めていない」との回答がありました。

<備蓄米の安売りは対症療法>

 参加議員から「米がどこにあるのか分からないままにいろんな施策を講じている。原因が分からないのに、対症療法の施策を講じても目的が達成されるとはとても思えない。備蓄米を安く売ることは対症療法的で良い政策とはとても思えない。これでうまくいかなかったらどうするつもりか。心配している」との指摘がありました。

 農林水産省から「政府備蓄米の売り渡しを決めるまでは、全体量は足りていて、全体としての供給に不足はないということで、備蓄米の活用は慎重に行うとしていた。多くの消費者が買い求めるスーパー、中食・外食が調達するところ、蛇口の大元が不足を感じているということで、流通の混乱を回避するために、結果として31万トンになったが、政府備蓄米の売り渡しを基本指針に位置付けて、売り渡しを行った。これを対症療法的と評価されることは甘んじて受けるが、不足のところに供給するということをやってきた。それでもなお、流通の関係者の不足感が解消せず、消費者の皆さんが不安に感ずる価格の面も解消しないということで、今回の売り渡しの方式を選んだ」との回答がありました。

<米価対策としての備蓄米売り渡しは今回限りか 小売店の地域間格差の認識>

 参加議員から「(1)今回、価格が高くなったことで備蓄米を応用して、活用した。これは一回きりの措置なのか。今後もこういうことがあるのか。生産者からすると、高くなったら備蓄米で価格が抑えられるということが定着してしまうのはとんでもない話(2)今回、30万トンの備蓄米は大手のスーパーなどに直接売るということだが、地域によっては、大手のスーパー、系列のスーパーがないところもある。都市部に米が行って、過疎地的なところは大変なのではないか。小泉大臣は、一定の差が出ることは受け止めたと言っているが、受け止められても大きな問題。地域間の格差をどうとらえているのか――」(石川香織衆院議員)との質問がありました。

 これに対し、農林水産省から「(1)予断をもってお答えしがたいが、そもそもの備蓄米の本旨は不足の時の備えであり、こうした販売方法を恒常的に行うということではなかろうと考えている。(2)売り渡しの対象者は必要に応じて対象を拡大することとしている。入札ではないので、いつからということではないが、次は地域の町の米屋さんに対しての供給を、必要に応じて、順次やっていくことだろうと思う」との回答がありました。

<売り渡し価格の根拠と再生産可能な価格 生産量を増やす必要性>

 参加議員から「(1)今回、60㎏10,700円で売り渡すが、金額の根拠は何か。農水省としては、農家が再生産可能なコストを積み上げていったときの平均的な、最低価格はどのくらいになると考えているのか。これが10,700円と相関性があるのか(2)減反はやっていないが目安として出しているところ、もう少し生産量自体を増やすという判断はあっても良かったのではないか――」(小山展弘衆院議員)との質問がありました。

 農林水産省から「(1)取得原価を基本に、経費と評価損を加味してこの結果になった。かつて米価審議会がやっていたときの生産者所得補償方式のような形で生産コストをベースに決めているものではない。そのため、そことの相関は直接的にはない。一方、今回の売り渡す備蓄米は、令和3年、4年産という、出回っていない米で、8月までに売るものというすごく限定的なもの。価格は、食料システム法案の中で合理的な費用を考慮した価格形成をやっていかなければならない。備蓄米の運用も少なからず関係してくるものではないかと考えている。ここは今後の課題として考えていかなければならないし、今回の入札、随契の対応もどういう影響があったのか、きちっと検証していきたいと思っている。(2)令和6年産米は1.7万ha作付けが増えていた。先週金曜日に発表した令和7年産の作付け見込みは4月末現在で、備蓄の停止をしていなかったので、これを含めると40万トン増719万トンの見込み。ご指摘いただいたことは、産地では受け止めている。私どもも高温の影響で歩留まりが悪いとか、ふるい目の上と下の問題とかというところで、需給がピタッという運用をしてきたが、必ずしもそういうことではないだろうということで、余裕をもった運用ではないかということをどう落とし込んでいくのかはこれからの課題」との回答がありました。

<ネット販売を行う業者の位置付けとプラットフォーム利用料の取扱い>

 参加議員から「ネット販売もするということで、楽天が大手小売業者に当たるのか。買受対象者の資格を1年間1万トン以上の取扱数量としているが、これは過去実績だと思う。見込みを含むということで読み取ろうとしていると思うが、プラットフォーマーなので、保管料とか輸送コストだけでなくて、プラットフォーム利用料などの経費が掛かってくると思う。こういうところも政府は見るのか」(徳永エリ参院議員)との質問がありました。

 農林水産省から「今までは倉庫に取りに来てもらっていたが、今回は、指定された精米工場までの輸送費を私どもが負担する、車上渡しをする。プラットフォーム利用料とか、運営経費は見ない。われわれが見るのは輸送経費。定価で売られたものが倉庫との距離で違うようになるのは公平ではないということでそうした対応をさせていただいている。小売は、消費者に販売するということで定義をしている」との回答がありました。

 また、参加議員から「こんなやり方ではだめだ。緊急事態だからビシバシやらないとだめだ。きちんと監視して、10日以内に2,000円で売る業者にだけ売れば、そうなる。規制緩和しすぎた。こうしたときは規制して徹底的にやらないとだめだ」(篠原孝衆院議員)との発言がありました。

■備蓄米のあり方について党内協議、主要食糧法改正案の法案登録

 近藤和也WT事務局長より「今のやり取りで皆さん感じたと思うが、行き当たりばったりで、人によって法律の運用が変わるというとんでもない状況になっている。そこで、重徳政調会長、また国対から、われわれとして備蓄米のあり方について、立憲民主党がしっかり考えている姿勢を示すべきとのご下命をいただいている。備蓄米をそもそもどうしていくのかについては、時間をかけて議論していかなければならないが、食糧法について法的安定性を求めていく必要があるのではないか。この国会中に法案を出すことが重要なので、深いところまで入っていきづらいというジレンマがある」との発言がありました。

 その上で、米価高騰の抑制のための備蓄米の活用を主要食糧法に位置付けるための改正の方向性として3つの案が示されました。

 案1は、「米穀の備蓄の定義規定を改正する案」です。この案の場合、米穀の備蓄の定義は、備蓄の本来的目的を規定しているため、定義規定に米価高騰時の価格調整を追加することは備蓄のあり方を変えてしまうことになるものと考えられることから、備蓄のあり方についての根本的な議論が必要になるのではないか、との説明がありました。

 案2は「米価高騰時の価格調整のための備蓄米の活用について発動要件や手続きを具体的に法律に規定する案」です。この案の場合、発動要件や手続について、詳細に検討する必要があるのではないか、との説明がありました。

 案3は「米価高騰時の価格調整のための備蓄米の活用について基本指針の記載事項に追加する案」です。政府が現在実施しているような備蓄米の活用は、基本指針に基づいて行われていますが、基本方針の記載事項を定める第4条第2項第3号には「その他米穀の備蓄の運営に関する事項」と書かれているのみです。そこで、同項に価格高騰時の価格調整のための備蓄米の活用を明記することで、備蓄米の例外的使用に係る法律上の根拠を明確にすることができるものと考えられる、との説明がありました。

 近藤事務局長から「これら3つの案を議論してすぐにまとまる状況ではないものの、法案登録をしないと今国会に間に合わないことから、議論を重ねていきたいので、主要食糧法改正に向けて動きだすということでの、法案登録とすることでご理解いただきたい」との発言がありました。

 参加議員から「価格が上がったときに備蓄米を使うという話であるが、価格が下がったときに買い上げるということも併せて入れないと生産者に全く配慮していないことになる。この措置が超レアケースであることをきちんと言っておかないと生産者にとってはやっていられないという話になる。生産者に配慮した中身にすべき」(階猛衆院議員)との発言がありました。

 「備蓄のあり方と食料安全保障を結びつけるべき。だぶついたときには政府が買入れ、今回のような高騰があったときには必要に応じて、米屋に米がないというのはあまりにもひどいと思うので、売り渡す。両方できるようにすべきと思う。米だけでなく脱脂粉乳なども」(小山展弘衆院議員)との発言がありました。

 「法案登録については賛成である。現状を考えたとき、備蓄米の売却そのものを否定することはないと思う。その中で、恒常的では困る、買入れも必要、バランスよく、タイムリーに出していくことが重要。案1の定義については、現状売り渡しができているので、売れるという条項を作ればいい。案2については、きちんとした条項、買入れも売却もするが、一定の条件で、頻繁にするものではないということをきちんと定めることが、世論に応えつつ、農家の不安を解消することになると思う。案3についても、基本指針をうまく利用して、備蓄米の売り渡し、買入れを正当化できる。細かいところは政令に任せ、スピーディーに、消費者の期待に応えつつ、生産者の不安を解消する立法ができればと思う」(米山隆一衆院議員)との発言がありました。

 これらの参加議員の発言を受け、近藤事務局長から「法案登録させていただき、議論を進めていきたい。期限が決まっているので、どこまで詰め込めることができるかということだが、皆さんからいただいたご意見を反映できうるように動いていきたい」との発言がありました。

 また、金子部門長から「食糧法という大きい法律を改正することになる。本来であれば、備蓄米のあり方全体をしっかりと議論すべきところ。ただし、今の情勢の中で、われわれができることを全力でやるということで、こうした対応でお許しいただくことになると思う。今いただいたさまざまなご指摘はとても重要。私たちは、消費者側、生産者側のいずれかに立つということではなく、距離を少しでも狭めていく、相互の理解を作り上げていくことが重要。生産者が倒れてしまうようなことをしたら、消費者に供給ができなくなる。そこを前提とした議論をしっかりとさせていただきたい」との発言がありました。

 以上の議論を経て、主要食糧法の改正法案を登録することについて、了承されました。